表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
俺解釈三国志  作者: じる
第四話 建寧の獄(建寧二年/169年)
40/173

7 李膺の事

 噂は直ちに潁川襄城に流れて来た。

 洛陽は目と鼻の先である。潁川の士太夫は洛陽に沢山いるのである。


 隠棲する李膺の元へ、噂を聞いた故郷の人々が心配げな顔で次々に訪れた。そして皆同じ事を言ったのである。


「どうかお逃げを」


 李膺は静かに首を振って言った。


「困難だからといって辞めず、刑を受けるからといって逃げず、と左伝にもある。臣下として守るべき節だ。俺ももう六十。死生は天命が決めること。……それに、逃げれば安心と本当に言えるかね?」


 そういうと荷物をまとめはじめた。

 

「父上、何をなさっているのですか?」


 息子の李瓚が聞いた。


「決まっている。洛陽へ、北寺獄に出頭するのだ。ここで亭侯が捕まえに来る日を待つなぞ性に合わん。手間を省いてやろう」


 そう答えると、息子へ言った。


「おそらくお前も、孫達も連座させられるだろう。覚悟しておいてくれ」

「覚悟ならしております。ずっと以前からです。父上」

「……すまん」


 溝がある。そう思っていた息子だった。勝手に袁家と婚約してきた時など、権門にすりよる気かと叱った事もある。だが、息子には自分と同じ血と誇りが流れているのだと判った。

 李膺にはそれで十分だった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ