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いのちのパン屋さん〜二回目の光〜  作者: 地野千塩


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蛇のように賢いパンドーロ(2)

 翌日、また教会に別の陰謀論好きな男が襲来した。カトリックが安息日を土曜日から日曜日に変えたという陰謀論は界隈では、ホットなトピックらしい。土曜日礼拝を守っている小規模カルトがネット界隈ではあるらしかった。


 昔、サエはそんな小規模カルトに入信したいというので、今日子は必死に止めた事もあったが。やってきた男はなかなかしつこく、今日子はすっかり疲れていた。サエの方がまだ素直さがあるタイプだ。男の方は黙示録の解釈をしながら今日子にマウントもとってきた。これから家事をする気が失せる。


 幸い夫は出張で九州の教会に行っているので、夕飯は手抜きできる。ふと、隣の福音ベーカリーのカレーパンやジャムパンが頭に浮かんだ。今の時間だったら、運が良くタダで貰える可能性もある。


「よし!」


 サエの事で疲れきっていたが、教会の裏口からサンダルを引っ掛けて福音ベーカリーに向かう。


 隣にあるもで1分もたたずについた。もう11月も後半に差し掛かっていたので、風が冷たい。コートを上に着ていくべきだったと後悔もしたが、すぐにパン屋の店内に入る。そこは、暖房がきき春のように暖かかった。数々のパンは、オレンジ色の照明に照らされ、今は冬に近い時期だと忘れてしまいそうになった。


 もうクリスマスが近いので、店内はクリスマスツリーがあった。ツリーは、袋に入ったアイシングクッキーでデコレーションされていた。パン屋らしい美味しそうなツリーで、思わず唾を飲み込む。他にもアドベントカレンダーや、リースも壁に飾られていた。また飽田市の教会のチラシも貼ってあった。クリスマス礼拝のチラシだった。ここはウチの教会のチラシも貼った方が良いのかと気になってしまう。


 イートインスペースでは、看板犬のヒソプがくつろいでいたが、首輪が緑と赤のオシャレなものになっていた。心なしかヒソプも「オシャレでしょ⭐︎」とドヤ顔しているように見えてしまった。


「今日子さーん、こんにちは!」


 厨房から店員の柊がでてきた。片手にはトレイを持ち、出来立てのカレーパンがある。良い香りで、思わず「今、食べたいものです!」と言いたくなってしまった。柊は長らく接客専門の若いスタッフのようだったが、最近はパン作りもしているようで、充実した表情を見せていた。陰謀論好きのサエの対応で、疲れ切っている今日子とは、対照的だった。


「こんにちは、柊くん」


 柊の見た目は、かなりイケメンの方だが、なぜか全く色気が無いので、弟のようにも感じてしまう事があった。そんな事を考えつつ、トイレの揚げたてのカレーパンを載せる。今日はイートインスペースで食べたい気分だった。


「今日子さん、こんにちは。今日は種無しパン、食べない?」


 もう一人の店員、紘一も厨房の方から出てきた。柊の兄のようで、顔もそっくりだが、体格がよく色も黒い。パン屋というよりは、トラックでも運転していそうな雰囲気だが、柊と同様、気さくで優しい店員なので、今日子もすっかりリラックスしていた。


「うーん、種無しパンも大事だけど、今は食べたくはないなー」


 素直にそういうと、二人とも苦笑していた。今日子は、他にあんぱん、クリームパンなどもトレイに載せ、イートインで食べる事にした。クリスマスムードが溢れるパン屋で食べたら、サエとの事も悩みが消えていきそうだった。

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