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恐怖の工場

作者: 花奈冠椛
掲載日:2026/05/16



 「はぁ〜ようやく仕事が終わった〜」

 黒髪ショートヘアのスーツを着た男が呟く。


 「先輩、早く早くー!」

 声を上げたのはスーツ男の部下のミナミ。


 「おっ!悪い!!急ぐ!!」


 俺は急いでパソコンを切り、ミナミの元へ向かう。


 俺の名前は浅名あさな莉音りおん、ただの事務員だ。


 パチン。


 電気を消し、建物から出る。


 ………。


 駐車場に向かい、車に乗り込む。


 「先輩〜疲れましたね、今回はかなり仕事のこっていたせいで他の人達も居ませんでしたね」


 「まぁな…………うん?」

 俺はカバンに手を突っ込みスマホを探す。


 (あれ?)


 俺はカバンの中を見るがスマホが無かった。


 (しまった!?まさか、事務所に置き忘れた!?)


 「ごめん、ミナミ…携帯……忘れた……取りに行ってくる」


 「え〜……でも、事務所もう閉まってますよ?正面玄関も」


 「工場から行く道からなら空いているんだ、それに見回りの人も居るから大丈夫」


 「分かりました……でも早く戻ってきてくだいね。

 今日……なんの日か覚えてます?」


 「ミナミの誕生日だよな、覚えてるぜ」


 「ふふ」


 「それじゃあ取りに行ってくる」


 そうして俺は一人、工場の鍵がかかってない扉から入ることに。


 まさかこんな事になるとは思いもしなかった。



 工場内を歩く莉音。


 暗いので入り口に置いてある懐中電灯を付け、歩く。


 工場内を歩いていると


 「クスクス……クスクス」


 ?!



 (今……笑い声聞こえなかったか?……いや、ありえねぇ、空耳かも……)


 俺は声に反応せず事務所へと向かった。


 やはりその工場からだと事務所の扉が空いていた。


 (見回りの人が最後にここに来て、扉を閉めるから…まだ空いているんだよな……よしよし)


 そうして俺は自分の席に向かい、携帯を探す。


 (えっと……ここだったか?……えっと…………うーん……お!あったあった!)


 なんとか携帯を見つけた俺。


 そうして事務所から出ようと考えた時


 「クスクス……」


 !


 不意にまたあの笑い声が聞こえた。


 (なんなんだ……この笑い声は……不気味だ……早く戻ろう)


 俺は足早に事務所を出て工場内を歩く。


 工場内は静かで俺の歩く足音が妙に大きく聞こえた。


 心臓は高鳴り、変な汗が出てくる。


 

 その時


 「ふふふふふ!」


 !!


 大きな笑い声、それは俺の背後から聞こえた。


 (やべぇ!!!マジでやべぇー!!)


 俺は気が狂ったかの用に足早に工場内を走り、工場から出た。



 駐車場に着くと退屈そうにしているミナミが居た。


 ガチャリ。


 「ごめん、かなり待った?」


 「そんな事ないよ、それよりもどうしたの?そんな息が上がった感じで?」


 「いや、まぁ何でもない……帰ろう」


 「そうだね……」


 …………………………………………



 そして翌日


 この日も残業で一番遅くなってしまった。


 (はぁ〜また残業かよ……これで何回目だ?呆れるぜ)


 俺はキーボードをカタカタカタと叩き、書類を作る。


 すると


 「クスクス」


 !


 またあの笑い声がした。


 俺は辺りを見渡すが勿論誰も居らず、静かな事務所内だ。


 「疲れているか……さっさと帰るか……」


 俺は席から立ち上がりパソコンを切る。


 荷物をまとめ事務所から出ようとした時


 「何処に行くの……」


 !?


 それは紛れもない声、それは女の子の声だ。


 俺は冷や汗を垂らしながら辺りを見渡すが誰も居ない。


 (なんだ……なんなんだ!)


 そして


 「キャキャキャキャ!」


 !


 また誰かの笑い声が響く。


 「うわあー!!!」


 俺は急いで事務所から飛び出し正面玄関の鍵を開けて、逃げ出した。


 ………。



 ……………………………………………………………………………………



 翌日


 残業となりまた遅くなる。



 「先輩〜……残業って面倒ですね」


 「仕方ないだろ?……はぁ……」


 「どうしたんですか?そんな暗い顔して……」


 ギー。


 俺が喋ろうと思った瞬間、書類室の扉が勝手に空く。


 !


 (な、何で空いたんだ?!)


 「先輩……空きましたね」

 ミナミは少し嬉しそうな顔で言う。


 「何でにこやかなんだよ」


 「いや~突然の奇妙な現象……気になる」

 そうしてミナミは勝手に空いた書類室の扉に近づく。


 「おい!危ない!!」


 「何言ってるんですか?ここは事務所ですよ、しかも正面玄関は閉めています……」


 ミナミは書類室の扉の前に立つ。


 「うーん……誰も居ない?」


 ミナミは部屋を見渡す。


 そして俺のほうを向き


 「誰も居ませんよ、建て付けとか色々あるんでしょ……先輩驚き過ぎです」

 ミナミは笑顔で言う。


 「……はぁ、俺も疲れてい……る……」

 俺はミナミの方を向き、一気に悪寒が出る。


 そして俺の目にはあり得ないものを目撃する。


 それは暗闇から手が現れミナミの顔をロックオンしている。


 (ヤバ!!これ……言ったほうがいいのか!?だが、無闇に……いや、どうしたら!?)


 その時!


 ガシ!!!


 (!)


 その手はミナミの顔を掴み倒させ暗い書類室に引きずり込む。


 「あ、あ…、……きゃあああ!!!!」

 引きずり込まれたミナミは悲鳴をあげる。


 俺は助けに行こうと考えたが……


 ゴリ!!!


 何か、すごい力で曲げたような音がした。


 チラッと見えるミナミの両足がピクっとして……そしてゆっくりと暗い書類室に引きずられていく。


 「ミナミ」


 俺から声をかけるがミナミからの返答は無く……ゆっくりと引きずり込まれ……そして静寂が訪れる。


 暗い書類室の扉、


 俺は怖いながらもスマホのライトを頼りに近づく。


 はぁはぁはぁはぁはぁ。


 (息が落ち着かない……なんなんだあれは……ミナミは無事なのか!?)


 俺は書類室の入り口からスマホの光で照らす。



 そして驚く。


 先程までミナミが居たであろう場所にはミナミの姿は無く……パンプスが片方落ちていた。


 それはミナミが使っているパンプスだ。


 !


 そして俺は腰を抜かした。


 (み、ミナミが居ない!?あ、ありえない!!!)

 俺は近くにある書類室の電気のスイッチをオンにする。


 パチ。


 電気が付き、辺りを見渡すがミナミは何処にも居なかった。


 (い、一体何が……ミナミ……それにあの手は……)


 俺は電気を消し、逃げ出した。



 翌日、ミナミは来なかった。


 他の事務所仲間からも心配されていた。


 「……」


 俺は黙っているしかなかった……あんな事を言っても頭おかしいのかとか言われるからだ。



 (……ミナミ……俺は……)


 そうして俺はまた残業をあえてして、一人……事務所に残った。


 そして深夜2時



 何かの気配を感じ辺りを見渡す。

 しかしそこには静寂のみがあった。



 俺は書類室に近づき、電気をつけた。


 しかしそこには特に変わりない資料があり、何か変わったことがあったことではない。


 ……。


 だが……


 「ククク」


 !


 それは突然の笑い声、それは背後から聞こえ振り向く。


 しかしそこには誰も居らず、静寂が漂っていた。


 俺はため息を吐き、少し気を許そうとした時


 俺はハッとする。


 なんと窓に一人の男が張り付いていた。


 それも不敵な笑みを浮かべこちらを見ている。


 俺の体全体に鳥肌が立ち言葉を失う。


 そしてその男はヒヒヒと不敵な笑みを浮かべながらこっちに向かってきた。



 「うわああ!!!」


 俺は声を上げて逃げる。


 後ろからこちらを追いかけてくる足音とヒヒッ!と言う笑い声。


 俺は精神がおかしくなりそうになりながらも逃げ続ける。


 だが、なぜか外に出るための出口が無い。


 俺は暗闇の中、懐中電灯一つ持ちながらも逃げ続ける。


 (はぁはぁはぁ!あり得ない!!嫌だ!!捕まったら間違いなく……)


 俺は逃げ続け、会議室にたどり着く。


 中に入ると更に俺は腰を抜かすことに。


 「うわああ!!!」


 そこには四肢を糸で吊らされ、まるで操り人形の用になっているミナミの姿が。

 顔は絶望に堕ちた顔をしている。


 「な、な!!ミナミ!!おい!」


 俺はミナミを揺する。


 しかし、ミナミからの反応はない。


 (まさか殺されているのか!?)


 ギー。


 すると背後から音がして振り返るとあの男が扉の前に立っていた。


 「見たな……」

 男は言う。


 「なんなんだこれは!!!お前がミナミを殺ったのか!!」


 「……そもそもお前はもうこの世界から逃げられん……逃げたとしても逃げられない……そしてお前の結末は……」


 男が喋っている途中、俺の首元に人肌の手が触れ


 ぐっ!

 と締め上げ浮かす。


 「がぅ!!あ……!!な!!!」

 目線を向けるとそこには満面の笑みを浮かべ、ふふふと笑いながら俺の首を締め上げるミナミが居た。


 「がっ!あ!!!あがっ!!」


 「残念だな……お前はその女と共に永遠にこの世界のなかにいるだろう……」


 「あ……あ……」


 「だが幸せだと思うがな……お前にとってはな」


 男の目先にはミナミに首を絞められ口から唾液垂らしながら不敵な笑みを浮かべている莉音の姿があった。


 ……。


 永遠に私の物………。


 逃さない……。


 

 

 

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