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異世界(この世)は戦場、金と暴力が俺の実弾(武器)  作者: 木虎海人
2章  初心者講習 乱痴気騒ぎ

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閃光弾


【 防壁の上 】



「凄い・・・これが白の大魔道・・・」


空に浮いたまま白のドレスの上に白のローブを羽織っただけに見える幼女が高笑いをしながら魔法を放っている。

空からは白い光の帯が

建物は焼かれ火の手が上がり、白と赤が混じり街を染めていく。



クィレアは呟くように言った。


昨日のイゾウと自分の件、そしてイゾウと白の大魔道の件、そしてそれ以降魔法を覚えてきたイゾウの件で内心複雑な彼女はその光景を睨みつけるかのような表情()で見ていた。


「手が止まってる。」


「う、うるさいわね、次の魔法に集中してただけよ!」


「そうか、早く次を撃たないと全部倒される。」



ナードに言われクィレアは火球を作り出した。

講習生たちも反撃には参加している。

ただ、かなり後方に配置された為に敵の群れの中心までは遠い。

多少敵陣が延びているために眼前にも幾らか入り込んでいたのだが、広範囲の光魔法が容赦なく焼いた。




「流石ユリウス様。」

「凄いです、ユリウスさま!」


ユリウス班の女たちがユリウスの機嫌を取るように言う。

光魔法が無双する中でもユリウスは風魔法を、そして強弓を駆使してオークを屠っていく。

光魔法に襲われ這々(ほうほう)(てい)で逃げ出したオークは、地理も分からないために防壁に沿って奥へと逃げる者が多かった。

それをユリウスが容赦なく仕留めていく。

クィレアが狙ったオークをユリウスが先に仕留めることも珍しくない。

ユリウスに悪気は微塵も無い。

ユリウスはイゾウが戻るまでイゾウ班に被害者を出さないために全力を尽くしている。

オークを、敵を近づけさせない、彼の高い能力は全てそこに集中している。




クィレアは段々と苛立っていった。


クィレアは生来ユリウスのような男を好まない。

単純に好みの問題だが、ユリウスのような男を好きになれないタイプの女だ。

胸が幼少期より大きかったことで、好意というよりは性的な目で見られることが多かったため、無条件で優しい男には疑って掛かっている。

また自分より上の存在を嫌う。

講習開始時より魔法使いとしてもユリウスに劣ることを自覚していたため、ユリウスを好きになれなかった。


では何故イゾウには好意を持っているか。

イゾウは忘れている話だが、クィレアは講習前日にイゾウに次の検査を受ける場所が分からず困っているところを案内してもらっている。

それも三度。


知り合いもおらず、流れが読めず、誰かに話しかけることも出来ず、クィレアは講習前検査で1つ検査が終わるたびに、どこに行っていいか分からなくなりオロオロしていたところを、手伝いだと名乗るイゾウに声を掛けられていた。

勿論ナンパなどでは無い、業務的な対応だ。

講習開始前の手伝い組だったイゾウは当日見張り、見回り、誘導などの役目を持っていたために突っ立ていたクィレアに「次はあっちで〇×の検査だよ。」と軽く教えてあげただけにすぎない。

むしろ態度は素っ気なかった。

それが二度続く。


3度目にはクィレアの方からイゾウを探していた。

必死で目で訴えたところを、苦笑いしながら教えてもらった。


それ以来クィレアはイゾウを意識するようになっていた。

同室の女性に噂好きの者がおり、聞いてもいないのに仕入れてきた情報を大きな声で話してくれているのでイゾウの事を探すのも、知るのも難しくは無かった。

講習開始当初、イゾウは事前検査の成績トップとしてすぐに噂になった。

当初はユリウスに次ぐ有望株として女子の間でも評判だった。


そしてその評判はすぐに急降下した。



落ちこぼれ扱いをされているイゾウを見てクィレアは首を傾げる。

魔法を使えないなんて珍しいことでは無い。

自身も使えるようになるまで随分苦労して覚えた。

なのに使えない人間までもがイゾウを馬鹿にするその状況を訝しんでいた。


落ちた評判は気にならなかった。

むしろ前衛と後衛、棲み分けが出来たことが嬉しかった。

魔法が使えないだけで他が凄いのは見ていればすぐに気づく。

魔法が使えないならば、自分を必要としてくれるだろう。

自分が魔法の力になればいい。


講習開始当初よりイゾウとの接点を持つ機会を伺っていたが、イゾウは目の前のいけ好かない色男たちと一緒に行動するようになり、声をかけることが出来なくなった。

イゾウと共に行動するユリウスにファンが多いために、イゾウと同じ講習を受けるには倍率が高くなり、同じ講習を受けることが殆ど出来ず接点は作れなかった。

ユリウスのファンは纏まって彼らがどの講習を受けるか探っていた。

単体のクィレアは運に任せる以外の方法が無かった。


仕方無く講習に集中した。

魔法課には評価こそされたが、深くは関わらなかった。

イゾウの件もあり胡散臭く感じたこともある。

魔法課の教官もクィレアよりも優秀な講習生に熱心だったために、そこまで固執されなかった。

特に親しい人間も作らず魔法の鍛錬に集中し、それを武器に上位30位以内に入った。


イゾウに親しい女がいることも知っていたが、全く気にならなかった。

キッカケがあれば自分にも親しくしてくれるだろう。

そこには揺らがない自信を持っていた。





再会したイゾウは自分の事を全く覚えていなかった。

くじ引きで同じ班になったときは心の中で歓喜した。

顔に出さないように必死で頑張ったが、なるべく近くにいて話しかけてもらおうと頑張ったが、ライアスという空気を読まない男のせいで全く上手く行かない事になる。



そんなクィレアの心境までは知らないが、狙った魔物を先に倒されていくサマを見て、ナードも、そしてジスナもまた苛立っていく。

3人は特に先日からの行動で少なからず仲間意識が芽生えている。

共に再度イゾウの所に集まった同志でもある。



特にナードは黙々とオークを始末するユリウスに嫌悪感すら抱き始めていた。


もし今ここにいるのがイゾウだったならばこんな状況でも周りに倒させるだろう。

そして上で無双する幼女に悪態の1つも吐いてくれる。

ナードはそう確信していた。


1人女に囲まれ、キャーキャー言われながら、黙々と魔物を狩る男はナードにとって軽蔑に値する姿だった。


一昨日、イゾウは大半を自分で処理しつつも、一緒に行ったメンバーかその都度、戦果がゼロにならないように気を使っていた。

今日の南門での防衛戦もイゾウは自分の戦果よりも班の戦果を優先している。

昨日揉めた女にすら何匹か倒させるほどだ。


ただし自分の班員にだけだ。

だがナードはそれで良いと考えている。

自分がイゾウの仲間である以上、何の問題も無い話だ。



一昨日は実際のところ戦果ゼロになることが何度かあった。

だがそれはイゾウではなく、ライアスという男が空気を読まなかったためだ。


ナードはそれに気づき、イゾウ班に入る事を選択した。

故にライアスを選ばず、今もユリウスを選ばない。


ナードは自分が上位に食い込めないことに気づいている。

だが、自身の成長を諦めた訳ではなかった。


誰の下につくか。

自分の上には誰かが必要だ。


ナードは色男の元兵士でも無く

赤髪の乱暴者でも無く

ドワーフの元傭兵でも無い


ただの乱暴者を選んだ。

今、目の前の光景を見てその思いを強める。




ユリウスが逃げてきた魔物を始末する度にナードたち3人の顔から表情が消えていった。

そのままイゾウ班からは声も消え、ユリウス班の女の声だけがその場には響くようになる。














空からの光が収まると、次は嵐が起きた。

竜巻が何本も立ち上ぼり魔物を巻き込んでいく。


竜巻は一度立ち上ぼると暫くして消えるのだが、暫くすると竜巻を打ち消す魔物が現れた。


「あれが魔物の群れのボスね。」


講習のリリィが言う。

視線の先には5匹の巨大なオークがいる。


「なっ、なんですかあれは、あんなの聞いてない!」


ユリウス班の誰がが悲鳴を上げるように叫ぶ。


体躯は普通のオークの倍、 4メーターはあろうかというオークを筆頭に、巨体のオークが5匹いた。

その身体は筋肉で盛り上がり、腕と足が特に太い。

凶悪な人相に、巨体を覆うしっかりとした鎧、そして人間と同じ位のサイズの武器を持っていた。


その巨体が武器を振るうと、黒の大魔道が作る竜巻は打ち消されてしまった。


「一番大きいのはオークキング。

大剣を持つオークがオーク剣闘士(グラジエーター)

槍を持つオークが、オーク将軍(ジェネラル)ね。

他はわからないけど上位種のオーク、あれが率いてたからこんな数に膨れ上がったのね。」


教官たちなら他の2種も知ってるかもとリリィが続ける。


「オークキング・・・」


誰かが呟く声がする。

誰の声か分からないまま講習生たちは成り行きを見守ることになる。










【 2人の大魔道 視点 】




「やっと顔をみせたのね。」


「うむ、群れが崩壊してからの登場とは随分暢気な王様じゃ。」


黒の大魔道の言葉に、並んで空中に浮いている白の大魔道が答える。

その並んだ姿はエッチな格好のお姉さんと子供だ。

だが今の魔法を見て、子供と女と侮る者はいないだろう。


黒の大魔道はエロい魔法使いという表現がぴったりな格好を全身黒で纏め、その上に少し厚手の、当然黒地のローブを羽織る。

胸元は大きく露出し、スカートも短い。見事なスタイルを綺麗に魅せるショートドレスを着ている。


白の大魔道は、白いタイトなワンピース型のドレス。裾は膝丈で可愛らしく見えないこともない。

その上にやはり白のローブ。

無い胸を張り、高笑いをあげる。



魔力の影響か、どちらもスカートのドレスを着ているのに下からは下着が全く見えない。

上手く足下に張り付いている。


イゾウがここにいれば「詐欺だ!金を返せ!」と喚いただろう。

だが上を覗き込む不届き者はここにはいなかった。

目の前の魔法を見て理解が追いつかない者がほとんどだ。




オークキングたちは憎々しげに大魔道2人を睨み付けていた。


「睨んでも、わざわざ降りて行ったりしないわよ。」


「オークは匂うから嫌いじゃ。」


「オークの上位種ね。ここからでも殺せるけど」


「待て待て黒ちゃん、わしらは雑魚を蹴散らすのが仕事じゃぞ。

奴らの獲物まで取ると面倒になるのじゃ。

街に居づらくなるのは困るのじゃ。」


「はぁ・・・面倒ね。ここで一気に片づけたほうが楽なのに。」


「養殖とはいえ、勇者にも面子があるから仕方無いのじゃ」


大魔道2人の間に緊張感は無い。

この状況でもいつもと変わらない。


対し巨体のオークのうち、一体が弓をつがえる。

その体躯に似合う巨大な弓だ。



「あら嫌だ。そんな分かりやすい場所から狙うなんてお馬鹿さん。

上位に進化してもオークはオークね。」


「しつこいオークはお断りなのじゃ。」


白の大魔道が腕を振り下ろすと、光の帯が弓を構えたオークに降り注ぐ。

オークはなんとか避けたが、それ以降も弓を構えるたびに光魔法に襲われ、弓を放てない。

その間にも竜巻が周囲の魔物を飲み込んで巻き上げていく。



「そろそろかしら?」


「そろそろじゃな。」


空中に浮く大魔道2人からは第2地区側の東門に集まる精鋭部隊が見えている。

精鋭部隊は大魔道2人の合図を待っている。


いい感じに場を荒らす、それが今回の2人の仕事だ。


「今日はこれ以上仕事はしないわよ。」


「早く終わらせて一杯やりたいのじゃ、では合図をするぞ。」


「お願いね、門が開いたら魔法を抑えるわ。」


「うむ、では後は下に任せるのじゃ。」


そう白の大魔道が言い、光の球を放つ。

その球はオークへと向かわず、門の内側に集まる精鋭部隊の上を通過し、東門前に落ちて閃光となって弾けた。


「合図だ! 行け!」

「おおおおおおお」


第二東門が内側へと開いていく。兵士が数人がかりで必死に左右の扉を開いていく。

開いたその隙間を縫って精鋭たちが次々と飛び出していった。


勇者が

聖騎士が

戦士が

神殿騎士が


そして教官たちが飛び出して行く。

我先へとオークキングに、斬りかかり、上位のオークにも次々と斬りかかっていった。


門が完全に開き兵士や冒険者が門を出る頃にはオークは完全に敗走していった。



オークキングは飛びかかってきた精鋭を蹴散らしながら、勇者2人と戦い、撤退を指示する咆哮をあげた。


上位のオークはそれぞれ生き残った魔物を集めて第三東門へと続く道を引き返して行った。


それを追う精鋭部隊。





巨体のオークたちは一体ずつ仕留められていった。







【 防壁の上 】


防壁の上で成り行きを見守っていた部隊は殆どが白の大魔道が作り出した光球に目を焼かれた。

失明までは行かないが、一時的に動けない程度の光量が放たれていた。

この魔法は上位の強さを持つ者には効きが悪い。

かわりにそこまででは無いものには効果的な魔法だ。

下位の魔物、特に多いハイオーク程度ならば充分効果がある。

だがオークキングやその周囲の魔物には効果が薄かった。

それ以上に効いたのが、精鋭部隊に選ばれず、防壁の上に並べられた者たちだ。

反撃のその時をいまかいまか、と凝視していたために、光の球を直視していた。


「痛い、目が痛い!」

「何だよアレ!聞いて無いよ!」

「酷い、他に方法は無かったのかよ!」

「最悪だ、最悪な魔法だ!」


こうして一部の戦力から、白の大魔道という名前は()()()疎まれることになる。


当然講習生も殆どが一時的に視力を失い、目を押さえ蹲っている。


無事だったのは光魔法を使える一部の者、そして彼らが目を塞ぐ指示を聞いた者だ。

ユリウス班、そして一緒にいたイゾウ班の一部にも被害は出ている。


光魔法の使い手でもあるユリウスとギュソンとアニベル兄妹が魔法を見て「まずい!目を逸らすんだ!」「危ない、見るな!」「大変、目を塞いで!」などと叫び、それに従った者は無事だった。

その声に反応出来なかった者と、指示を聞かなかった者が直撃した。


ユリウスの班では4人ほどが反応出来ず目が眩んだ。

元兵士の班員の女は当然無事だ。

イゾウ班ではクィレアが直撃して苦しんでいる。

四つん這いの格好で巨乳を揺らしながら目を押さえている。

ユリウスへの反発心から最初に上がったユリウスの声に逆らったからだ。


チカチーノ(呪い娘)、マナ、幽木女もまた反応出来ず、目が眩んで座り込んでいる。

セレナはユリウスの声に反応し目を塞いだが、マナの目まで塞げなく、マナを介抱している。


「目を隠せと言われただろう・・・」

ナードが呆れた目で見て、ジスナがクィレアを介抱していた。

実はナードもギリギリで隠したために少し眩んでいた。

槍を杖にし、必死で表に出さず耐えている。

クィレアと同じくユリウスの声には反射的に身構えて逆らい掛けたのだが、直後に横にいた修道闘士(モンク) ギュソンからも声が上がったために、その声に反応出来た。

だがそんなことはおくびにも出さずナードは余裕の態度を崩さなかった。


その横で講師のリリィは3人の講師を冷たい顔で見る。

講師の3人は処分保留で防壁の上に布陣していた。


そして見事に目眩ましの光球の直撃を受けて伏せていた。

リリィ以外の無事な班員も、そのサマをみて無反応だった。






「総員、追撃に出ろ。」

伝令が上官の指示を持って防壁を上がる。

彼の眼に入った光景は、半数が即座に動けない状況(有様)だった。

ご無沙汰してます。

なんとか2日ほど休んで寝て回復しました。


ここで問題です。


イゾウの相手はどの上位オークでしょう。


A オークキング


B オークグラジエーター


C オークジェネラル


D それ以外の上位オーク



そこまでは書けているので変更はないです。多分。

が、見直したらオークキング死亡フラグが。


Aが大穴で。


数日中に投稿しますので宜しくお願いしますm(__)m

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