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いのちのパン屋さん〜二回目の光〜  作者: 地野千塩


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休日のツォップ(4)完

 一カ月後、芳乃はスッキリとした表情で、福音ベーカリーの前にいた。


 あれから身体の調子は治り、実家に帰った。ミントは最期まで頑張り、ちゃんとお別れもできた。一日中泣き通してしまったが、思い切って休んでよかった。入院を含めると二週間ぐらい休んでしまったが、意外と仕事は何とかなってしまった。


 あのパンが、何か背中を押してくれたような気がした。店の前にいるミントそっくりの芝犬を見ていると、泣きたくなってしまうが、ちゃんと大事な愛犬とお別れが出来た事は後悔はない。


「ありがとう!」


 芳乃はそう言うと、ミントにそっくりな芝犬の背中を撫でると、福音ベーカリーの扉をあけた。ドアベルがついているようで、チリンチリンと可愛らしい音が響く。


「芳乃さん! 元気になった?」


 すぐに柊に迎えられた。パン屋の中は、春の陽だまりのように暖かい雰囲気だった。甘いメイプルシロップやバターの香りに、食欲が増してしまいそう。


「うん。でも、実家の飼い犬が死んじゃったの」

「そっかー。でも、死んだ動物は地獄にはいかないからね」

「そう?」


 実のところ、ミントが死んだら天国に行くのかはわからない。そもそも天国なんてあるのかも確信なんて無いが、このパン屋に足を踏み入れたら、そんな場所も全くの嘘に聞こえない。壁に貼ってある美しいラベンダー畑の絵を見ながら、そんな事を考える。


「うん、そうだよ。神様は小さな動物も愛してるから。ノアの方舟でも動物は助けたしね。少なくとも地獄へは行かせないから大丈夫。その点は安心していいよ」


 その柊の明るい声に、芳乃は明日への光が見えた気がした。


 ありがとう、ミント。大切な休日を過ごせたよ。ゆっくり休んでね。


 心の中で、ミントにお礼を述べた。

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