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いのちのパン屋さん〜二回目の光〜  作者: 地野千塩


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善きサマリア人とフランスパン祭り(1)

 佐々木桃果は、小学五年生ながら、コスパや効率という事をよく考えていた。


 両親は共働きで忙しく、家事の時短、節約になるコスパの良さを常に考えていた。父によると、本当は結婚もコスパが悪いのでしたくなかったそうだが、老後の事などを総合的に考えたら、そこまで悪い制度でも無いらしい。母も最近は在宅の仕事だが、手の込んだ料理はしない。レンジや作り置きを活用したコスパの良い料理をしていた。買い物もネットスーパーでまとめて買い、無駄なものは一切買っていないようだった。今は穂麦市というところで家族三人で暮らしているが、都心の弁が良い割には、住宅街は静かで、暮らしやすい所らしい。両親は全部コスパで住む場所を選んだらしい。


 そんな環境で育った桃果は、自然と無駄でコスパが悪いことをするのが苦手になっていた。学校でも無駄ない争いやいじめに関わらず、クールに過ごしていた。成績も良すぎるのは面倒なので、少し手を抜き、平均点より若干上ぐらいを狙っていた。おかげで委員長などを押し付けられず、良いポジションの収まっていたと思う。


 それに、桃果は転校生の野中翔に片想いをしていた。かなりイケメンで、運動神経もよい。最近、都内から引っ越してきたそうだが、あっという間クラスのヒーローになっていった。もちろん、クラスの女子達にもモテモテで、さっそく争いが起こっていた。


 そんな争いを横目で見つつ、翔には限りなく愛想良く接していた。むしろ、翔にだけ愛想が良いと言っていい。コスパを重視する桃果にとっては、他の男子に愛想を良くするのは、無駄だと思っていた。


 特にクラスの陰キャなんて最悪だ。女子は平均的に陽キャばっかりだが、男子は天と地の差が激しい。翔を天とするなら、尾山和馬は底辺中の底辺だった。


 どうやら家が貧乏のようで、ペンケースや文房具がボロボロ。服も兄弟のお下がりなのか、オーバーサイズのものを着ていた。靴下も左右バラバラでだった。給食費を滞納しているという噂もあり、何となく臭い。生理的にキモいタイプだった。


 そんな中、席替えがあり、うっかり和馬と隣の席になってしまった。班も一緒だ。窓際の最後の席なのに、隣が和馬なんて最悪だった。


「おはよう!」


 なぜか和馬は、クラスで陰キャである事を全く気にせず、ヘラヘラと毎朝、挨拶してきた。細い糸のような目やつぶれた鼻を見ていると、イライラとしてきてしまった。


「……」


 思わず、和馬を無視してしまった。宿題するフリをしていたが、和馬になって挨拶を交わすのは、コスパが悪い。


 別に和馬は気にせず、すぐに席について何か本を読んでいた。何も気にしていない和馬に若干イライラしつつ、教室に翔が入ってくるのが見えた。今日は、周りに女子はいないようだった。


 このチャンスを桃果は逃すわけはいかない。さっそく翔に近づき、満面の笑顔で「おはよう!」と話しかけた。


「桃果、おはよう!」

「宿題やった?」

「まだ全然終わらない。そうだ、桃果、宿題見せてよ」


 翔は上目遣いで桃果の目を見てみた。キラキラと輝く黒い目を見ていたら、断るわけにはいかないだろう。


「いいよ、宿題見せてあげる!」


 桃果はウキウキしながら、宿題のプリントやノートを持って行き、翔に見せに行った。


 なぜか和馬にチラ見されているような感覚も覚えたが、無視しよう。頭にお花が咲いているような状況だった。


「ラッキー♪」


 頭に花が咲いている桃果は、翔がニヤニヤと邪悪な笑みを浮かべている事には、全く気づいていなかった。

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