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『風のあとに残るもの』

とりあえず読んでみてください。



春の終わりの午後だった。

白い花が、風にゆれていた。

その小径のほとりで、私はふと立ちどまった。

ほどけぬままの記憶が、胸の奥で音もなく揺れていた。




ひとつは、やわらかな風の記憶。

もうひとつは、その風に背を向けた日のこと。

どちらも、私のなかにあり、

どちらも、名を呼ぶ前に、風のように過ぎていった。




水面に映る空は、ほんとうの空よりも澄んでいた。

私は、その澄んだ像に支えられていた。

それが、ほんとうでないと知りながらも。




陽が傾きはじめると、

その澄んだものも、ゆらぎはじめる。

私はまた、ひとつの椅子に、ふたつの影を見る。




ひとつは、私の影。

もうひとつは、

かつて私だったものの、淡い余韻だった。



読んでくださった方々、ありがとうございました。

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