第12話 新たなる英雄(前編)
朝の光がグラウンドを照らす。
Bチームは準決勝のピッチに立っていた。
相手は県でも名高い常連チーム、林永SC。
体格もスピードも、精度も圧倒的に上だ。
海――東雲海――は深呼吸をする。
(これが本当の試練……)
目を閉じ、味方の動き、相手の配置、ゴールまでの最短ルートを頭の中で再現する。
チョップタッチを使えば、少ないタッチで相手を揺さぶれる。
(これで勝つ……絶対に)
阿多米悠斗も前線で拳を握り、笑みを浮かべる。
「俺たちならできる、海」
多田コーチの声が円陣の中で響く。
「準決勝だ。お前たちの力を信じて動け!」
試合開始の笛が鳴る。
キックオフボールは林永SC
林永SCは予想通り強い。
パス回しは早く、DFの体格差も大きい。
だが、海は動揺しない。
「右サイド、押さえろ!中央、詰めろ!」
茂久田、大井、池田――DF陣も指示通り動き、空いたスペースを埋める。
海はスペースを埋めに走りそこにどんぴしゃできたボールをインターセプト。
瞬時に悠斗の裏のスペースにけりこむ。
悠斗はボールを受けシュート、だが緊張のせいかシュートタイミングが遅れる。
その好きに相手DFにとられる。
カウンター、ロングボールでの裏抜けからの失点、相手が悠斗ができなかったことをやって見せた。
完全に心を打ち砕かれる
瞬時にカウンターを食らい、失点
0-1
海は感じていた。圧倒的な能力の差
中学で自分がそれほど底辺だったか感じでいた。
でも...気合が入ってきたと感じていた
試合再開
海は思う
俺はいつも他人だよりだ。
だから負けるのかもしれない
なら自分の力で勝つしかない。
まだ頭では負けない。
海は後ろにボールを戻す。
「茂久田、裏!」
焦った茂久田はロングボールを後方に流してしまう。
だが海はそのミスさえもカバーする。
インサイドでのトラップ、縦への誘導、チョップタッチでの中への侵入。
弧を描くようなゴラッソにより同点!
それと同時にホイッスルの音が鳴る。
前半終了
ーーーそれと同時にーーー
コートの外で話している大人2組がいた
「この8番いいね名前なんて言うんだろ」
「東雲海という子だそうですね」
そう話す大人の服のエンブレムは
ーーー横浜Fマリノスーーー
ーーー川崎フロンターレーーー




