ほこり高きふるまい?
小説家に限らず、クリエイターという人種はいろいろな『こだわり』や『プライド』を持っています。
読者に理解されなくとも、自分が書きたいものを優先することもあります。
逆に読者から高い評価を受けるために最大限の努力をすることもあります。
書き手が、何を重要視するかは人それぞれですね。
この話で扱う『ほこり』とは……
森の中で富士桜がピンク色の花を咲かせていた。
少し広くなったところで、敷布が置かれている。
白いおサルさんと小さなタヌキくんがごろりと横になっていた。
「んとね。白猿さん。ぼく、ひなたぼっこがすきなの。あとね、おふとんを干したあとのお日様のにおいが大好きなの」
「子狸くん。そのお日様の匂いだけどね。ほこりやダニの死骸が焦げたものだっていうウワサがネットに流れているのをみたぜ」
「え? そうだったの? 吸ったら身体に悪そうなの」
「そのウワサの方はある種の都市伝説みたいなものだな。実際にはふとんについた汗とか油脂が太陽光で分解されたものらしい。それ自体に害はないけど、干した布団にはハウスダストや花粉とかがついているかもしれない。先にそれを除去しておいた方がいいかもな」
「干したふとんを取り込む前に、パンパンたたけばいいのかな」
「強くたたきすぎるとふとんを痛めるし、近所迷惑になりかねない。叩き棒で表面を軽くこするようにすると、ある程度落とせるぜ。おすすめは、掃除機をかけることだぜ。シーツとかふとんカバーは定期的に洗濯しようぜ」
「最近は電気屋さんにふとん用の掃除機も置いているよね」
「掃除機の種類にもよるが、叩きながら吸い込む機能とか、UV殺菌機能とかついているのもあるな。まぁ、ふつうの掃除機でもほこりはとれる」
「殺菌の機能でダニも殺せるのかな」
「ある程度効果はあるだろうな。ただ、ダニの死骸もアレルギーの元だから殺せりゃいいってもんでもない。ダニのタマゴやフンもアレルゲンだしよ。ふとんを干したときも掃除機はかけた方がいい理由のひとつだな」
「ふとんの乾燥機でも、ダニ退治の機能もあるみたいなの」
「うん。その場合でも乾燥させた後で掃除機と併用した方がよさそうだ。夏はもちろん、冬場でも寝ていると汗を吸っているからな。布団のカビもアレルギーの原因となるから、こまめに天日干しにするか乾燥機の出番だな。何度もいうが、ダニを殺しても死骸は残るから、掃除機もかけておこう」
「んとね。コロコロとかの粘着ローラーはどうだろう?」
「粘着ローラーは表面しか取れないな。まぁ、一番影響があるのが表面のゴミだから、やらないよりはよっぽどいい。日常は粘着ローラーで、ときどき掃除機でしっかりとる人もいるかもね」
「んとね。タヌキの抜け毛の時期だと、寝る前にふとんやまくらに毛がついてて気になることもあるの」
「ああ。寝る前の場合は、掃除機より粘着ローラーの方がいいぜ。掃除機は風を起こすから、ほこりが舞い上がるんだ。ふとんの数センチ上にほこりが漂ってる状態で寝るのはいかがなものか」
「そうやって掃除機とローラーを使い分ければいいんだね」