俺が主人公の物語
この物語に目を通してくれたことを感謝する。
まず、この物語は題名にも書いている通り『俺』こと『八木 裕太』が主人公の物語である。
俺はただの男子高校生、帰宅部で恋人や友人はいない。
いわゆる『一匹狼』だ。
だが、俺はそこら辺にいるモブ共とは違う…
なぜならば、俺には超能力が使えるからだ!
そして、この力を使い俺は…悪の組織である『ダークナイト・キャンドラーズ』と密かに戦っている。
もちろん、このことは他のものに知られてはならない。
クラスの中心で騒いでいるモブ共には、特にだ。
俺の秘密を知ったら大騒ぎするに違いない…すると、それを聞きつけたダークナイト・キャンドラーズが俺を襲いに来るかもしれないからだ
俺は「クックック」と声を抑えて笑う
まぁ何人で来ようが俺の力に勝る訳が無いのだがw
俺の超能力は2つ、1つは『ハッキング』どんなに暗号化されたサーバーであっても俺は簡単に解除し、中を見ることが出来る
もう1つは『ストロング』相手がどんなに自分よりデカくても、相手の隙をつき気絶させることが出来る
これが俺の能力だ。
え?信じられないって?
良かろう。君は運がいい、俺は今ものすごく機嫌がいいから少しだけ力を見せてやろう
とてもタイミングよく、不審者が現れたという放送が流れる。
クラスが不安でザワつく中、俺1人がにんまりとしていた…
俺の力を見せる時が来た
今日はとても運がいい、どうやら不審者は俺たちのクラスの近くにいるらしい。教師が慌てて指示を出し、俺たちは教室の窓側に移動する
そこに不審者が勢いよく戸を開けて入ってきた。4、50代くらいだろうか、小太りでハゲていて、ナイフを持っている。
いつもはうるさく騒いでいるモブ共も、キラリと光るナイフを見ると「ひっ!」と声を上げて黙ってしまった。実に滑稽だw
一方不審者は、数学教師の熊谷が必死でなだめようとしているが、何やらわめきながらナイフを振り回している。
顔は茹でダコのように赤くて、今にも爆発しそうだ。
「そろそろかな?」と俺は1人つぶやく
そしてパッと立ち上がり、周りを見渡す…
皆が怯え驚き俺を見ている。
俺はしばし脚光を浴び、不審者の方を向いた
「よぉ、おっさん。それ以上怒るのはオススメしないぜ?豚がタコになっちまうwww」
俺は嫌味たらしく相手を煽った
熊谷が「おい!バカッ!」と怒りと恐怖を含んだ目で睨みつけてきたが、もう遅い。
爆発した茹でダコは汚ねえつばと罵詈雑言を並べさらにわめきながら俺に向かってくる。
普通なら、いや、ただのモブならここで死ぬだろう…
『だが、俺は主人公だ』
俺は闘牛士のようにおっさんをひらりとかわし、みぞおちに拳をめり込ませた
するとおっさんは泡を吹き、ドタッと重そうな音を立てて倒れた。
俺は「フッ」と笑う、こんなの闘ったことに入らない
しばしシーンとし、呆然と俺を見ていたモブ共もやっと状況が理解出来たのかワッと騒いで俺に近ずき「すげーよ!八木!」「何やったの?!やばい!」「八木くんって強いんだね!」と口々に俺を褒め称える。熊谷にも「八木、よくやってくれた。助かったよ」と声をかけられた
俺は優越感に浸りながら「いや、全然。こんなの朝飯前だよ」と答えた…
ここから俺はクラスの人気者になり、友人は増え、女子から毎日のように告白されることになるのだ。
……………… 。
ハッと目が覚めるとまだ4時間目の数学の時間だった。
眠そうな生徒たちと淡々と授業を進める熊谷…
そこに窓からスズメバチが入ってきた
クラスメイト達がきゃーきゃー騒ぎ、一時騒然となる教室内…そこにクラス1のモテ男である綾瀬がサッと立ち上がり、ハチを外に出してやる。皆が口々に綾瀬を褒め称えると綾瀬はサラッと「こんなの朝飯前だよ」と爽やかに笑う…誰かが「今は昼飯前なw」と冗談を言い、綾瀬含め皆が笑う…いつもの教室だ
綾瀬が主人公の物語の教室内で、俺はまだモブのままでいる。
でも、絶対。いや、必ず。俺は超能力を手に入れて、俺だけの物語の主人公になってやる!
これが俺が『モブから主人公に駆け上がるまでの』俺が主人公の物語