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いのちのパン屋さん〜二回目の光〜  作者: 地野千塩


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天使の休日と素敵な夕食(1)

 ミルルは、神様の仕える天使だった。


 このたび、神様の命令を受け、地上に降り立ち、福音ベーカリーでパン屋の仕事をしていた。人間の肉体では知村紘一という。ここでは、ミルルではなく、紘一という名前で通そう。


 元々このベーカリーは、蒼という先輩天使が副業として運営していた店だったが天使の仕事が忙しくなり、紘一に引き継ぎされた。紘一も一人前の天使ではなく、研修中の身なので、こうやって地上で店を営みながら、人間の事をよく知って欲しいという神様の意図もあるようだった。また、隣に教会もあり、時々神様の命令でこっそりとお手伝いもやっていたりした。


 パン屋での仕事は想像以上大変で、一人で運営していた蒼のワーカーホリックっぷりに呆れるととももに、同じく天使であるルルルも助っ人ちしてこのパン屋に来てくれた。


 ルルルも研修中の身で、肉体での名前は知村柊。紘一とは兄弟設定で、この福音ベーカリーを営んでいた。


 柊は、パン作りの才能はあまりないが、ニコニコと人当たりもよく、女性にも好かれやすく、接客の才能はあった。紘一がパンをつくり、柊が接客するという役割分担はできていたが、なぜか柊はパン作りの技術も向上したいと騒ぎ、結局、好きにやらせていたら、そこそこ焼けるようになってきた。


 ついに先日は、あんぱんやクロワッサンも焼けるようになり、蒼もこれだったら店に出せると太鼓判が押された。


 というわけではないが、紘一も柊も休みをとる事になった。二人とも蒼と違い、ワーカーホリックでは無いので、こうい休みはちゃんととっていた。ちなみに礼拝がある日曜日には、天界に一時帰ったりもしている。人間界は安息日は土曜日か日曜日で争いを起こしているが、天界に帰ると毎日24時間礼拝をやっているので、そこまで揉める問題でもない。紘一や柊は地上で仕事をしているので、日曜日の早朝に帰っているだけだったが。


 という事で、天界の礼拝から帰ってきた日曜日の今日は、丸々一日定休日だ。日曜日が定休日のパン屋なんて、人間の常識としては、あり得ないかも知れないが、紘一や柊にとっては普通の事だった。もっとも蒼はワーカーホリックだったので、日曜日も営業していたらしいが。


「紘一、今日はどこ行く?」

「そうだなー。ヒソプ連れて隣町の公園行こう。あっちの公園にはドッグランがあるんだ」

「いいね! ヒソプも遊ばせたい」


 柊と相談した結果、結局飼い犬のヒソプを優先する事になった。ヒソプは毎日散歩には行ったいたが、今日はよく晴れている。心なしかヒソプの表情も「早く外行きたい!」と言っているようだった。


 紘一は普段のコックコート姿ではなく、薄手のシャツの上に上着、チノパン姿、柊も似たようなラフな格好をし、ヒソプを連れて飽田主市に向かって歩き始めた。


 空は綺麗な秋晴れの日だった。あと一カ月ちょっとでクリスマスだが、まだ街並みは、色づいてはいなかった。


「わん!」


 久々にちょっとと遠くにお出かけできるヒソプは、元気よく吠えていた。

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