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#4

それはいつものように登校していた時の事だった。後ろから何か気配を感じた。その瞬間、口を押さえられ僕は気絶した。

目を覚ますとそこは見覚えのある場所だった。大人達は驚いた。僕を見て。

「き、君もう起きてしまったのかい?」

「こんなこと今までなかったぞ…」

「やはり…この子でいいのか?…あの時の子だぞ…」

どうやら目覚めるのが早すぎたらしい。僕は再び上層部の基地へときていた。

「僕がここにいるということは…なんです?また、反上層部が騒ぎを起こしたのでしょうか?」

「…違うよ。あの時助けたのに…すまないね。だが、これは多くの人命を助ける為に必要な儀式なんだ…」

「生贄…ですか?」

「あぁ、君は今まででも類を見ない適性だったようだ。あのお方によると君を生贄として差し出せば3年は生贄を必要としなくても良いそうだ…」

「それは、皮肉にもあの反上層部の非人道的すぎる実験のおかげなんでしょうね?」

「それは…違うと…」

「結局あなた達もあいつらと変わらない。人道から外れている…まぁいいでしょう。ちょうどいい機会です。早く僕をその屍者のもとへ連れて行ったらどうです?」

どうやら、僕は上層部の奴らの罪悪感というものに触れすぎてしまったらしい。沈黙が続いた。そしてその沈黙は誰かの拍手で途切れた。初めて拍手を綺麗な音だと感じた。

拍手の主に目をやるとそこには今までに見たこともないような美少年がいた。

シルクのような美しい銀の髪、透き通った碧目、形の整いすぎた鼻…そして何より死者のように白い肌と毒々しいほどに赤い唇…見た目は美少年そのものだがその人離れしすぎた美しさだけが彼が人間でないことを告げているようだった。

とても美しいボーイソプラノで彼は言った。

「さすがですね!素晴らしい。適性検査で今までに類を見ない成績だっただけはある」

「あなたは?」

僕がそう尋ねると少年はまるで王子が姫にダンスをお願いする時のように美しく跪き僕の手にキスをした。

「申し遅れました。私はアレンです。どうぞ気軽にアレンと呼んで下さい。」

アレン、自らをそう名乗る少年をとても興味深いと感じた。キスも不快ではなかった。

「アレンですか。よろしく、といっても僕はあなたにすぐに殺されるのでしょうか?」

「…フッ、ハッハッ、面白いね?君。すぐには殺さないさ。僕が殺したい時に君を殺して喰らう。それまでは君は生きれるんだよ?という事で、君達ご苦労だったね。これで君たちの平和な暮らしはあと3年は保証された訳だ。じゃあ行くよ。」

そう言うと少年は僕の手をとり、指を鳴らした。その瞬間、僕は真っ暗な部屋の中にいた。あかりをつけるとなんとも豪勢な部屋にいることが分かった。ここで暮らせと言うわけなのだろう。


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