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中学生西川の六

「お前ら、この後打ち上げするけど来るだろ?」

初めての学校行事を終えて、記念撮影の後に高崎が俺達に来るのが当然であるかのような言い回しで聞いてきた。

ここまでフレンドリーなのも勿論理由がある。夏休み前の悶々とした幾週間と夏休みを過ごす間に俺と高山、高崎は数ヶ月前の"きっかけ"当時より仲を深めていた。

「何時?いくらくらい?」

俺は行くのを前提としたように値段と集合時間を聞く。それを聞くと高崎はにんまりと笑って値段と時間、集合場所を言う。場所か。完全に失念していた。

承諾の返事をすると「忘れるなよ」と言いながら他の奴を誘いに行った。

「...悪い西川。俺行けないわ」

「え。なんで?...あぁ、金無いのか。やれはしないけど貸す事ならできるぞ」

高山はそれに答えず、他のクラスメートを勧誘してる高崎がいる方向に目をやって

「高崎さ、クラスの全員誘うと思う?」

「うーん。どうだろう。うちのクラスは仲良いとは思うけど、みんな仲良いかとと言われると...わかんないわ」

「そっか。そうだよな。だから聞いたんだよ」

もし漫画なら今頃、俺の頭の上にはクエスチョンマークが浮いてる所だろう。それくらい高山の質問の意図がわからなかった。

俺が返答に困っていると、高山は「行けたら行くよ」と言って、解散までまた何時もの阿呆な高山に戻った。

俺も何か用事でもあるのだろうと、特に追求はしなかった。


結局、高山はチェーン店のお好み焼屋での打ち上げには来なかった。

クラスメートは残念がって居たが、居なくても流石高山と言うべきなのか「高山の用事について考えよう」という話題は非常に盛り上がった。

誰かがうまくお好み焼をひっくり返すと「高山なら見事にぐちゃぐちゃにしそう」と所々に高山ネタも飛び出す程だった。

それで思い出したが、高山の質問の意図は何だったのだろう。意図こそわからないが高崎に全員を誘ったか聞く事にした。

「この打ち上げって全員誘ってんの?」

「いや、誘ってない。なんていうのかな。あんまこういうの好きそうなじゃない奴っているじゃん?俺の勝手な判断だけど、そういうのは誘ってない」

「あぁ...」

なんとなく理解できる。話しかけても反応が薄い奴や積極的に絡んで来ないどころか、そもそも絡んでる所を見た事が無いという奴を俺のクラスでも数人見る。

もしかしたら馴染めずにいるだけなのかも知れないが、馴染めてない奴が特に仲良く無い奴が大勢いるこの場はとても居心地が悪いだろう。

俺も馴染めて無かったらこの場に呼ばれて無かったと思うと馴染めて良かったとは思うものの、馴染めてない奴が可哀想とは思わなかった。

俺は良い奴では無いから。

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