独り酒 独り言
m(_ _)m
2話削除しました。読んでくれた方、申し訳ありませんが忘れて下さい。
無しです。
違う流れになってます。
ここしばらくずっとセレナとマナを助ける話が書けず四苦八苦してました。
なので諦めます。
諦めて先に進みます。
ある建物を屋上に向かってイゾウは登っている。
現代の配管が並ぶようなビルの屋上と違い、古い朽ちた物干し台や散らばった荷物が所々に置いてあり、散らかってはいるが取り立てて何も屋上だ。
イゾウはそこがどこか秘密基地のような雰囲気を持っているように見えて気に入り、小柄な酒樽を一つ、盃を三つ、軽いつまみになるような食べ物を持って登ってきた。
防衛任務から三日。
講習生は日常を取り戻し、元の講習に戻った。
イゾウはなんだかんだと任務終了後の翌日には一日懲罰を受けたが、それ以降は講習に戻っている。
だが今日、予期せぬタイミングで知りたかった情報が手に入った。
考えをまとめようと1人になれる静かな場所を求めてここに辿り着いた。
朽ちて散乱している荷物から椅子とテーブルになるような物を引っ張り出し、三つの盃とつまみを置く。
椅子は自分の分だけだ。盃に酒を注ぐ、一つはなみなみと、二つは気持ち分だけ。
そしてなみなみ注いだ一つを持って1人乾杯し、ゆっくり口に運んだ。
空には星が美しく輝いている。
星座に詳しくは無いイゾウだが有名どころをいくつか判別するくらいの知識はあった。
だが空を見ても記憶にある星座は無い。
何よりも大きな違いは月が無いことだろう。
正確には月は有る。 だが無い。
月に準ずるような大きな星が複数有る。
この世界ではその月、その週、その日によって、見える月の数も種類も変わる。
周りに聞いても詳しい事は皆よく分かっていなかった。
仕方無くそんなものだと妥協している。
今日の空では月が3つも輝いている。おかげで月明かりだけでも明るい。
そんなものだと思っても違和感は拭えないでいた。
そんな異世界の夜空を見上げながらイゾウは
「思えば遠くへ来たものだ。」
などと自分に酔いながら考え事に深けていった。
1人になりたかった理由、それは考えを纏めたかったから。
任務終了後、懲罰を受けさせられた。その後すぐに講習に復帰したが、今まで1人の時間が取れずにいた。
特に大きかったのは勇者の訪問だ。
悩み事の増えたイゾウにさらに悩みと、ギルドの初心者講習内では絶対に手に入らない知らせを運んできた。
イゾウの前に置かれた盃は3つ。
1つは自分の分。
1つは殺し合ったオークグラジエーターの分。
もう1つは、その弟、ヒースと名付けたオークの中位種の分だ。
今日、そのオークの兄弟に仲間を殺された勇者たちが、補充枠に入らないかと勧誘しにギルド支部第三地区支店へと訪ねて来た。
その時に気になっていた事の経緯を聞いたからだ。
結論を云えばオークの上位種、オークグラジエーター。
そしてイゾウがヒースと名付けたオークは追う者の手を逃れ、生きている。
追っ手を殺し逃げ延びた。
☆★
訪ねてきたのは勇者3人、ぞれぞれ1人、従者をつれていたが従者は彼らのパーティのメンバーでは無く、彼らの出資者である貴族の家の関係者だった。
講習中は外部からの接触を冒険者ギルドは許していない。
だが彼らは貴族、そして勇者の立場を使い強引に、面会を求めてきた。
ギルドは意趣返しの意味をこめてだろう、3勇者同時での面会として、その機会を作った。
「有り難いお話ですが・・・」
「そうか・・・理由を聞いても良いかな?」
世間話のテイを取り、勧誘話を折り込んだがイゾウは考えること無く断りの返事をしてきた。
代表して、年長の勇者であるアーネストが問う。
「講習費用の返済、それとしばらくは『中級講習』を受け、その間に師匠の元に通い教えをて腕を磨きたいので、本格的な活動はまだ早いかと。」
「どこかパーティに入るつもりはないと?」
「講習を受けながら、という条件で入れるパーティなんて無いだろうと聞いていますが。」
「ふむ・・・」
「まぁ、無いだろうな。パーティに入る場合そのパーティのリーダー指示で動くのが普通だな。
俺のパーティに入ったなら、当然こちらの都合に合わせてもらうだろう。
どこか人数の多いクランとかなら、内部で融通も利くだろうが、な。まぁどこのパーティ大体も変わらないだろう。」
「ですか・・・」
「ああ。」
言い淀むアーノルドの代わりに答えたのは、2人目の勇者であるピーターだ。
この中で本気でイゾウを勧誘したいと考えている勇者は、パーティが壊滅している3人目の勇者ローインだけしかいない。
2人の勇者はそこまでは考えていない、特にイゾウの師匠たち、その弟分のような存在の教官である、エクルンドを敵視しているピーターはイゾウの事をそこまで強く必要としていない。
それどころか、間違い無くエクルンドの教えを受けているイゾウは彼にとって不要の存在だ。
彼らの上にいる貴族に様子を見てこいと指示を受け、従っているにすぎない。
その彼にとってイゾウの答えは都合の良いモノだった。
「ギルドの講習費用の返済は半年に1回の防衛任務の参加、を3回だったか?」
「です。もしくは現金でも許されていますが」
「誰か、もしくはどっかの組織に金を借りて返す、なんてのは止めた方がいいぞ。
間違い無く借りたところの都合で働かされるだろうな。
講習を受けるなんて、もっと難しくなる。」
「あー・・・なるほど、ご忠告痛み入ります。気をつけます。」
それはそうだろうな、とイゾウも頷いた。
「特に借金は気をつけた方がいい。奴隷ってな、借金奴隷が1番多いんだよ。
つまり、借金が1番奴隷に落ちやすいんだ。
強い奴、戦力になるって奴を見定めて借金を持ちかける奴も多数いる。借金が返されようが駄目だろうが取りはぐれないからな。
お前の場合だと講習費の肩代わりの話を、今後いくつか持ちかけられるだろうな。
用心した方が良い。
相手は金を貸す。で契約してお前さんに仕事をさせるわけだが、気をつけないと拒否権の無い状態で契約させられる場合がある。」
「酷い話ですね。」
「大半の冒険者なんて馬鹿ばっかりだからな、禄に契約書も読まないで飛びついちまう奴が多い。自業自得な話なんだが、気をつけたほうがいいぞ。
話が違う、やってらんない、なんて借り主に噛みついた途端、奴隷落ちって寸法だ。
出来るだけ、金は借りない方がいい。」
2番目の勇者が饒舌に語る。彼は元冒険者だけにその辺の話題には明るい。
彼にとってイゾウは必要の無い存在だ。
だが他の勇者のパーティに所属させる事を歓迎する存在では無いことも確かだ。出来れば個人でウロウロしているのが有り難い。勇者にならないのが1番だ。
特にイゾウが〝聖剣〟を持って、他の勇者のパーティに入る事態だけは絶対に避けたい。
この話の流れは都合がよかった。
イゾウに限らず、先輩冒険者たちが講習生をスカウトするのならば、ギルドからの借金の肩代わりが手早い話だ。貴族の紐が付いている他の勇者たちならたやすい提案だろう。
この手法は冒険者ギルドが初心者講習会を今の形で行うようになってから、わりとポピュラーな手法として広まっている。
おかげで彼の言うような問題も多々でているが、現在は講習終了時にギルドが間に入ることで大きく数は減っている。
だが無いわけでは無い。
それをここぞとばかりに畳みかけて強く語っていた。
うんうん、頷くイゾウに彼は気をよくし、話を続ける。
「どの講習を受けるかもう目星はつけているのか?」
「 実は先日まで魔法が使えなかったので、『錬金術師』『調教士』を受けて出来ることや、受けられる仕事を増やそうと考えて予定を立てていました。
資金に余裕が出来たら 魔法系統ですね。『中級魔法』を受けて、『召喚魔法』までは受けたいです。」
「ほう、割と後衛よりなんだな、『中級の武術』 『上級の武術』は受けないのか?」
「その辺は師匠たちに鍛えてもらうので」
無理に受ける必要は無い。まずは修行の時間の確保であろう。
どこかに属する必要は無い。イゾウはそう考えている。
「そうか、ではしばらくは修行期間だな。頑張るといい。」
「はい!」
2番目の勇者ピーターは、周囲に言い聞かせるように言って握手を求めた。
イゾウがその手を笑顔で握り返し、勧誘の話は打ち切られた。
「ああ、もし単発で割の良い任務があったら誘ってもいいか?」
上手く話を持っていきご機嫌な2番目の勇者ピーターが言う。素直に反応したイゾウに少し気が緩み、欲を出した。機会があればたまに様子を見ておきたいと考えてしまった。
これが今日1番の失言だろう。
他の勇者も同じ事を言い、報酬の話になった。イゾウを置いて3人の勇者間で報酬額を競い合ってしまった。
その流れで先日の防衛任務の口添え、端的に言うところの報酬の上乗せへの口だしに話が移り、勇者3勢力それぞれが今回の任務の報酬への口だしを勝手に約束することになった。
白熱する報酬の上乗せ合戦はそれぞれの従者が強く諫めるまで続いた。
その後少し落ち着き雑談に移る、イゾウはその時にオークたちの生存とその後の状況を聞かされた。
まずヒース。
彼はオークとして中位種になっていた。ハイオークよりは上、今回の任務にいた上位種よりはいくらか劣る存在だ。
だが確実に上位種へと近づいているらしい。かなり危険な存在らしい。
彼が従えた2匹のハイオークも中位種らしく油断が出来ない存在だそうだ。
基本中位種など、存在を確認次第、即討伐依頼が出る存在である。
それに逃げられた、と勇者は語った。
さらに危険なオークグラジエーターだが、奴は追ってきた勇者のパーティのメンバーを都合2人殺したそうだ。
そしてヒースも1人殺してる。
その他にも勇者のパーティ以外の追撃者をかなり殺したようだ。
勇者のパーティは3人欠け、殺したオークたちはさらに進化した可能性がある。
結果、四頭のオークには討伐依頼と共に懸賞金が掛けられることになったらしい。
直接戦ったことがあるイゾウに他方から声がかけられるかも知れないと忠告を受けた。
という、(イゾウの)耳に痛い話を勇者から聞いていた。
☆★ ☆★
個人的に奴らを気に入ってはいるが、所詮はオーク、魔物だ。
自分が見逃したことで、さらに進化したヒースたちは人類の脅威と言っていい存在だろう。
その逃げる背中に回復魔法まで掛けている。
勇者たちとの話を思いだしながら今後の事を考えていた。
「くくくっ、言えるわけが無い。」
誰かに相談することも出来ない、故に無性に1人になりたくなった。
せめてその影を思い浮かべながら文句でも言ってやろう。そう思ってここに足を運んだ。
盃を空けてまた注ぐ、そしてまたゆっくり口へと運んだ。
「殺しに来るだろうなぁ・・・」
(自分もまた、変わらなければならない。)
イゾウはそう考えるようになっていた。
闇夜に1人、自分に問い、自分で答えていた。
置いた盃の先に二頭のオークを思い浮かべる。
想像の中のオーク達は何も喋らない。
薄く、そして悪い笑みをイゾウに返すだけだ。
その顔を見てイゾウは覚悟を決める。
という訳でぶん投げちゃいました。
色々すいません。書けないので書けるところを書く事にします。
今夜0時にもう一話投稿します。




