ピーヒョロロゥゥ
鳶の鳴き声が地面に届くから
何かしら転がっていないか
辺りを見回す
特に何も無ければ
単純に見間違えたか
低空飛行がしたかったのだろう
後は知らぬフリをした
ピーヒョロロゥゥ
ピーヒョロロゥゥ
まだ鳴いている
朝方も来れば
夕方にもやって来る
ピーヒョロロゥゥ
巻き舌のように聞こえる
ピーヒョロロゥゥ
最初の美しさと最後の濁り
いつまでも聴いていられる
風に乗りながら
グライダーのように翼を広げる姿
白い部分は逆光で分からない
烏が鳴いていると
鳶の声は聞こえてこない
烏三羽と鳶一羽で
喧嘩をしていたこともあった
あの時の烏の鳴き方は
お節介な叔母さんみたいで
いつもの冷静さが無い
ゴミ捨て場で
井戸端会議をしている時よりも
品がないかもしれない
ピーヒョロロゥゥ
ピーヒョロロゥゥ
また聞こえてきた
上から下を眺めながら
ピーヒョロロゥゥ
あんなに眺められたら
何を思えるようになるだろう
自分のことしか考えないことは
間違いない気がする
下に居ても変わらない
それが人である