異世界だって、楽じゃない
今日の日本は、物流で成り立っているといっても過言ではない。
君が朝、セブンイレブンで買ったパンだって、毎日使っているトイレットペーパーだって、きっと誰かがあなたのもとに届けている。
僕らが快適に生活を続けるうえで必要不可欠なのが、物流である。
じゃあ物流に欠かせないものは?
それは、高速道路である。
高速道路があるからこそ、トラックが素早く僕らのもとにいち早く商品を届けてくれるのである。
高速道路のおかげで日本はここまで経済大国になれ、発展したのである。
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俺はしがないトラックドライバーだ。独身である。
物流関係の仕事に憧れ、物流関係会社に就職した。そして独立をし、物流の仲介会社を設立した。が、低価格でわりに合わない仕事ばかり、結局体がもたなくなり廃業し今はトラックドライバーをしている。
俺には趣味もないし、家族もいない。嫁もいなけりゃ子供もいないので、よりどころがない。
これ以上お金を稼いだって、意味がない。
この先、生きてたってたいしていいこともないだろう。
でも死ぬの怖いなぁ。
そんなことを、少し運転の休憩がてらに寄った海老名SAで考えていた。
トラックの運転席から海老名SAを眺めているといろんな人がいて面白いな、なんてそんなこと考えながら、
そろそろ行くか、と思いアクセルを踏んだ。
普通はアクセルを踏む前、右と左を見て、安全確認をしてから発車する。
この日はいつも必ずしていた出発前の安全確認をしなかった。
気づいた時にはもう遅かった。
物凄い勢いで10㌧トラックがこちらに向かってきている。
どうやら、居眠りをしているらしい。
俺は最後の抵抗にクラクションを最期の瞬間まで鳴らし続けた。
しかし、トラックは止まるはずもなく、
ドーン
と今まで聞いたことがないくらい大きいな音をたてて、衝突した。
俺は、死んだ。
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ゆっくりと目を開ける。ここはどこだろう。
さっきまでいた(というか死んだ場所)海老名SAじゃない。
辺りを見渡してみると、どうやら俺はベットに横たわっているらしい。
そこは木で作られた、ログキャビンの中。まわりは丸太で作られおり、上には小さい電球がついている。
この部屋の中には何もなく、ガラスの窓の外には緑が生い茂っている。窓からはまばゆい日差しが差し込んでいて、とても天気が良い。また、気温もちょうどいい。
なぜか、不思議なことに身体の痛みが全くない。
俺はゆっくりと立ち上がった。
すると、ドアが
ガチャリ
と開いた。
「あら、目を覚ましたのですね。」
と、橋本〇奈似の美少女が入ってきた。耳が大きくとがっており、SFにでてくるエルフのようだ。あ、いすゞのトラックではない。
「ここはいったい・・・」
まずはここがどこかを知りたかった。だって、俺死んだもん。
「ここは山小屋ですわ。山菜を探しに来ましたところ、あなたが森の中で倒れているんですもの。何とかここにつれてきましたの。体調は大丈夫ですの?」
「体調は大丈夫・・・。というかその耳は何!?ていうかここ海老名SAの医務室じゃないの!?ここはなんなんだ俺は死んだんじゃないのか!?」
エルフ美少女の肩をぐわんぐわんと揺らしながら、畳みかけるように聞いた。
「・・・大丈夫じゃないみたいですわね。まだゆっくり寝ておくといいですわ。」
エルフがそっと俺を布団の中に押し倒した。
エロい展開に・・・と思いきや、俺は即座に眠りに落ちた。