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第6話 Bチーム大会開幕

朝のグラウンドは、いつもより少しざわついていた。


今日は横浜エンゼルBチームの初めての大会。

大会といっても、小学生の部だ。けれど、海――東雲 海――にとっては、ここから物語が動く重要な試合だ。


コーチの多田 勝が選手を集める。

「おい、Bチーム!今日から大会だ。楽しめ!」


海は深くうなずく。

「はい!」


隣に立つのはFWの阿多米 悠斗。

彼はまだ小さいが、その目はゴールだけを見据えている。

海はそれを見て、心の中で小さく笑った。

(こいつ、絶対点を決めるな)


試合開始。


ボールは相手チームのセンターサークルにある。

相手のキックオフ。


俺は中盤の位置に立つ。顔を上げる。

ピッチ全体が見える。

味方の動き、相手の配置、すべて見える


相手のRSBにこっちのRMが寄せる。

嵌った。俺も何回もこれでとられたことがある。

だからこその核心、ボールを奪う。


「トン...」

周りを見る

相手が寄せてくる、2枚

焦ってはだめだ、取られない

軽くボールを動かす、そうすると相手の重心が少しずれた。

俺がその好きに2枚の間を通りかわす

相手のcbがつり出される

「今だ!」

一瞬で縦のスペースが生まれる、その瞬間悠斗が走る。

まるでゴールが彼を呼んでいるかのように抜け出す。

海は迷わずパスを出す。スルーパス。悠斗が受ける


相手キーパーが飛び出す。悠斗はいつもならこの時点で焦ってシュートを打って外していただろう

だが初めてのスタメン。そんな緊張などとっくに忘れていた。

ループシュート。


ゴールネットが揺れる


「入った!」


Bチームの仲間たちは歓声をあげる。

細田三知も大声で叫ぶ。

北幸四郎は手を叩きながら笑う。

守御は飛び上がってボールを確認する。


そして、茂久田茂も大きく息を吐く。

「おお、やるじゃん……」


海は静かにボールを拾う。

(いいぞ……まだまだだ)


試合は続く。

相手もすぐに反撃してくる。

しかし海の視界は広い。


味方の動きがすべて見える。

どこにパスを出せば、どこにスペースができるか。

どのタイミングでシュートを打たせるか。


前半10分、海は一度もボールを失わなかった。

パスを回し、ドリブルを通し、ゲームを作る。

悠斗はゴール前で走り続ける。

一度、DF二人に囲まれても、海の絶妙なパスで振り切る。


そして前半終了直前。

海が右サイドの細田にパスを出す。

細田は前線へクロス。

悠斗がゴール前で飛び込む。


ゴール!


「2-0だ!」


多田コーチは腕を組んで静かに見ている。

でもその目は光っていた。

(こいつ……本当にただ者じゃない)


海は息を整えながら微笑む。

(これからだ……まだまだ俺たちは強くなる)


ベンチで見ていたAチームの西都栄太監督も、少し眉をひそめた。

「Bチーム……か」

その視線の先に、海と悠斗がいる。


二人はまだ小学生。

しかし、この二人が、横浜エンゼルを、いや神奈川の少年サッカーを変えることになる――


大会の幕は上がったばかりだ。

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