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第18話 再編成

春の風がグラウンドを抜ける。


横浜エンゼル――Aチーム。


その中心に立つ選手たちは、もうBチームだった頃の面影を残していなかった。


「全員、集まれ」


監督――西都栄太の声が響く。


その前に並ぶのは、かつてのBチームのメンバー。


そして――


背番号8、東雲海。


「今日からお前たちはAチームの主力だ」


静かな緊張が走る。


「だが、ここは結果がすべてだ」


西都の目が鋭くなる。


「そして、このチームには“絶対的なエース”がいる」


その瞬間――


一人の選手が前に出る。


背番号10。


清藤玲。


ボールが渡る。


次の瞬間だった。


ドンッ――


重い音とともに放たれたロングシュート。


ゴールネットが大きく揺れる。


「……は?」


誰かが声を漏らす。


距離、精度、威力――すべてが規格外。


さらに玲はボールを置く。


今度はカーブ。


外に逃げるように曲がったボールが、ポストの内側に吸い込まれる。


誰も触れない。


「U-12日本代表のエースだ」


西都の一言で空気が変わる。


「シュート精度、身体能力、決定力……全部トップレベルだ」


悠斗が思わず呟く。


「バケモンかよ……」


海は、そのプレーを黙って見ていた。


(確かに強い)


スピード。

パワー。

シュート精度。


どれも、自分とは違うタイプ。


(でも――)


海はボールを足元に置く。


(それだけじゃ、勝てない)


ミニゲームが始まる。


玲がボールを持つ。


一人、二人と抜く。


最後は強引にシュート。


――ゴール。


圧倒的。


だが、その次のプレー。


海がボールを受ける。


一瞬で周囲を把握。


チョップタッチ。


相手の重心をずらし、スペースを作る。


ワンタッチ、ツータッチ。


パスが繋がる。


全体が動く。


悠斗が裏へ抜ける。


スルーパス。


――ゴール。


静寂。


玲が初めて海を見る。


「……お前」


海も見返す。


「なんだよ」


西都が小さく笑う。


「面白いな」


「10番は“1人で勝つ選手”」


「8番は“全体で勝つ選手”」


玲がボールを拾う。


「なら、どっちが上か決めるか?」


挑発的な目。


完全に格上の余裕。


海は少しだけ笑う。


「いいよ」


(やっと来たか)

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