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異世界(この世)は戦場、金と暴力が俺の実弾(武器)  作者: 木虎海人
2章  初心者講習 乱痴気騒ぎ

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防壁の上 ②



「そういえばイゾウ殿は講習が終わったあとまた講習を受ける予定だとか?」


妹に聞いたと前振り、修道闘士(モンク) ギュソンが言う。

昨晩妹さんにはそんな話をした気がする。


「ですね。しばらくは金稼ぎです、魔法も覚えたんで〝中級魔法〟の講習も受けられそうだしガッツリ稼がないといけないですね。」


「某たちも巡礼のために路銀がいる。しばらくはこの街を拠点にして周囲の村落の神殿や教会を廻るつもりなのだが、時間があるときは一緒に依頼を受けぬか?

某たち2人だけでやるよりも難しい依頼をこなせて助かるのだが・・・」


なるほど、婚活から逃げたという割に巡礼とやらはちゃんとやるようだな。

世界中まわれば兄貴より強い彼氏も出来るかもしれないな、頑張って欲しい。

別についでに娶るのもいいんだけどさ、兄貴が出来るのか、う~ん。

難色を示される気持ちは理解出来てしまう。

普通に知り合いとしてならいい人なんだけどねギュソンさん。

なんというか兄貴アーッ!って感じの兄貴なんだよな。筋肉達磨だし・・・

ただ話としては悪くない、回復役と前衛が一気に増える。


「なるほど・・・それはいい話ですね。俺の方は5班の班長してるノリックって奴と一緒に稼ごうって話をしてるんで、そいつもいれて4人でもいいですか?」


「うむうむ、助かるな。某たちはあまり知り合いが多くなくてな。

確か任務によっては人数が指定されているものもあったはずだ。

少数で受けられる任務よりも割が良い場合が多い。」


なるほど、確かにそれはそうだろう。

1人2人で出来ることなんてたかが知れている。人数がいたほうが稼げるのは確かだ。

修道闘士(モンク) に 聖職者(プリースト) なんて引く手許多だろうが、巡礼という使命がある以上固定パーティやどこかに所属することは難しいか。

客分扱いとかはこの世界には無いのかね?

俺としてはたまにでも組めるというならありがたい話だ。

そうなると俺のポジションが曖昧になるな。

修道闘士(モンク)は当然前衛だし、ノリックは後衛特化を目指してる。

回復魔法を覚えたとはいえヒーラーといえるほど特化していない。

弓でも買って前と後ろを兼ねるのが無難か。




「ねぇ、ちょっとちょっと!私も〝中級魔法講習〟受けるんですけど?」


クィレアだ、コイツはまたも人の話に首を突っ込む・・・

大人しくしてろっていうのに。


「そうなのか?頑張れよ?」


「なんでそう冷たいこと言うのよ!私も入れてよ。魔法使いなの、後衛として役に立つわよ?」


私も入れてとか別のタイミングで言わせたいのに。


「えー、ノリックも魔法特化だしなぁ、被る。

俺も魔法は使えるようになったし、魔法使いはちょっと・・・ごめんな~」


「キィィィィィィィィ!!  いいじゃない!貴方、魔法使いって言うよりどうみても前衛でしょ!!

私を入れて貴方前衛で、ほら、良いでしょ! あれ、師匠から預かったって言ってた武器が有るじゃ無い、使わないと!」


「なんでそんなに必死なんだお前は。大剣は師匠のだから今後も使えるけど、片手剣と槍はギルドのだから借り物だぞ。任務終わったら返す奴だ。

大体固定パーティじゃなくて、臨時パーティを定期的に組もうって話だぞ?」


「大剣、使いなさいよ大剣を!ほら前衛2人、後衛が2人いたっていいじゃない!」


「いやー片方魔法使いなら、もう1人は弓手がいいだろ。

あ、俺弓得意だったわ。後衛やろうかな」


「なんですぐ!そう!意地悪!言うのよ!」


クィレアの顔が真っ赤になって、眼前に迫って来ている。


「はぁ~」


クィレアの顎を下から掴み上げる。


「あのな、お前に俺はさっきなんて言った?まずは信用させろって言ったよな?

なのになんで喚いてるの? 用があるときはこっそりだって言ったよね?」


「ううっだってだって」


「喚くな、五月蠅いから、わかった?」


「ううううっ、はい・・・」


「まったくおめーは・・・ギュソンさんアニベルさん、クィレアも入りたいんだって。」


「某は構わぬよ。」

「私もいいわよ。あんまり苛めると可哀想。」


「いや、普通に頼めば俺も別に拒否しませんよ。臨時だし、時間あるときにって話ですしね。

ああでもちゃんと信用はさせろよな。後ろから魔法打ち込まれでもしたらたまったもんじゃないし。」


「しないわよ!」


「したらお仕置きだから。気をつけろよな。

この話は任務終わったらノリックもいれて改めてしましょうか。


チカチーノ(チカー)、ちょっといいか?」


3人が頷いたのを見て話を切り替える。

なんとなく他にも参加しそうな気配を感じたのでこの話は終わりだ。

チラチラ見ている奴が何人かいる。

ナードくらいならまだしも、クィレアが騒いだせいでユリウスの耳にも入っている。

あいつまで騒ぎ出すと手に負えなくなる。

パーティの話は決着がついているのだが、時々なら自分もいいよねとか言い出すのがあの男だ。

お前が入ると入りたがる馬鹿女が一杯いるんだっての。

君は頑張って勇者のパーティを作ってくれ。


「あっ、はい。」

チカチーノを呼んで正面に座らせる。


「オークが来るまでちょっとしたゲームをしよう。」


「ゲーム、ですか?」


「ゲーム。深く考えなくていいよ。手を貸して、両方な。」


手の平を上に向けて出し、その上に彼女の手を重ねさせる。

呪いを持つ者と接触することを嫌がる者は多い。

俺が彼女と手を合わせたときに隣のユリウス班の中には嫌な顔をした奴が多かった。

俺はあえて人前でそれを行い、俺は気にしないというアピールを行う。

でないといつまで経っても子作りへと進めない。


「今からどちらかの手に魔力を篭めるから。

それを当てるゲームな。」


それはユリウスたちと行っていた遊びだ。

俺たちがやっているところを見ている奴は多い。

ただしある程度魔力を操作できる者がいないと出来ない遊び。

難易度はそれなりに高い。


クィレアを始め、羨ましそうに見ている者は多かった。

セレナもマナも羨ましそうな顔をするとは思わなかった。

残念ながら現状では彼女以外にするつもりは無い。

彼女は特別だ。依怙贔屓しまくる男だぞ俺は。


散々釘を刺したのでクィレアも何も言ってこない。

勿論ゲームと言ってはいるが立派な訓練だ。

魔力を感じられるようになれば、魔法が使えるようになる可能性が高くなる。

呪いを持って生まれたチカチーノは得意属性がわからない。

俺のもつ氷の精霊眼をもっても見えない。

おそらく全てが苦手属性なのだろう。


苦手 = 出来ないという事は無いと思う。

地道な努力あるのみだ。

時間が掛かるだけ。別にそんなもの好きな相手とならば苦になるまい。




魔力感知も苦手なようでしばらくやっていても分からなかったようだ。

ユリウスの班の何人か俺たちがやっているのを見て、ユリウスに自分にもして欲しいと懇願していたがユリウスに断られていた。

「悪いけどそれは出来ない、あれは仲間内でしかしないと約束している。」


そう言って断った。

そういやそんな約束したなぁ・・・あんまり色んな奴が自分ともしてくれって頼んでくるから面倒臭かったんだよね。主にユリウスにだけど。

なんで禄に付き合いの無い奴にまで練習させてやらなきゃならないのか?意味が分からない。


ユリウスに断られた女が1人こちらにやってくる。俺とチカチーノの横に座った。


「じゃぁあんたがやってよ。呪い持ちなんかと出来るんだから私にも出来るでしょ!」


呪い持ち(それ)を聞いたチカチーノの表情が曇る。全くメンタル弱いな。

圏外の馬鹿女の言う事なんて聞かなきゃいいのに。


「は?お前馬鹿だろ? なんで馬鹿の相手しなきゃなんねーんだよ。

オークにでも食われて死ねよ。失せろ。

それとも今此処で俺が殺してやろうか?」


「ちょっ、何よ!なんで呪い持ちなんて庇うのよ。」


「ユリウスが言っただろう。これは仲間としかしない約束なんだよ。

ユリウスにとってお前は仲間じゃなく、俺にとってチカチーノ(彼女)は仲間だ。特別なんだよ。

仲間を悪く言いやがって、死ねよくそ女が。」


怒気を纏ったままゆらりと立ち上がった俺に女は血の気が失せたのか青い顔で、座ったまま後ずさる。

樽から特性の水を持ち出し、全てを氷柱(つらら)の形に形成する。

穴の数を増やして殺してやろう。


「待って、待ってお願い、ボクの事で怒らないで、許してあげて。」


チカチーノが腰に抱きついてきた。

自分を悪く言った女にまで優しいなぁ。おじちゃん涙が出ちゃうよ。

でも1回許すと調子に乗るからね、見せしめに1人くらい殺した方がいい。


「優しいなぁチカは。でもどうせ100番以下の雑魚だし、俺が2人分働けばお釣りが来る。

二度と巫山戯(ふざけ)たこと口に出来ないように、見せしめで殺したほうがいい。

俺の経験上、それで悪口を言う奴は激減する。」


氷柱を動かし女を取り囲むように配置する。


「ガハハハ、イゾウ怒るのはわかるがそこで止めておけ。

全く・・・魔法を覚えても短気なのは変わらぬな。」


この合同班を指揮する教官、俺の師匠でもあるサイモン教官ことガハハ髭に止められた。

ここまで自由時間には接触して来なかったのにさすがにこれは放置してくれないか。

師匠には逆らえない。逆らう気もない。

残念、彼女とのひとときを邪魔するクソ女に鉄槌をくだしてやりたかったのに。


女の周囲に配置した氷柱を一斉に粉砕し、水滴に変えて樽へ戻す。

自分の周囲で起きている現象に女の瞳が大きく見開かれた。

うん、やっぱり便利だな、大魔道特性の水。


「すまないイゾウ、彼女にはよく言っておく。

ほら、君もちゃんと謝るんだ。」


ユリウスがこちらに来て、女に謝罪を促した。

いや、最初からこっちに来させんなっての。


「なっ、何よ、の、呪われてるなんてほんとのことじゃないの!

それくらいで、女相手に本気で、本気で怒って・・・だからアンタは・・・

だからアンタはユリウスさまと違ってモテないのよ!」


「・・・・」

一瞬何を言われているのかさっぱり分からなかった。

アレー謝罪はどこに言ったのかな?

しかしだからモテないって・・・


「くくくっ、ぷくくく、くーっはっははははははは

やべぇ超笑える。」


「イ、イゾウさん・・・?」


つい吹き出してしまった。腰にしがみついたままチカチーノが問いかけてくる。

全く呼び捨てで呼べと言ったのに。

すぐ元に戻りやがる。


「あーーーはははっ、やべえ超笑える。馬鹿じゃねぇの?

大丈夫、おかしくなったわけじゃないさ。」


チカチーノにそう伝えて頭を撫でる。ういのう、ういのう、可愛いなぁ。

見ればチカチーノ以外も驚いてこちらを見ていた。


「な、何がおかしいのよ! モテないって指摘されて悔しいわけ?ほんとの事じゃ無いの!」


馬鹿女がさらに喚く。


「あー笑える。チカ、どうやら謝ると死んじゃう病の人だから謝罪はないけど許してやって。

ユリウスも、もういいよ。謝罪はいらん。」


次は警告無しで殺すだけだ。顔は覚えた。

手を振ってあっちへ行けと促す。


「あ、ああすまない。チカチーノさんも申し訳ない。

だが、その・・・何がおかしいのか、聞いてもいいか?イゾウ?」


「ん、いや、いいけどさ。

ただ不特定多数、それもどうでもいい奴にまでモテてどうするのかって思ってな。

俺としては自分が好きな奴にだけ嫌われなければそれで良いんだよ。男でも女でも。

なのにそんなにモテたがってるように見えるのかと。

そう思ったら笑えてきてな。

そんなつもりがあるのなら最初から他人をゴミみたいに切り捨てた行動しないんだけどな。」


言われた女の顔が羞恥で赤く染まり、頭を撫でているチカチーノの顔は照れで赤く染まる。

格好いい台詞も女に腰にしがみつかれたままで、さらに頭を撫でているためにかっこよくは決まらない。

だがこれは本心だ。


モテたいかといえばその通りだが、不特定多数にやたらめったらという訳では無い。

もう女関係にはある程度目星がついた。

これ以上手を広げるのは面倒でしかない。

チカチーノが手に入り、ジスナと幽木女も自由に出来る。

クィレアもあの感じだとどうとでもなる。先に少し躾が必要だと思ってるだけだ。

当初狙っていた4人とは微妙だけど、ビアンカとメアリーはまだ挽回できそうだ。


大体強くなって、金と名声が廻ってくれば女なんてどうとでもなる世界なのに。

強い冒険者、ランクの高い冒険者 = モテる という世界だぞ。

そこにモラルがあるか無いかの違いだ。俺にモラルはない。

顔も名前も知らない、興味の無い女にまで優しさを振りまいてどうするのかさっぱり理解出来ない。


そして女に優しいせいで面倒に巻き込まれている色男が目の前に。

他人の振り見て我が振り直せと言うでは無いか。


「もういいか?オークが来る前にもう少しやっておきたいんだけど。」


「あ、ああ邪魔をしてすまない。」


そう言ってユリウスはへたり込んでいる女を連れて帰っていった。

もう来んなよな。


「ね、ねぇその・・・仲間だったらそれ・・・一緒にしてもらえるのかしら?」


クィレアだ。懲りないなと思うが一応小声で聞いてくる辺り学習はしてるらしい。


「仲間じゃなくて特別な、な。

今の班員だと、チカだけだな。

お前はまず信用。何度も言ってるがマイナス分を取り戻せ。」


「う、分かってるわよ・・・ちょっと聞いただけよ。」


別に隠す必要も無いので聞こえるように普通に話す。

付き合っていると、彼女になったからだとは大っぴらには言う必要は無い。


「ナード、ジスナはもう少し付き合いが長くなったら考える。別にやってもいいんだけど俺としては魔法を使えない奴に練習させたい。使える奴は見よう見まねでも勝手にやれ。

どっちにしろクィレア(おまえ)は最優先で後回しだ。魔法使いなんだから。」


「うぅ・・・分かったわよ。」


「この中だとしても良いのはアベニルさんかな。昨日の話を詰める必要があるけど。」


「ん~・・・・ああ、そうゆうことね。それが、特別なのね?」


「そうそう、どっちにしろ魔法得意だろうから後回しになるんだけどね。そっちが条件を満たすとギュソンさんも満たすし。」


「ほう某もよいのか?」


「その時にはね。まぁ使えるらしいですからどっちにしろですけど。」


「後でか、まぁ仕方がないな。楽しみにしておこう。」


「そちら3人は普通に親密度が浅いからごめんねだな。マナなんか俺と手を握るの嫌がりそうだし。」


「うん、やだー」


「セレナと手を握ったらマナが文句言いそうだし。」


「べー」

そういってロリ美少女は舌を出した。ほらな。


「お前さんは昨日揉めたばかりだしな。これからの付き合い次第だ。」


「ああ・・・納得してる。」


「うんうん、そうゆうことで。はいもう少し続けるよチカ。少なくともあの水に魔力が注げるようにはなって欲しい。」


「うん、ボク頑張るね。」

そういってチカチーノは両の拳を握ってポーズを取った。


そういえば彼女は講習終わったらどうするんだろうか?

ついでにギュソンさんたちとの話に混じればいいのに。

そう思いながらしばらく遊ぶように練習をした。


しばらくして地平線の向こうに赤い点が見えた。

その点はどんどん大きくなり数が増えていった。


どうやらオークの集団(お客さん)が来たようだ。


さぁレベルを上げの時間だ。

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