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いのちのパン屋さん〜二回目の光〜  作者: 地野千塩


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休店日

 ある休店日、試験があった。


 僕はまだまだパン作りの技術がないし、ミルクパンに似たコインパンやソーダブレッドしか作らせて貰えない。一緒に働く紘一は、何でも器用にできるのに。前、パン屋にいたマル、いや蒼はもっと何でもできた。そう思うと焦り、紘一と喧嘩する事もあった。


 天使の時は、こういう喧嘩や感情の高ぶりはないが、やっぱり肉体を持つと、引っ張られる。改めて人の生きづらさや、そんな人のなってこられた神様って凄いと思ったりした。


 そして、パン作りの技術が上がっているのか、試験が開かれる事になった。朝から一人だけで、種無しパンや三つ編み型のツォップ、それにあんぱんを作った。


 試験員は、紘一と蒼だ。蒼は普段は天使の仕業をしているが、今日はわざわざ肉体を持ってやってきてくれた。いつもは忙しく、神様の仕事が大好きな社畜のような天使だが、わざわざ時間を作って来てくれた。


 出来上がったパンをトレイに乗せ、ドキドキしながら紘一と蒼がいる店のイートインスペースに持っていった。紘一と蒼の雰囲気は全く別なので、オセロみたいだ。紘一は色黒、蒼は色素が薄いので、そんな感じだ。どうでも良い事も考えつつ、心を落ち着かせた。


「どうぞ」


 イートインの上のテーブルにパンを置き、二人が食べる様子を見守る。


 最近、お客様で絵を描いてうる希衣の事を思い出す。彼女は神様から才能を与えられていたが、色々と悩みがあり、それを土に埋めようとしていた。希衣の事を思うと、自分もとりあえず行動してもたいと思ったりした。それに、自分は天使だ。自由意志が許されている人間よりも、神様に忠誠を誓いたい。与えられているものは、すべて神様の為に活用したかった。


「うん、うん」


 二人とも頷きながら、種無しパンやあんぱんを咀嚼していた。ただ、やっぱり二人が作ったパンと比べると、膨らみや形も綺麗ではない気がする。種無しパンは、聖書と関わりが深いパンなので、さすがに上手く焼けたが。


「うん、悪くは無いけどね」


 蒼は微妙な表情だった。


「惜しいんだよな」


 紘一も似たようなものだった。


「やっぱり、ダメだった?」


 僕は少し上目遣いで二人を見てみたい。この上目遣いをすると、女性のお客様にとても受けがいいんだが、やっぱり二人には通用しないようだった。


「うーん、あれだ。やっぱり、柊は接客頑張った方がいい」

「うん、紘一の言うとおりだよ。神様からも言われてるからね」


 そこまで言われると、これ以上は何も言えない。


「あと、神様からは柊は企画力があるって言われてるんだよ。ただのミルクパンをコインパンというのも面白いよね。何か新製品のアイデアとかない?」


 蒼はニコニコ笑いながら、別の提案をしてくれた。結果的に試験は落ちたようだが、蒼の声wp聞いていたら、少し心が浮き立っていた。


「実は、アイデアがあるんだよ。最近、フランスパンが人気ないっぽいじゃん? だから、色々なムースやディップと一緒に売ったら良いと思うんだ」


 さっそく二人に温めていたアイディアノートを見せた。


 試験が落ちたし、これからも接客中心の仕事になるだろうけど、この企画が通る事を考えたら、嬉しくて仕方なかった。

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