プロローグ
この物語はフィクションです。
俺は、数十年に一度、『七夕の夜空にどんな願いでも叶う』と言われている虹色に輝く流れ星が見られるという、そんな夢の様な伝承がある街に住んでいる。
願いが叶うかどうか真実は分からないが、虹色に輝く流れ星が見られるのは本当らしい。
しかし、その流れ星が見られる周期は決まっておらず、だから伝承を信じたり、期待するなんてことはしていなかった。
そう、あんなことが起きるまでは……。
その運命の日の朝は、何の変哲も無く普通に始まった。
家族と挨拶を交わし、いつも通りのボサボサ頭を鏡を見て顔を洗い、朝食を食べて家を出る。
欠伸をしつつ満員電車に揺られて、学校前の駅で降りる。
遅刻しない程度にゆっくりと学校まで歩き、下駄箱で靴から上履きに変え教室に向かう。
友達と挨拶を交わしつつ自分の席へ向かい、ホームルームが始まるまで、近くの席の誰かとたわいのない話をする。
そうして、つまらない授業をやり過ごし、学食で友達と昼食を食べて午後の授業も耐え抜くと放課後になった。
背伸びをし、この後の予定を考えていると、漫画の新刊の発売日であることを思い出し、本屋に行くことにて学校を出た。
俺の記憶は何故か此処までしか残っていなかった。