#18
分かっていたんだ。本当は初めから。奴らの企みもアレン、お前のやろうとしている事も。
奴らは僕を使って奴らだけの選ばれた者のためだけの虚構でしかないユートピアを作るつもりだったんだろう。全ては僕の手中にあったと言う事も知らずに、愚かな。そして弟は‥それを知りそれを止めるために俺を殺して人間を殺し尽くした後、僕を追って自死するつもりだったんだろう。僕を暗闇の孤独の世界から逃すために。
馬鹿だなぁ‥僕はそんな世界微塵も怖くないと言うのに。それよりもアレンが僕以外の手でそのせいで死ぬことの方が怖いんだって事も知らないまま。兄さんは全てを知ってるよ。お前がどんな者よりも優しく、慈悲深く本当は何者かの命を奪うことにも苦悩するほどだということに。
だからお前には人間を皆殺しするなんて選択させたくなかった。僕以外の事でお前には苦しんでほしくなかったんだ。
だって僕たち、兄弟じゃないか、いや、血のつながりをも超える愛し合った者同士じゃないか。
お前を1人になんてしたりはしない。この暗闇の世界は僕とアレン、お前のためだけにあるまさにユートピアなんだよ。分かるかい、愚かな人間はユートピアを手に入れられなかったけど僕たちはついに手に入れたんだ!!
暗闇の世界は鍵の者しか生きることはできない。そうでなければ、この世界に入った途端に生き絶える。そんなの死ぬよりも耐えられない。
僕はね、アレンを狂おしいほど愛してるんだよ。死に際のお前はこの世のものとは思えないほどに美しかった。アレンをその状態にしたのが僕だと思うと尚更‥‥大好きなんだよ。愛してるんだよ。
だからね、僕は愛する君のため世界を喰らう。
永遠に2人で愛し合うために。