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異世界(この世)は戦場、金と暴力が俺の実弾(武器)  作者: 木虎海人
3章  土台作り

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独り酒 振られ酒

2話削除しました。

17時に先行して1話投稿しています

そちらを未読の方はそちらからお願いします




変わる。

具体的に何が変わるか。


今までは力を求めてきた。

そこは変わらない、だが方向を少し変える。


力とは何か。


まずは個人の力だ。

これはこの世界で生きるには全ての土台となるだろう。

自分が弱ければ話にならない。弱い者は奪われるだけだ。

だからこれからも強くなるよう努力は続ける。


勿論今までも怠ってきた訳では無いつもりだ。


次にこの世界に来てから、どこか仲間という存在を求めてきた、そう思う。

心を許せる相手、気の許せる友人、背中を預けられる仲間。


「前世よりも頑張ったつもりだったんだけどな・・・」


前世では知り合いはそれなりにいた。だが友人だったかと言われると答えに詰まる。

有り難いことに今現在、仲良く付き合える友人は出来たと思う。背中を預けてもいいだろう。

それもこの世界向けの強い、才能の有る奴らだ。

おかげで今度は嫉妬に(まみ)れて過ごしている。


が、それは良い。得るものもあった。むしろ多かった。


どうにもならない問題もある。

友人という存在、困ったときに頼れないことだ。

大魔道の言葉一つで誰も手を貸してくれなかった。

友人で有っても無くでもだ。


・・・・・もしかしたら俺だけが友人だと思っている可能性すらある。


あの時助けてくれと言うことは出来た。言うのは簡単だ。

だが言わなかった。

見ているだけの姿が視界に入った時、声が出なかった。

それは友人だけで無く、師匠に対しても同じだった。


多分心のどこかで、命を救われたという借りを作りたくなかったのだ。

人に頼れば金が掛かる。無償で人を助けるというのは友情では無いだろう、俺はそう思う。

友人知人だからこそ、金の面では公正であるべきだろう。


「悲しいときは身一つ、信じられる者は自分・・・と金だけか。」


全部終わってここ数日、友人に限らず知人を含め話せる限り話をし、自分がいない間の話をなるべく聞いて情報を集めた。


結果、()()()()()ところがいくつかある。

今後、少し距離を置いて付き合うべきだろうと思う。

学生時代の友達と、社会に出てからの友達は違うということかもしれない。


例えば、周囲にいる人間にオークの上位種と一緒に戦ってくれ、そう言えるかという話だ。

すでに結論は出た、俺は言えないだろう。

その結論に達している。


「やっぱり奴隷を買うべきが・・・

無条件で命令を聞く戦力が要る。」


転生してきたときから覚悟はしていたが、1人2人ではなく、兵力として数を揃える必要が出てきた。


「結局金だな・・・金が要る。」

(心を鬼にして、使い潰すつもりで動くか。)


ブラック企業という言葉があった。何を指してブラックと呼ばれるかは意見が別れるところだが、その大半は人件費を削って利益をだしている会社であろうと思われる。

人件費を削って、労働時間を削らない、大半の仕事はこれだけで利益が出る。

奴隷に給料などない。

後は飴と鞭の加減だろう。なるべく酷く扱われ慣れている奴隷がいい。


どこか甘いところが残っている自分に出来るかと考えていたが、自分のやりたいことだけをやろうとするならば、結局自分の言うことにイエスとだけ答える兵力が必要だ。


奴隷を買い、利益が出るような仕事をさせる。そしてさらに奴隷を増やす。

同時に兵力となるように、育てなければならない。


なにしろ相手はオークの上位種だ。

奴らは俺がこの街にいると思っているはずだ、まず間違い無く、そして絶対に群れを率いて攻めてくる。


そうだろう?と誰もいない自分の前の盃を置いた空間に問いかけた。

俺の想像の中の二頭のオークはニヤリと笑う。


「俺を殺しに来た戦争で、国や街、貴族が俺を守ってくれるかどうか・・・ねぇな・・・」


ただの襲撃なら迎え撃つだろう。

だが奴らは言葉を理解する。

変に情報が流れたら?


「人身御供なんて珍しくも無いか、八岐大蛇伝説然り、古墳やピラミッドは少し違うか、だが人の命に平等の価値観は無ぇ・・・」


自分の命令で戦う戦力が必要だ。


幸い裏町にも労働力を手に入れた。

方法はいくらでもある。








そのまま手順を思考していると『 看破 』のスキルに反応があった。

このスキルは隠れている者が分かるというスキルだ。

分別がつけられる訳ではない。極端な話だが当人にその意志がなくてもコソコソしてれば引っかかる。

このスキルを覚えてから1番反応するのは呪い娘、チカチーノだ。

恋人になった今現在ですら、近くに来るときはおどおどこそこそしている。

そんな所もかわいいと思うが、そろそろ慣れては欲しいものだ。



立ち上がり屋上の入口に近づいて来る者を待った。


やがて入口から白金の髪を揺らした長身の女が見えた。


「セレナ・・・」


「よっ」


「ああ、なんでここに?」


「・・・・イゾウがこっちに行くのを見た子がいてね、うん・・・」


「そうか・・・ それより、無事で良かった。目を覚ましたとは聞いていたけど、なかなか会えなくてな、心配してた。」


セレナは焼かれていた。

攫われたマナを助けようと講師を追い、掴み掛かり必死に戦ったらしい。

だが講師のほうが人数が多かった。健闘したが講師に背後から火魔法を撃たれ、焼かれた。


長く伸ばし、背中で緩く纏めていた白金の髪は焼け焦げ、今は耳のあたりで短く切りそろえられている。

元が美人なので短髪(ショート)の髪型も似合う。

だがその髪型は俺の不甲斐なさを浮き彫りにし、心を締め付けてくる。

罪悪感で胸が痛む。

あの時俺が側にいれば、そう考えずにはいられない。


俺がオークの上位種と()()()()()()()にマナは連れ去られた。


どうにもならない思いで頭の中が沸騰しそうになった。


セレナは一命を取り留めたが、見えないところに火傷が残っている。

治したのはほかならない俺だ、俺の力では綺麗に治しきる事が出来なかった。

なので人目に付くところを優先して治している。服の下にはまだ火傷の痕が残っているだろう。


意識不明で俺が懲罰を受けているときに目を覚ましたと、話は聞いていた。



「ううん、もっと早くお礼を言いに来たかったんだけど、ごめんね、忙しそうだったから・・・」


任務が終わって翌日、俺は懲罰を受けた。

セレナとマナを助けるために単独行動をした罰だ。ということに表向きはなっている。



単独行動 = 即奴隷落ちにはならなかった。

師匠曰わくギルドは司法機関では無い。


脱走や、単独行動をしようと考える者を諫めるために厳しく伝えているだけだった。

俺が受けた罰は独房で一日何もせずに過ごすというシンプルなものだった。


何も与えられず、見張りもない、食事は質素、だが三食ついた。

特に制限も無く、トイレとベッドもどきしか無い部屋で一日寝て過ごした。


おかげで疲弊した心も体もゆっくり休めることが出来た。


その後、講習に戻ってからは空いた時間は質問攻めにあった。

その他にも来客の対応をさせられたり、厳しい訓練が追加されたりと、いつも以上に時間が取れなかった。



「お礼? 俺はお礼を言われる立場じゃ無いよ。

守れなかった、マナも危険な目に合わせたし、傷・・・残ったんだろ?

ごめんな、綺麗に治せてやれなくて・・・」


「ううん、そんなこと無いよ。マナから聞いた、マナを助けてくれたのもイゾウで、私を見つけてくれたのもイゾウだって、怪我を治してくれたのもイゾウだって、そのせいで」

「待った、止めてくれセレナ。俺は後から始末をつけただけだ。

本来なら・・・・


そんなことが起きないように俺は努めるべきだったんだよ。

なのに、班から離れて、挙げ句の果てにオークの上位種と喧嘩して・・・


セレナ、おまえとマナを危険に晒したよ。

だからお礼を言うのは止めてくれ、自分が許せなくなる。

そして謝らせてくれ、ごめんな、ちゃんと守ってやれなくて。」


「・・・・」


俺が謝るとセレナは何も答えず黙ってしまう。

その顔は少し悲しそうに見えた。


「それでさ、考えたんだ。」


「え・・・う、うん?何を?」


「ああ、責任の取り方だ。」


「責任!? イゾウは助けてくれたんでしょ、私達恨んでなんてないよ」


「でも傷つけた、治せなかった。だから責任を取りたい。

次はこんな事、させない、絶対に許さない。

2人を生涯守らせて欲しい。」


「え!? 生涯・・・て、それ・・・」


「そーゆう意味で。

まぁ一夫多妻になるけど、今後はきっちり守る、そしてちゃんと養ってみせるよ。

二度と同じ目に合わせないと誓う。


あー、これで今回の任務結構稼いだんだ、まだもらってないんだけどさ。

講師のクソ野郎どもがいるって言ったところに、オークはいなかったんだけどさ、その先に進むとウジャウジャいやがってよー、まー結構苦労したけどかなり数狩れたんだ。

だけどその討伐証明、上位種と戦ってるときに無くしちゃってさ・・・あ、だけど、ローインって勇者の人と、〝 林檎の帽子(リンガーハット) 〟ってクランの人たちが拾っといてくれたんだ。

ちゃんと俺の戦果だって報告してくれたんだよ。おかげでその分も上乗せされるし、今日昼間訪ねて来てくれた勇者の人たちもそこにさらに色つけてくれるように頼んでくれるって。

 代わりにオークから分捕った結構良さげな片手剣は取り上げられちゃったんだけどね、高く売れそうだと思ってたんだけど、ローインさん、あっ勇者の人な、のメイン武器だったんだって。

どうりで金の掛かってそうな武器だと思ったよ。すげー細工に拘っててさ、高そうだった。」


まぁ本当はそれはヒースにもらった物だけどな、と心の中で付け加える。

これで頼りになる男だとアピールをしたつもりだったが、セレナの顔はどんよりとさらに暗くなっていた。


「セレナ? ああ、すまんな、こうゆう話、嫌だったか?

まぁしばらくは冒険者だろうけど、もらった金で装備固めてすぐそれなりの纏まった金を作ってみせるよ。

で、なんか商売やりたいと思ってるんだ。

セレナもマナも商人の家系だったんだろ? これで結構腹案もあるんだぜ、どいつもこいつも人の事脳筋扱いしやがるんだけど、ちゃんと考えてるんだ。

だから一緒にそんな風にやってくれたらいいなぁと思ってるんだよ。

商売をしていれば冒険者より危険は少ないだろ?」


どちらかと言えばマナが冒険者には向いていない。150センチを切る背丈に、魔力も高くなく、戦闘向きの性格もしていない。

セレナも背丈こそ俺と変わらないが、戦闘向きな性格だとは思えない。

商人の家で育っているんだ、多少商売を見ているだろうし、そっちで将来的にとか考えていた。


「・・・・」


だがセレナは何も答えなかった。


「ああ、すまんな、どうもテンション上がって余計なことまで言い過ぎた、か。

混乱するよな、別に冒険者として駄目だとかそういう話じゃなくて、前に少し話したと思うけどどっちかというと俺は冒険者が初期費用貯める為の手段だから」

「イゾウ!」


それまで黙っていたセレナは突然強い声をあげた。


「イゾウ、ありがとう・・・色々考えてくれて。

もし、もしだけどそんな生活が出来たら幸せだと思う。マナにも無理させなくて済むしね。

でもね、でも・・・

ごめんなさい、わた、私は、イゾウと、お付き合いは出来ません。

助けてくれた事は本当に感謝しています。ありがとうございます。

迷惑掛けてごめんなさい。


でも、でも、お付き合いは出来ないの・・・」


そう、泣きながら頭を下げて言った。




振られた後のイゾウが納得してくれたら明日も投稿してると思います・・・

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