三十話 溶ける自我──
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「……はぁ、はぁ、はぁ、はぁ──」
沈むベッドの上で熱い息づかいが交わされる。
ここがどこで、自分が何をしてるのか──わからない。
ただ目の前には、絶世の美女ともいえる女性がいる。
僅かに残る精神と自分の情けない声が、ピンクのダウンライトが照らす薄暗い部屋に漏れた──。
「うっ、あっ、あっ──」
体がビクンビクンと痙攣する。もう何回、自分の自我を溶かしたかわからない──。
初めは、抵抗していた……と、思う……。それとも最初から自分は彼女を求めて、その快楽を懇願していたのかも知れない──。
「──あ、ああ──。みん──な──」
……かろうじて声を振り絞る。自分の頭には、かすかに残る仲間達の顔が──顔……が────?
「あら……まだ口に出せるほど自我が残ってるのね。──やっぱりあなたすごいわ。それじゃあもっともっと……気持ちよくして溶かしてあげないとね……」
彼女はデザートを食べるような目つきで、唇をペロリとなめた。
「──う、あああああ──!」
「うふふふ……。情けない声……。もう何も考えられないでしょう? あなたには仲間なんていない──。あなたには私しかいないのよ──?」
全ては本能のまま──。それが彼女の罠──。
陥落した一人の男がその自我を完璧に溶かすと、彼女は不敵な笑みを見せた。
彼女の長い銀の髪が、簾のように二人を隠しすと、時間だけが静かに流れるのであった──。
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