懲罰房にて 思考
いつもより短いです。
時間が少し戻ります。
必要最低限の物、のみの空間、何もすることが出来ない時間。
第2地区にあるギルド支部、本店、そこにあるこのトイレと簡易ベッドしかない独房で、イゾウはもう半日過ごしている。
この部屋は 無 という罰を与えられる部屋だ。
表向きは独断行動の罰、裏向きは講師が講習生を攫ってレイプしようとしたこと、そしてその講師を別の講習生が半殺しにしたことを隠蔽している間、当事者を隔離するためだ。
師匠や好意的な教官たちは、上位種と戦って神経をすり減らしたであろうイゾウに休みを取らせてやるための口実にイゾウは懲罰房へと送られた。
事情は密かに伝えられ、特に制限はかけられず、イゾウは身体、そして疲弊した心を休めるために寝て過ごした。
肉体的にも魔力的にも〝聖剣〟の回復効果であまり疲弊していなかったが、精神的にかなりすり減っていたイゾウは感謝して受け入れた。
食事のみが差し入れられ、食っては眠り、起きて考えて、また眠った。
最も任務後にこの部屋へと入れられて、すぐに眠りにつき、遅く起きることが出来るという特典こそ有ったが、ダラダラ過ごしているうちに眠れなくなっていた。
まだ日は半分にも達していない、午前中には時間を持て余すようになっていた。
「暇だ。 自家発電するにはなぁ、急に入ってこられたら困るし・・・
ふぅ、 まぁ今のうちにステスキルでも整理するか・・・
と言ってもステータスは見れないんだけどな。スキルを確認しておくか。」
寝転んでいた簡易ベッドから身体を起こし、壁を背に座る。
意識を右目に移し、右目にのみ見える世界を確認する。
(・・・本体レベルはっと、41。
チラチラ見てたから分かってはいたけど、間違い無いな・・・
それにしても一気に上がったな。 やっぱり雑魚を何匹も殺すよりも、強い奴と1回戦う方が上がりがいいのか・・・
任務前の狩りの時に ベースレベル 15
第三南門の防衛時にはたしか ベースレベル 19
街中でハイオーク殺してるときに ベースレベル 20を越えた
で、全部終わって 今 レベル 41 ・・・
10を越えてからオーク相手じゃ殆ど上がらなかったのに。ハイオークならそれなりか。
ヒースと、グラジエーター殺してたらいくつまで上がってたかな・・・
少し、勿体なかったか。)
捨てた経験値を思い浮かべて少し未練が浮かぶ。
だが覆水は盆に返らない。
( 〝 神の寝床 〟 は特別レベルが上がりやすいとかあるかもな。
もしかしたら〝聖剣〟 にその恩恵があるかもしれない。
あるいはその両方か。)
その〝聖剣〟 は任務終了後、元の所有者である教官長の元に戻ることを拒んだ。
イゾウの手元を離れ、他の誰が、どんな立場の人間が持っても高温を発し、柄を持たせることをすら拒否するようになった。
元の所有者の教官長ですら触れなくなった状況に、第2地区で対応したギルド職員たちはかなり渋い顔をしていた。
今現在は、布を幾重にも巻かれ、鎖に縛られ、厳重に封印した状態でイゾウの所持を許されている。
(まぁ聖剣が言うにはそんな封印、全く意味ないらしいけどな。一瞬で弾け飛ばせるって・・・
それを聞いたら、封印した教官たちはどんな顔するのか見てみたいものだ。
まぁ約束だからしないけど。今は寝てる状態だし。)
この懲罰房にいる間に、絶対に使用しないことを条件に、イゾウが今も〝聖剣〟を所持している。
眠りに就く前に〝聖剣〟がイゾウに伝えるには、遠距離を強引に空間移動してイゾウの元に飛んだ反動がまだ残っているために、現在はイゾウの魔力を吸収しながら休眠状態になっているという話だ。
おかげで浮かんだ疑問も確認する事が出来ないでいる。
(俺にも、〝聖剣〟にも都合のいいタイミングで休暇だな。)
それでもこのまま所持するのは難しそうだな、と考えてイゾウは頭を掻く。
元々は〝聖剣〟を奪って姿を消す算段だったがために今の状況は頭が痛い。
素直に返却されてくれればまだ違ったが、まさか自身を発熱させてまで拒むとは思わなかった。
〝聖剣〟については完全にノープランである。
(まぁなるようにするしか無いか・・・
返却か、所有の2パターンしかねぇし。所有が枝分かれしていくだけの話だ。
それよりも問題は職業アビリティの方だ。
〝魔人〟 〝騎士〟 〝外道〟 〝巨人殺し〟・・・いつの間にか4つになってやがるし。
この並びだと〝騎士〟だけ可愛く見えるから不思議だ。
大体巨人なんて殺してないし、戦ってすらいねぇ・・・この項目はさっぱり意味がわかんねぇ・・・)
魔人の職業アビリティですら教官だけでなく、大魔道にすらかなり驚かれた。
字面だけみるなら〝騎士〟の職業アビリティでも大概だ。
(普通は戦士とか、武闘家とか、剣士とからしいからな。俺の職業アビリティだけ痛々しいのが並びすぎだろう・・・
まぁこの辺は〝資格講習〟を受けるまでは見られることは無いから、それまで保留か。
しかし、職業アビリティは10ごとに発現することがある、って聞いてたのに、見事にレベル40までに全部発現してるな。)
それは〝 神の寝床 〟の恩恵だ。だが当のイゾウにはそれが分からない。
もしかしたら、という疑問はある。だが答えてくれる者がいない。
(講習を受ける以上、これは隠せるモノじゃないからな。氷の神の事も含めてそろそろ一部には話しておくか。使徒だから勇者にはなれないと伝える良い機会かもしれない。
とりあえず〝氷の神〟を信仰してくれる者を増やす事が第一だ。
師匠と・・・・大魔道も、か。 あとは女関係に、かな。
場合によっては積極的に子作りしたがる奴もでてくるかもしれない。
後は、協力者を作ってかないと厳しいな。
協力者・・・いや、どちらかというと共犯者か。
氷の神様を信奉してくれつつも、俺のやることに手を貸してくれる存在が必要だ。
なるべく、権力者がいい。
それも複数。
まぁこれも流れだな。現状何のコネも無い、大魔道のほうに何かツテでもあればいいんだが。
あとは白の大魔道だな。やってもいい、やらせてくれるつーんだ、有り難く頂こう。
で、街を焼いたって話だ。なんとか始末つけられないか・・・
借金なんて無い方がいい。大魔道の〝色付き〟なんてレベルの化け物だ、借金に縛られているのは勿体ない、
今からでも 前の男に罪を被さられ無いか?
俺の女に何とか~とか言って、その色男のところへ行っていちゃもんつけて、その借金をそいつとその家族、一族郎党から、背後に誰かいればそいつにまで押しつけてやるのが最良か・・・
ふむ・・・こんな世界だ、権力があれば何とでもなりそうだな。
逆に言えば権力が無いとどうにもならない問題だ。
どうも俺には水と氷魔法の才能はあるが、それ以外は無さそうだ。
初級の火魔法レベル1 を覚えるのに20ポイント。
上下はあるが他の魔法も似たようなものだ。当然光魔法もポイントが高い。
ならばせっかくの光魔法使い、しかもその筋の最高峰との縁、大事にしたほうがいいな。)
現状でイゾウに白の大魔道の借金をどうこうする力は無い。
だが封建社会のこの世界では間に権力者が1人挟まるだけで、話が変わるだろう。
極端な例えで言えば、王様の弱みを握って、王様に借金を無しにする、そう言わせれば良いだけの話だ。
それを出来る出来ないでは無く、今は今後の行動の中に仮に組み込んでおくだけだ。
視野にいれて行動すればいい。
(後は呪い娘だな。 彼女にはなった、後はぼちぼちだ。
子供を産んでくれても、死んだら意味が無い。長生きして欲しい。
・・・〝 至高の万能薬 〟 も視野にいれないと。)
〝 万能薬 〟の中の万能薬。
全ての傷や病を癒やす薬、それが 〝 万能薬 〟
その最上位に位置するのが 〝 至高の万能薬 〟だ
どんな病も、どんな呪いも癒やす薬。
現在、人類には作れないとされている薬。
( たしか〝 迷宮 〟でしか手に入らない・・・
そこそこの深さのボスクラスを倒すと〝落とす〟するとか、完全にレアアイテム。
まんまゲームじゃねぇか。 しかも後半でやっと手に入るタイプの。
まぁ・・・正攻法では、だけどな。
持ってる奴から奪い取るのがてっとり早い。呪い娘は嫌がるだろうけど。
昔アイスソードという武器がありましてね。
氷繋がりできっとその話は相性がいいはずだ。
奪い取るには・・・ まず絶対的に俺が強い存在で必要がある。 恐れられ、怯えられる存在。
直接奪わないにしても・・・脅すだな。 組織化か、数がいればはったりも効く。
組織力・・・裏町のほうの強化もいるな・・・
飯を食わせて、武器を持たせて、それなりに教育する必要もある。
生活の基盤を整えてやらないと・・・
どちらにしても必要だ。
『迷宮の攻略』 と 『奪い取る力』 同時進行する必要がある。
チカチーノ以外の事にも使えるし)
「やることが山積みだ。」そう呟いてイゾウはベッドに倒れ込んだ。
何から手をつけて良いのか、あれこれと考えて、どんどん時間は過ぎていく。
昼飯が差し入れられ、それを食べた後もベッドに寝転び、天井を見上げながら考えた。
そして気づく。まず自分が強くある必要があると。
「ああ、氷魔法にポイント振らないと。」
ベースレベルは41。 1レベル 2ポイント手に入る。
つまりこれまでに 80ポイント 得ている。
【メモ】
・職業アビリティ
ベースレベルが10ごとに発現することがあるアビリティ。
職業のような名前で発現することからその名で呼ばれている。
基本的にマイナス補正は無く、発現すると大きく能力が上がる。
発現率は平均で50%を切る。
才能の無い者は20%以下の確立でしか発現しない。
〝 神の寝床 〟補正でイゾウは100%発現する。
・〝 魔人 〟 (まじん)
身体、魔力、共に人より優れた者に発現する可能性のある職業アビリティ
人の枠を越えかけた者を越えさせる為の職業アビリティ
HP、MP 20%アップ
戦闘時全ての攻撃が25%アップ
戦闘時、スキルが習得しやすくなる。
バッシブ
未表示
レア度 ☆☆☆☆☆ / ☆☆☆☆☆
・ 〝 騎士 〟 (ナイト)
人を守る行動を自然と繰り返す者が発現しやすい職業アビリティ
心の在り方では無く、行動によってのみ左右する。
体力 10%アップ
防御 5%アップ
頑丈 5%アップ
槍スキル、騎乗スキルに補正有り
バッシブ
表示有り
レア度 ☆☆ / ☆☆☆☆☆
・ 〝 外道 〟 (げどう)
何も感じずに命を散らす行動を繰り返すことが出来る者に発現する職業アビリティ
殺意を篭めた攻撃に〝即死〟効果を付与
即死系のスキルを取得し易くなる。
バッシブ
未表示
レア度 ☆☆☆☆ / ☆☆☆☆☆
・ 〝 巨人殺し 〟 (ジャイアントキリング)
自身よりもベースレベルが高い者へ、何度となく挑み、打ち破った事のある者にのみ与えられる職業アビリティ
全てのステータス +20%
瀕死時にさらに50%の補正有り
大型武器を使用しての攻撃に+50%
ベースレベルが自身より高い者の使用した技能を見ることで覚えやすくなる
バッシブ
未表示
レア度 ☆☆☆☆☆ / ☆☆☆☆☆
明日も更新します。
振り返り、というか 一度まとめ です。
こうしてどんどん人外チートになっていくわけで
19/7/28
感想で指摘頂いた所を変更しました。




