いぬの学校 続編
※本作は「いぬの学校」の続編です。
前作を先にお読みいただくと、よりお楽しみいただけます。
ここは いぬの学校
こいぬたちは 進級して、
すこしだけ むずかしい 勉強を
するように なりました。
走るだけじゃなく、
考えること。
においを 探すだけじゃなく、
どう 動くかを 学びます。
こいぬたちは、
まえよりも ぐっと
真剣な 顔に なっていました。
⸻
ある日、
課外授業が ありました。
向かったのは、
実際に はたらく いぬたちの いる 場所。
「わぁ……!」
そこには、
警察犬や 災害救助犬の
お兄さんや お姉さんたちが、
真剣な 目で、
すばやく、正確に
仕事を していました。
においを 追い、
合図に こたえ、
だれかを 助ける。
その姿は、
とても かっこよくて——
こいぬたちは、
目を きらきら させて
見つめていました。
「すごい……」
「あんなふうに なりたいな」
でも、
ひとりの こいぬが、
小さな 声で つぶやきました。
「……ぼく、できるかな」
その言葉に、
まわりの こいぬたちも、
少しだけ 黙りこみます。
⸻
帰るまえに
校長先生が そっと 言いました。
「すごいことが できる いぬだけが、
立派な わけじゃないんだよ」
「だれかの そばに いて、
心を あたためることも、
とても 大切な おしごとなんだ」
こいぬたちは、
静かに その言葉を 聞いていました。
⸻
帰り道。
バスに ゆられながら、
こいぬたちは
それぞれ 外を 見ていました。
そのとき。
だれかが ぽつりと 言いました。
「……あれ」
みんなの 視線の 先。
そこには、
ひとりの 女の人と
一匹の いぬが いました。
特別な 服も、
特別な 合図も ありません。
ただ、
いっしょに 歩いているだけ。
でも——
いぬは、
うれしそうに
女の人の 顔を 見上げています。
女の人も、
やさしく ほほえんで、
その子を 見つめていました。
⸻
こいぬたちの 胸が、
ふわっと
あたたかく なりました。
「あ……」
だれかが 小さく つぶやきます。
「この気持ち……」
「前に やった 授業の……」
⸻
だれも さわいだりは しません。
でも、
みんな 同じことを
思っていました。
——あの子も、
ちゃんと おしごと してるんだ。
お兄さんたちも、
お姉さんたちも、
そして——
あの子も。
⸻
バスは、
ゆっくりと 進みます。
こいぬたちは、
その光景を
いつまでも 見つめていました。
そして、
そっと 心の中で 思いました。
「ぼくたちも、いつか
だれかの そばに いられる
いぬに なろう」
⸻
おしまい
お読みいただき、ありがとうございました。
子犬たちのこれからの成長を、
見守っていただけたら嬉しいです。




