14/19
第14話 手放しの野犬
準決勝の勝利から数日後。
Bチーム、横浜エンゼルは決勝戦の練習に励んでいた。
背番号8――東雲海――はグラウンド中央でボールを回しながら、自分の動きを確認する。
そのとき、コートの外で二人の大人が声をかけてきた。
片方は横浜Fマリノスのジャケット、もう片方は川崎フロンターレのエンブレムを身につけている。
「君、背番号8の子だね?」
マリノスのスカウトがにこやかに近づく。
海は少し緊張しながらも答える。
「はい、東雲海です」
「前半のプレーを見ていたよ。連携プレーもそうだが、チョップタッチの使い方が素晴らしい」
海は少し照れくさそうに笑う。
(小学生なのに、こんな風に見られるなんて……)
「決勝でもその力を存分に見せてほしい。君ならできる」
二人のスカウトは微笑み、海に軽くうなずくと去っていった。
海は背番号8のユニフォームを握りしめる。
(俺は……まだまだ、ここからだ)
グラウンドの空気はさらに引き締まる。
決勝の相手は川崎フロンターレ。
準決勝で勝利した勢いのまま、海とBチームは頂点を目指す――




