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終章 鳥籠

 カランカランと、時計塔の鐘が鳴っていた。

風の城は、多くの尖塔を持った複雑な城だが、その尖塔の中でもひときわ目を引くのが、大きな文字盤を持つ時計塔だった。

時の精霊を魔書・ゾナデアンが強引に継ぎ、しばらくの居候のはずだった。

時の精霊にどこに居を構えさせるか、ルキルースとセクルースの話し合いがもたれた。

もう、世界に仇なす心配のない時の精霊を、幽閉するわけにはいかない。話し合いは、風の城で行われた。

「ルキルースが妥当なんじゃねーのかよ?あっちは、自然以外の力を持ったヤツが多いだろ?」

城の主である風の精霊が、提案した。しかし、ルキルースの皇帝は難色を示した。

「断るよ。もうこれ以上、最上級精霊はごめんだね」

時の精霊のせいで、ルキルースごと閉じなければならなくなったルキは、断固拒否の姿勢を崩さなかった。

「じゃあ、ルディルしかいねーじゃねーか。太陽の城に時計塔造ってやれよ」

「あ?このオレは、時間に縛られねぇ主義だ」

「はあ?太陽ほど規則正しいものはねーくせに何言ってるんだよ?んん?まさか、おまえら……」

ジイッとルキルースの皇帝と、セクルースの王の片割れは風の王を見ていた。

「おいおい!風は一番不規則だぜ?」

しかも、戦ってばっかりの城だとリティルは主張した。だが、彼女の一声には勝てなかった。

「あら、ちょうど時計がほしいと思っていたところよ?みんな、眠りを忘れてしまいがちだものね」

風の王妃は、ふんわり微笑んだ。そして、風の城は、時の精霊までも、引き受ける羽目になってしまった。

「リティル、賑やかになっていいわね」

「シェラ、この城を動物園の次は、博物館にするつもりかよ?」

リティルは苦笑するしかなかった。

 時計塔は風の城の図書室の上にあり、本が徐々に時計塔にまで浸食を始めていた。

「ゾナ、あなたは本の虫ですね。ここに来れば、大抵痒いところに手が届きますよ」

インファの声を聞き、彼の足下に寝そべっていた二頭のドラゴンが首を上げた。

図書室の入り口近くに、時計塔へ登る階段が新たに造られていた。ゾナは大抵図書室にいた。司書を務めるコマドリ達が、静かに読書をするゾナの周りで遊んでいた。

「褒めているのかい?珍しいではないか。ああ、インファ、頼まれていた本、受け取りたまえよ」

ゾナは栞を挟むと、インファに茶色の背表紙の本を手渡した。

「ありがとうございます。それと、この魔法についてなんですが――」

本を受け取りつつ、インファは持っていた別の本を机の上に開き、ある箇所をゾナに見せた。それを覗き込みながら、ゾナはコバルトブルーの瞳を鋭くした。

「ふむ。興味深い。では、これは――」

魔法談義に花を咲かせていた二人のもとへ、慌ただしく金色の風が舞い降りた。

「おい!ゾナ、業務が滞るからおまえも応接間にいろ!引きこもってんじゃねーよ!この魔道狂い!」

時計塔からインファがなかなか帰ってこなくなり、久々に王命が下ったのだった。


 夜のとばりが、風の城を包んでいた。

東屋の椅子に座り込んだレイシは、途方に暮れて動き出せないでいた。

「レイシ」

名を呼ばれ、レイシは東屋の入り口に、力なく視線を動かした。立っていたのは、肩にオウギワシに化身したフロインを乗せたノインだった。

「ノイン……オレ、父さんを裏切ったかも……」

どうしよう?と、レイシは放心状態だった。彼の手には、白鳥の羽根の飾りのついた首飾りが握られていた。

「インリーが、こんなモノくれるとは思わなかったんだ。ノイン!オレ、どうしたらいいの?風の王の娘なんて、混血精霊のオレがもらうわけにはいかないよ!」

「レイシ……」

インリーは本当に、何も見えていなかった。レイシが何を望んでいるのか、それすらわかっていない。さすがに、ノインもレイシに同情していた。だが、インリーが魂を渡さない限り、レイシを繋ぎ止めることはできないだろう。彼からインリーに行動を起こすことは、まずあり得ないのだから。

「レイシ、その気もないのに始まろうとしたのか?その先にあるのは、魂を分け合うのかやめるのかの選択だけだ」

口説いてもいいか?とリティルに許しを請うたその心は、なんだったのか。レイシも、向き合うことを迫られていると、ノインは思っていた。

ノインは、肩に留まるオウギワシを盗み見た。彼女は――フロインは、自分にとって何者なのか?ノインも、それを考えていた。

「インリーがほしいのは、オレの隣っていう居場所だよ!インリーは、オレの隣にもういられないこと、気がついてなかった。オレが気のある素振りでもしておかないと、そのうち気がついちゃってたよ!そうなったら、インリーどうなるんだろうって、思った。オレ、大事なんだインリーが……なのに……なのに!受け取れないオレは、結局インリーと離れるしかないじゃないか!」

だってオレは、混血精霊だから!そんなもの、リティルの前では、拒む理由にはなりはしない。わかっているだろう?とノインは、何かと理由をつけたがって見えるレイシに、突きつけなかった。

「レイシ、リティルをここへ呼んでやる。インリーに魂をもらったこと、おまえの心、王に話せ」

「……!……わかった。フロイン、父さんを呼んでよ」

迷っているのに、潔く覚悟を決めるレイシに、ノインは本当によくここまで成長したなと思った。リティルは、レイシの言葉を、本心でも偽りでも尊重するだろう。レイシは、偽るのかどうかの選択を迫られていた。

 オレの心は、どこにあるんだろう?レイシ自身も、実はよくわからなかった。

インリーは頑なに、レイシの隣から動かないからだ。いない状態を想像できなくて、離れられるのか離れられないのか、わからなかった。

「レイシ」

「父さん……!」

リティルが東屋の入り口に姿を現した。ノインはではなと言って、離れていってしまった。

どう言ったらいいのか……立ち上がったレイシの心臓は、痛いくらいに打っていた。

「おまえのしたいようにして、いいんだぜ?」

オレの許可はいならないと言った、リティルの瞳は穏やかだった。

「父さん……父さんはいいの?だって、インリーだよ?風の王の娘だよ?オレは……混血精霊だし、あれの息子だし……」

「オレはおまえが、どういう精霊なのか知ってるつもりだぜ?問題なのは、おまえの心だ。おまえは、どうしたいんだ?」

リティルには、レイシの本心がわからない。インリーの心を守ってくれる彼の想いが、どんな愛情なのか見極められない。レイシの言葉を、尊重するより他なかった。

「オレは……」

レイシは俯いた。そして、俯いたまま言った。

「受けたい。オレ、インリーのそばにいたいんだ」

「そっか。インリーのこと頼むな。レイシ」

顔を上げないレイシに、リティルはそれだけ言うとそっと離れた。リティルには、レイシの本心がわからない。レイシの選択が、レイシの本心だと信じるしかなかった。

レイシは、倒れるように椅子に腰を下ろしていた。そして、インリーがくれた魂を、その首にかけた。

「これでいいんだ……これで……」

レイシは顔を上げられないまま、胸で揺れる白鳥の羽根を模した飾りを強く握った。


 その日は珍しく、風の城の全員が応接間に揃っていた。

家族も、居候も増えた応接間のソファーは増設されていた。窓際にコの字に置かれたもともとのソファーが二列になったり、暖炉のそばに椅子が増えたりしていた。

 そんな中で、もう見慣れた光景があった。

それは、ノインの首に、暇さえあれば左側から腕を回して抱きついているフロインの姿だった。ノインは邪魔だと思わないのか、それを許していたのだが……

「フロイン、手を離せ」

ノインのその拒絶の言葉に、フロインのみならず皆が彼を見た。フロインはあからさまに、悲しそうに瞳を曇らせた。

「君は原初の風の化身だのに、一途だな」

ノインはフロインの様子に苦笑すると、自身の翼から羽根を一本抜いた。そして、その羽根を何かに変化させ、そっと彼女の右耳に触れた。フワリと金色の風が集まったかと思うと、フロインの右の耳たぶに、金色のバラの花からトーン記号の飾りが揺れる、ピアスが贈られていた。

「オレは、これ以上心を動かされることはない。それでもいいというのなら、この魂持っていろ」

フロインはキョトンとした顔で、しばらく固まっていたが、次第にその女神のような顔に満面の笑みが浮かんだ。フロインに異論はない。すぐさま彼に習い、翼から羽根を抜くと手の平の上で何かを作り出した。そして、ノインの左の耳に触れた。キラキラ輝く金色風が集まり、オウギワシの羽根をモチーフにしたピアスが揺れていた。

フロインは未だに、ほとんどしゃべらない。ニコニコと満足そうにノインを見つめて笑っていたフロインが、左側から彼の右肩に手を伸ばした。

二人の様子を、半ば息を止めるようにして見守っていた皆は、次に起こることを想像して思わず身を乗り出した。

しかし、皆が期待していたようなことは起こらず、フロインはノインに抱きつくと、その頬に頬を寄せただけだった。その光景に、皆の気配が一斉に脱力した。

「キ……キスするかと思ったわよ!」

照れ屋なセリアが、耐えきれなくなって叫んだ。その息が僅かに上がっていた。そんな妃の隣で、インファは、あなたは可愛い人ですねと言って笑っていた。インファのそばにいることを約束させられたセリアは、今では抵抗なく隣に座れるようになっていた。

「はは。こんな場所で、よくそんな真似できるな、ノイン」

突然のプロポーズを真っ正面で見せられたリティルは、こっちが恥ずかしいといって困ったように笑った。その隣で、シェラが真っ赤な顔で俯いていた。そのさらに隣で、インジュが言葉もなく固まっていた。

「気がついた面々から、何度も根掘り葉掘り聞かれるのなら、皆の前で宣言しておいた方が一回で済む」

そう言ってフッと微笑みながら、ノインは未だ抱きついたままのフロインの頭を優しく撫でた。

 その光景を、風の王夫妻の後ろのソファーから見ていたレイシとインリーは、どちらともなく顔を見合わせて笑った。こちらのソファーは少し足が長く作られていて、前に座る者越しに、テーブルを隔てた向こうに座る者の顔が見られるようになっていた。

笑うインリーの首には、複雑に編まれた麻紐に、空の色をした羽根の飾りがついたチョーカーが飾られていた。レイシの首にも、金色の白鳥の羽根の飾りの、首飾りが揺れていた。

 盛り上がるソファーから少し離れて、暖炉のそばの椅子にいたゾナのところへ、ケルゥとカルシエーナが避難するようにやってきた。

「祝福してやらないのかね?」

魔道書を開いたまま膝に置いたゾナは、意外そうな顔で、ゾナの座る椅子にもたれかかって、カーペットの上に胡坐を掻いたケルゥに尋ねた。

ゾナとノインの間には、すでにわだかまりはない。こうやって皆から離れているのは、ただ、研究者気質で一人が好きなだけだった。

ゾナは、落ち着いたら、ゆっくり二人を祝福してやろうと思っていた。ケルゥは、そんな彼の気質を知っていて、ここへ来たのだった。

「オレ様知ってたからなぁ。ノインのヤツ、あれでいて悩んでてなぁ、相談されたのよぉ」

ケルゥは、カジトヴィールのゴツゴツとした頭を掻いてやりながら答えた。

「ノイン、混乱してるな。わたし達、魂分け合ってないのに相談って、いい答えなんてない」

カルシエーナは、ケルゥとは反対側の椅子の側面にもたれ、椅子に座るゾナを見上げた。そんなカルシエーナの小さな膝に、ミリスヴィールが撫でろと言わんばかりに、鼻先を乗せた。

「ほお?理由があるのかね?」

「必要ねぇのよぉ。オレ様達、目覚めた時から番だからなぁ」

そう言って、ケルゥは凶悪に笑った。

「興味深い。それにしても、騒がしい。どうにかならないのかね?」

「そのわりに、おめぇ、楽しそうな顔してるぜぇ?」

そう指摘されて、ゾナは少し驚いたように瞳を見開いたが、ゆっくりと知的に微笑んだ。

「なんだ?ゾナ、楽しいのか?ここに来られて、よかったな」

立ち上がったカルシエーナが、肘掛けに手を置いてゾナの顔を覗き込んできた。

彼女たちは本来、この城にいていい精霊ではない。しかし、風の王の監視の下滞在を許されている、居候だ。そして、ゾナも同じだった。だが幽閉されているわけではなく、ゾナが望めばこの城から出て行ける。

出て行かないのは、彼女たちと同じ理由なのだとゾナは、自覚していた。

「思いの外、ここは居心地がいいのでね、しばらく居座るとしよう」

「ワハハ!そう言ってやがって、出らんなくなるぜぇ?ゾナさんよぉ」

「それならばそれで、よしとしよう。オレは己の意思でここにいるのでね」

「本当?お父さんに、引きこもるなって言われて、引っ張り出されたんじゃなかったか?」

「失敬な。リティルとやり合う力くらい、オレにもあるのだよ?今は自分の意思で、自分の足で、歩いているよ」

そう言ってゾナは、コバルトブルーの瞳を細めて、皆の輪の中心にいるリティルを見た。

不思議な気分だった。もう、運命が交わることはないと思っていたのに、今こうして対等に肩を並べている。

リティルに、永遠を覚悟しろと言われたが、ここにこうして居られるなら、悪くないと思えていた。あの時、終わることを求め、生きることを怖がった心はもうない。

ここで、皆と時を刻み生きていこうとそう思えた。


 風の城の中庭にある巨大な鳥籠に、インジュはいた。

今ではインジュも、ほとんど応接間にいる。だが、ここは今でもインジュの心のよりどころだった。今日は、止まり木を模した空中ブランコにフロインの姿はなかった。

「インジュー」

名を呼ばれ、インジュは振り向いた。その瞳が、どこかボンヤリとしていた。

「あのさ、付き合ってよ」

レイシはそう言うと、ポンッとワイングラスをインジュに投げて寄越した。

「わああ!危ないっ毎回毎回!落としたら、どうするつもりなんですか」

インジュは慌ててグラスを手で受けた。そんなインジュにレイシは、どうって?ただ割れるだけだよと言った。

「アハハ。グラス、あんたに作らせればよかった。もの凄い凝った意匠のヤツ」

「勘弁してください。無様な物を作ってしまったら、ノインに怒られちゃいます。そのワイン、どこ産ですか?」

「聞きたい?」

レイシは鋭い瞳にニヤリと笑みを浮かべた。その笑みを見たインジュは、息を飲んだ。

「うっえ?あの、怖いんですけど、ボク、今度はどこへ連れて行かれるんですか?なぜリティルは、レイシにだけ伝えるんです?ボク、ちゃんと応接間にいますよね?」

インジュは、レイシと組まされて仕事に行くことが多かった。仕事が決まるとレイシは、からかい半分に行き先の酒を鳥籠へ持参する。

「アハハハ。今日は仕事とは関係ないよ。たださ、インジュと飲みたかっただけ!」

ほらほらと、レイシは遠慮なく、緑の絨毯のような柔らかい草の上に座り込んだ。そして、ワインの栓を抜くとインジュのグラスに有無を言わさずに注いだ。

インジュはどこかぎこちなく、それでもレイシの前に座ると、控えめに一口飲んだ。そんなインジュの前で、レイシはグラスに半分ほど注いでいた赤ワインを一気に飲み干した。

「わあ!レ、レイシ、そんな飲み方マズイですよ!」

「え?今日はいいんだよ。インジュもさ、取り繕ってないで飲みなよ」

インジュは、なぜレイシがここへ来たのか理解した。彼はこれでも、慰めに来てくれたのだ。共に仕事に行けば喧嘩ばかりしているというのに、レイシは不器用にインジュを気にかけてくれていた。拒絶するような冷たい瞳なのに、彼の隠された心はずっと温かい。

「インジュさ、風だよね?」

「はい?そうですよ?風ですよ?」

レイシはそうわかりきったことを聞きながら、二杯目を飲み干した。

「じゃあさあ、こんなときどうすればいいのか、わかってるよね?」

レイシに突きつけられて、インジュは思わずワインを零していた。そして、アワアワと焦りながら、雑巾を瞬時に作り出して拭く。その手が、唐突に止まった。そして、俯いたインジュの瞳からポタポタと雫が降り始める。

「レイシ……」

「うん」

「死んじゃいました」

「うん」

「それでも、ボクは――」

「生き続けるんだ。思い出と一緒に、だろ?ほら、インジュ、グラス空だよ?」

あれから二五〇年後の今日、スフィアは、天寿を全うし永眠した。

ほら!と、ワインボトルを傾けてくるレイシに、インジュは慌ててグラスを差し出した。インジュはふと、いつもレイシの胸で揺れている首飾りがないことに気がついた。首に紐が見えて、ああ、ボクに配慮して隠してくれているのだとわかって、インジュは余計に涙が溢れた。

彼の首飾りは、かけがえのない者を得た証だ。それを得られなかったインジュを、レイシは気遣ってくれたのだ。

 インジュは泣きながらワインを飲み干した。そして、空のグラスをレイシに差し出す。レイシは無言でワインを注いでやった。

そんな二人の耳に、リティルが歌う、風の奏でる歌が聞こえてきた。どうやら、中庭で歌っているらしい。そんな王の歌声に、一人、また一人と声が重なっていく。どうやらインファやノイン、この城で歌える全員が次々に参加して歌っているらしい。

その歌声が慰めるようで優しくて、インジュはたまらずに地面に伏していた。風達の歌声に耳を傾けていたレイシは、魔水晶の笛を取り出すと歌声に合わせて吹き始めた。

葬送の涙を流す相棒の、大事な人が、迷わずに大地へ帰れるように。そう、願いを込めて。


ボクは、思い出だけで、生きていけます!スフィア……あの場所に、もうあなたがいなくても、想い続けていいですか?閉じこもったりしませんから、許して、くれますか?許してください……スフィア!


 空はどこまでも高く高く、青く澄んでいた。

オオカミの耳を持つ子供達が、元気に走っていた。

「あー!その髪飾り、お棺に入れちゃうの?あたし、ほしかったのに!」

少女は、母の手にある金色のバラの咲く髪留めを指さした。

「これはダメよ!おばあちゃんの大事なものでしょう?ちゃんと持たせてあげなくちゃ」

「はーい。でも、誰からのプレゼントだったんだろう?」

少女は無垢な瞳で首を傾げた。

「さあ。でもその人は、スフィアおばあちゃんを、凄く好きだったんでしょうね」

少女に微笑みかけた母の頭には、一対の太短い角があった。

 空はどこまでも高く高く、青く青く澄んでいた。 

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

ワイルドウインド4、これにて終了です。

楽しんでいただけたらな、幸いです。

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