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異世界(この世)は戦場、金と暴力が俺の実弾(武器)  作者: 木虎海人
2章  初心者講習 乱痴気騒ぎ

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水魔法の正しい使い方


「さて・・・・先に確認したいんだが、お前は俺と話したくないのか?なんか後ろめたい事でも・・・あるのか?」


「いやそんなことはない。イゾウに隠し事なんてしていない。」


「ふーん、隠し事はともかく後ろめたい事は俺はたくさんしてるけどな。別に後悔も反省もないが・・・

やるときは一切容赦しない。知ってるよな。


で、俺たちの関係は?何か変わったか?」


「友達だ。変わっていない。」


「じゃーなんで間に人を挟むかな~。

強引にでも振り払えよ。俺にそれをやると間にいる人間が不幸になる。

さっきも言ったけど、俺は他人を介してお前と話すつもりはない。・・・・・・友達ならば尚更だ。」


「ごめん・・・」


「よし、頬をだせ、お仕置きだ。

覚えてるだろあの時の。


一発づつな・・・・」


しばらく目で見つめあった後、ユリウスは足を開き頬を出して踏ん張った。

俺はその頬を力いっぱい殴り飛ばす。


「きゃああ」

かん高い声が響く。容赦なく俺が殴りつけたことで女講習生は悲鳴をあげる。そして腫れ上がったユリウスの頬を見て俺に殺意を込めた視線を向ける。

俺の右目に赤く映るほどの明確な殺意。

こうゆうとき便利だよね、この右目。殺意を向けられると、相手がどんな姿形をしていようと、スーッと心が冷めていく。

心の底からどうでもいい存在として認識出来るから不思議だ。

眼のレベルが上がってさらに冷たくなったかもしれない。


このまま突っかかってくるならば、何の感情も込めずにただの雌の肉として処理出来てしまう。

対して男の大半は「おぉ!」とか言いながら楽しそうに観戦している。

拳を握って喜んでいるやつまでいる。

俺が男女問わず嫌われ者なのに対し、ユリウスは確実に男相手に妬まれているようだ。

気持ちは分かる顔が良くてモテモテのイケメンなんて俺も嫌いだ。


だが期待してるところ悪いが、このまま戦闘に突入することは無い。

元兵士組ですら、殴った瞬間には全員それぞれ反応したが、あの時一緒にいた女兵士から前に話を聞いているからか、その後の反応を伺っているだけだ。俺が追撃せず、やり返されるのを待ってるのを見て、見守る体勢に変わっている。

だからライアス、面白そうな顔で近づいてこなくていい。



次は俺が殴られる番だ、と備えていたら、赤い点がいくつか正面に回った。

女が数人ユリウスを庇うように俺の正面に立つ。その数よっつ。

俺の目に真っ赤に見えるほどの殺意を持って立たれたら見逃すことは出来ない。


「アホ女どもが・・・・」


水を小さな球にして浮かせ、周囲に散開させる。

殴る価値もない、惨たらしく殺してやろう。お前らは女ではなくなんかの魔物の雌として扱う。


「ふん、そんな水の球で何が出来るのよ。水魔法(そんな水)なんか怖くないわよ!」

「よくもユリウス様を、アンタ・・・殺してやるわ」

「許さない、絶対に許さないユルサナイユルサナイ」

「水魔法を覚えたくらいで調子に乗るな!そんな地味な魔法で何が出来る!」


俺への罵倒と水魔法の罵倒が半々くらいだ。周囲の女も同調して悪口を言い始めた。

さっきまで怯えてたくせに現金なもんだ。

どうやらユリウスが殴られたのを見てキレたようだ。

そしてこれ見よがしに浮かしせてみせたこの水球がよほど気に入らないらしい。

俺としては、かっこつけた威嚇のつもりだったのに効果がなかった。

この水の球だけでお前ら4人皆殺しに出来るのに。馬鹿な女だ。


先ほどの4人に目を向けるとこちらは口を噤んで大人しくしている。

目には不満の色が浮かんでいるが、一度痛めつけた分だけ理解がある。

やっぱりガツンとやらないと理解出来ないお馬鹿さんがまだまだ多い。


「どけ!退いてくれ!」


ユリウスがフラフラと起き上がり、足元をふらつかせながら俺の方に寄ってきた。

女たちの意識は俺よりもユリウスへと向いた。

「ユリウス様!」とか言って支えようと近づいてきた女を手で払ったのには少し驚いた。

少しは変化があったようで嬉しいよ。


「こうゆう時は・・・‐なんて言えばいい?」


「特に思いつかないな。

そーだな、次は俺の番だ、とか、覚悟はいいか、とかでいいんじゃないか?

かっこよく頼むわ。

無様な姿で殴られるのも・・・虚しい。」


「・・次は僕の番だ、覚悟してくれ。行くぞ!」


ユリウスが踏み込み、俺の頬に衝撃が走る。

俺は踏ん張らず殴られるままに飛ばされた。


「ぐはっ」

超痛い。

容赦無い。

ま、此方(こちら)も手加減してないから当然か。


セレナもいるしチカちゃんも見てるし少しかっこつけよう。

俺は足を頭の上まで持ってきて華麗に跳ね飛び起きで起き上がった。


そしてふらついてよろめいた。思ったより足にもきてる。


「ちょっ、イゾウ!」

クィレアや他の班員が心配して駆け寄って来たが手で制する。

そしてユリウスへと向く。


「ユリウス、超痛い。」


「お互い様だ、僕も・・・効いたよ。」


「そう、ちゃんと反省しろよな。ほんと。俺たちは連帯責任なんだから。

じゃー、人を挟んだ件はこれで終わりな。

次はいつまでもダラダラ班員決めないでウダウダやってる件な。今、右でお互い殴ったから左でやろうか。左右お揃いにしてやるよ。」


「え・・・・!?あれ? 待ったイゾウ本気か?今お互い殴って終わりじゃ?」


「お前俺が何しに来たと思ってるんだよ、周り見てみろ、お前らのせいで班が決まらない奴が一杯いるんだ。 1発なぐられたくらいで満足するわけないだろ・・・・反省しろ。」


「あー、すまん・・・・・」


「安心しろ、ちゃんと付き合ってやるから。今度左な、お前からで良いぞ。」


そう言って俺は右の頬を指しだした。

俺たちは仲良く顔の両側を腫らすことになる。



★☆★☆



「あーーーっ、効くわ・・超痛い。」


「大丈夫か?イゾウ殿、何というか熱い関係であるな。某少し憧れるのである。」

 ユリウスに殴られ、起き上がりさらに奴を殴り飛ばした後、頬を抑えて呻いた俺に修道闘士(モンク) ギュソンが言う。

いやー流石に修道闘士(モンク)相手に同じ事したくないぞ?


「馬鹿よ、馬鹿、あんた私のことバカバカ言うけど、絶対あんたの方が馬鹿だからね。」


クィレアが叫ぶようにまくし立てる。チカチーノとジスナは苦笑いをしているが多分同じ意見なのだろう。

セレナは少し離れたところで困った顔で笑っているがマナは目がかなり冷たい。

ロリ美少女の冷ややかな視線、有りだな。


女にはわからんのです。

色男の顔を殴るという男の浪漫が。

殴っとけば嫉妬や妬みの感情を抑えて話せるというのに。


「うるさい。少しは心配しろ。あいつ本気で殴ったからかなり痛いんだぞ。」


「したわよ、ばーか・・・心配させるな。」

「ふーん、クィレアちゃんは俺のこと心配してくれたんだ?ぷーくすくす、ありがとうね、どうした惚れちゃった?」


「ばっ、違うわよ、班員としてよ!あなた班長なんだからね、もうちょっと周りに心配をかけな」

「ハイハイクィレアちゃんに心配されちゃいましたー。ありがとさん」

そう言って頭を撫でてやると、真っ赤になって「ううううっ」と呻きだした。

怖かったのでそこで止めておいた。


「さて・・・ユリウス。水魔法覚えたから治してやるよ。つか練習させてくれ。」


「ああ、助かる。」


俺の2発目を食らって吹っ飛んでいたユリウスはちゃんと自分で起き上がり、よろよろとこちらへ向かってくる。俺も歩み寄り、頬を水魔法で治した。


「おや、さっきの細おっぱいより綺麗に治ったな。」


「イゾウ、呼び方が酷いぞ・・・」「名前知らんし。」


自分では同じだけ魔力を篭めて使ったつもりだが、明らかにユリウスのほうが効果が出ている気がする。

切り傷と打撲の違いだろうか?

この辺も検証する必要がありそうだ。


「イゾウ、本当に・・・・水魔法・・・覚えたんだな、おめでとう。」


自分の顔を確認したあとにそう言って、ユリウスは握手を求めてきた。

大丈夫ちゃんと治っているよ、相変わらずムカつくくらいイケメンですよ。

男と男の熱い握手。そして称え合う。そうやって綺麗に終われば良かった。

残念ながらまだ終わって無い。


「ありがとうユリウス。だがその言い方だと誤解がある。

俺は〝水魔法〟 と 〝氷魔法〟 の2つを覚えたんだよ。 

〝鑑定〟でもどっちもちゃんと取得してたよ。」


両手のひらを開き、オペを開始しますのポーズを取って集中し、再び水球を浮かべる。

そしてその水球を空中で凍らせて、氷球に変える。

ユリウスの目が有りえないほど見開かれた。

そして周りでもみな口を開けて驚き止まっていた。


はっはっはー誰が水魔法を覚えただけだと言った?

俺の〝先天性才能(ギフト)〟お前らみんな知ってるはずだぜ?

なぜそこまでは至ってないと思うのか?不思議で仕方無い。



「魔法が使えなかったおかげで12位止まりだったが・・・・これでお前と並んでも恥ずかしくない男になったと思う。

だが、その前に、俺が苦労して覚えたこの水魔法を馬鹿にしたゴミがいてな。先にそいつらを死刑に(始末)する。

握手は悪いがその後だ。」


そう言い、氷球を水球に戻し、4つのそこそこの大きさの球に変えて、先ほど俺の前に立ちふさがった女4人の顔に当てた。


「ぼがぼごぼぼぼぼばぼが」「ばばびぼがばばばぼ」「ぶぼぼぼばびぶべぼ」「ぶほほっばばばぼ」


樽のサイズ的に四人相手だと、口と鼻をなんとか塞げる程度のサイズだったが充分だった。

もう2人くらいは同じことが出来そうだ。

鼻と口を塞がれた女は必死で水を外そうと、もがく。完全に呼吸が出来ていない、この実験は成功だ。

彼女たちは水を掻くことは出来ても、水を取り除く事が出来ない。

徐々に酸欠状態に陥っていくのが伝わってくる。


水を操作して顔に当てているのでは無く、鼻と口を指定して固定してある。

〝水魔法〟 と 〝氷の精霊眼〟 のコンボ使用である。俺以外には難しい。だが俺には出来る。

物理的に取り除く事は出来ない。

解除するには俺よりも強い魔力を水に流し、打ち消さなければならない。


女が2人集団の中から飛び出して来て、知り合いらしき女を助けようと、顔の前の水を必死で掬う。

だが掬った水は指の間からこぼれ抜けてまた元の位置に戻るだけだった。

残念ながら手を出すなら、お前らは同罪だ。

他の女が出てこないように目で威嚇する。


「知ってるか?溺死は死に方としてかなり醜い死に方らしいぞ。

お前らの愛しいユリウスの前で醜く汚れて腐って死ね。」


水死体は水を吸って酷いことになるらしい。そのくらいの水じゃそうはならないだろう。

俺の水を飲み込ませるつもりもないし。

単なる脅しだ。そして聞こえてはいないだろうから、彼女らよりも周りへの脅しだ。


「ちょっと待った、イゾウ気持ちはわかるが」

「無理、ユリウスよーく聞け。いなかったおまえは知らないだろうが、この水魔法は〝白の大魔道〟〝黒の大魔道〟のお二人から与えられたものだ。

俺が魔法を使えなくて苦労してたのは知ってるな?

苦労して手に入れた技術を、先達から受け継いだ技術を!

口だけのゴミ女に馬鹿にされるのは絶対に許さねぇよ。

どんな理由があろうと絶対だ!

こいつらは俺に許さないと言った、だがな!

許さないのは俺だ! なーに、すぐには殺さない、何度も死ぬ間際まで追い込んで苦しめてやる。

てめーらが馬鹿にした水魔法の恐怖、トラウマになるまで叩き込んでやる。」



お前らにもお前ら以外にもな。

語尾になるほど声が大きくなったのがわかる。

自分でも水魔法を悪く言われて、ここまで頭に来るとは思わなかった。

自分で思うよりも、俺は教われた幸運に感謝しているようだ。

師匠たちからは勿論、2人の大魔道に教わった技術を馬鹿にされる。それは自分が馬鹿にされるよりも辛い。そして頭にくるようだ。血が頭の先まで上っていったのを自覚している。


「あー、そうか・・・なるほど。俺、自分で思うよりもずっと・・・

あの2人の大魔道を好きになってるのか・・・・師匠たちみたいに。」


「イゾウ・・・・」


ユリウスが悲しそうな目を向ける。自分を庇った相手が俺に苦しめられている。

辛いだろうな、葛藤するだろうな。

庇うだけなら許せたよ。多分だけどな。

思ったことを口に出す馬鹿が悪い。何を言っても許されるのは偉い奴だけだ。

講習生は平等なんだ。俺はお前らの下では無い。だから失言を許しはしない。

とてもとても残念だ。心が痛むよ、すこーしだけな。


そんなことを考えているとナードが俺とユリウスの間に立った。

どうやら俺の気持ちを汲んで俺の側にたってくれるようだ。

ナードは無口で地味だがイカす男だと思う。

それを見て修道闘士(モンク)の ギュソンさんもナードに並んだ。

いやアンタはなんかユリウスと戦いたいだけな気がするよ?


俺は一度魔法を解除し、水球を再編する。次は6つだ。

水が消え、涙目で地面に這いつくばり、必死で呼吸をする女たち。

その前で知り合いの水を排除しようとしていた女2人の顔を水で塞ぐ。

次は平面にし顔パックみたいに目も含めて顔を塞いでやった。

人間は意外と欠陥品だ。ほんのちょっとの水でも溺死する。

人を殺すのに大量の水は必要無い。

洗面器1つ分の水で殺された殺人事件(刑事ドラマ)なんていくらでもある。


目の前で別の女が水に襲われた姿をみて尻餅をついて怯え、後ずさって逃げようとしていた女たち。

それを許さず、何かを口にする前に同じように水で顔を覆った。


「おっほーえっぐ。」そう言いながら楽しそうにライアスが近づいてくる。

「くははは、すげぇなイゾウ、良い魔法覚えたじゃんか。俺もよ、魔法覚えるまでに1ヶ月くらい掛かったのを思い出したわ。必死で覚えた魔法を馬鹿にされて怒る気持ちはわかるぜ。

これでそこの色男が怒るつーなら俺もイゾウの味方をするぜ。」


そういって俺の肩に肘をのせてユリウスを睨んだ。超うぜえ。

今すぐにでも俺の肩に乗ったライアスの肘を叩き飛ばしたかったが、ライアスがいると助かるのも事実なので放置だ。

ライアスの後ろにはライアスの仲間もやってきている。


次に来たのはノリックとクィレアだ。

どうやらクィレアも〝大魔道〟に思い入れがあるらしく、大魔道に教わった魔法を馬鹿にするなんて、とお怒りだ。喚いていて五月蠅い。

「丸焼きよ、私が丸焼きにしてやるわ!」

「待て、僕が風魔法で1000の肉片にしてやる!

くそーイゾウ後でちゃんと今日の話を聞かせてくれよ!」


ノリックはそういえばずっと目つきがおかしい。

刺激しないようにしておこう。多分憧れの存在にあってテンションが変なんだ。

当人たちの前では大人しかったのにな。


シグベルは消極的俺の味方。 魔法が使えない気持ちはわかるのだろう。俺の後ろで微妙な顔で見ている。

ドワーフのガレフは我関せず。腕組みしたまま遠くから眺めている。参加する気はなさそうだ。

元兵士組は見守りつつも、どうしていいか迷ってるってところか。ユリウスが動かなければ参戦してくることは無いだろう。

元指導員の男は完全に停止している。目を見開いたままピクリともしない。死んだか?


その後、師匠が介入してくるまでに4度。溺死寸前まで追いやった。

きっと天国の扉が見えたことだろう。

なんて素敵な体験だ。感謝するがいい。










師匠にやり過ぎだと怒られたので仕方無く解放してやった。

6人は息も絶え絶えで横たわっている。

俺の視線が気になるのか誰も介抱に行きやしない、薄情なものだ。


俺は水を一度浮かせ、右目で吟味する。

スキルポイントを10ポイント振った右目は 『 氷の 精霊眼 (劣化) 』に変化していた。

10ポイントも振ったのに劣化のままだったが、精霊がついたおかげで精霊が見えたのだろう。

あのタイミングで振らなければ大魔道2人と知り合えていなかったことになる。危なかった。

猫が見えなければ酒場をスルーして〝鑑定〟に行ってた可能性が高い。

いずれポイントを使って眼にも振っていただろうが、酒場で飲んでいるタイミング本当に良かった。

昼間から酒場で酒を煽っていたロリババアとエロババアに感謝だ。

駄目な大人に乾杯。


この眼の効果なのか、〝先天性才能(ギフト)〟のおかげか水の成分がおおよそわかる。

浮かせた水の中から今回介入した不要な水分を捨てる。

そして元の水だけ選んで樽に戻した。


「ねぇイゾウ、まだ水残ってるみたいだけどいいの?」


クィレアが問うてくる。


「ああ、それあいつらの体液だ。汚い。混ぜたくないから捨てた。」


それを聞いてクィレアはなんとも言えない酷い顔で水たまりを見てから、少し離れた。


10連休がやってきます、正直嬉しくないです。

色々調整が大変でした。客先にも随分怒られ嫌みを言われ、散々でした。


元々休日出勤して仕事して手当を稼ぎ、人のいない平日に休みを都って雑事を片付ける派なので良い迷惑ですよ。

知り合い経由で何日か日雇いの仕事を入れたので、更新は毎日では無いと思います。

慣れない仕事で疲れ果てるか、刺激になるか

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