第7話 心情
Bチームの試合は、5-0で圧勝だった。
ゴールを決めた阿多米悠斗は、まだ少し息が上がっている。
仲間たちは歓声を上げ、抱き合ったり笑ったりしている。
だが、東雲海は静かにボールを拾い、軽く蹴るだけだった。
「海、お前……すごかったな」
Bチームのコーチである多田勝が近づいてくる。
「中盤での動き、パスの判断、タイミング……全部完璧だった」
「小三でここまでやるとは思わなかったぞ」
海は軽く笑う。
「ありがとうございます。でもまだまだです」
多田コーチは少し微笑む。
「そうだな……でもお前のおかげでチーム全員の動きが変わった」
「Bチームでここまで勝てると思わなかったぞ」
というのもこの大会は県大会予選。グループごとに10チームおり4勝することで本線に出ることができる
本線は合計30チーム 5勝することで優勝ができる。俺はここを目指している
こんなとこで満足はしてられないというのが本音だ
他のメンバーも海のところに集まる。
「海、すげえ!」
細田三知が大声で言う。
「前半からずっとボールが来るもんな。指示も的確だし」
「ほんとだね、海がいると全然違う」
北幸四郎もにこやかに言う。
茂久田茂がちょっと照れくさそうに言う。
「でもDFとして守りやすかったぜ。海が視野広くて指示してくれるから」
RSBの大井武蔵も頷く。
「相手が分断されて、突破も止めやすかった」
GK守御は少し恥ずかしそうに笑う。
「……いや、俺もセーブしやすかったです」
そして、前線の悠斗も海に駆け寄る。
「海、パスありがとう!全部通るんだもん!」
「次も決めるよ!」
海は微笑んでうなずく。
「お前はゴールだけ見てればいい。俺が道を作る」
多田コーチがベンチに戻る。
そしてチーム全体を見渡す。
「いいぞ、Bチーム」
「今日みたいに動ければ、もっと上に行ける」
「お前たちはチームとして強くなるんだ」
海は心の中で小さく誓った。
(まだ序章だ……)
(このチームで、もっと上に行く)
彼の目には次の試合の景色が映っていた。
チームメイトたちの走る姿、悠斗のゴールの瞬間、そして自分の動き。
全てが次の勝利につながるビジョンだ。
その日、海はBチームの仲間たちと笑い、話し、未来を感じた。
このチームなら――
きっと神奈川県の強豪にだって立ち向かえる。
そして、海は小さく呟く。
「まだ、始まったばかりだ……」




