枯れ木に乳を咲かせましょう
「あー弓苦手なのか・・・
まぁちょうどいい、先に話しておこう。
師匠の教官に聞いてる話だと基本的に防衛任務は防壁の上に並んで、弓を撃つのが主な役割になる。」
「なんと・・・」「まぁ・・・」
新規加入したギュソンとアベニル兄妹が驚いた顔をしている。
「敵前線への突入は冒険者の志願兵、あと教官たちが参戦するらしい。
俺たち駆け出し新人は後方援護がお仕事ってわけだ。」
もっともらしく語っているが全部聞いた話である。
そしてそれはまだ続く。
「後は襲撃してくる魔物の種類によるらしい、防壁の上でも近接戦闘にはなるから、その辺の装備も当然必要になる。
なのでとりあえず弓の装備を優先して見直し充実させて欲しい。その次に近接装備。
ただこれは班員で多少調節したい。」
ナードやジスナ、チカチーノが頷く中、アホ魔法使いが手を挙げた。
別に授業じゃ無いから勝手に喋ればいいだろうに。仕方無く指してやった。
「なんで弓メインなのに防壁まで魔物が来るのよ?おかしいじゃない。そんなに弱くないはずよ?
あと装備はそれぞれ好きな物使ったら駄目なの?私魔法使いなんだけど。」
あー。あれか魔力がある=頭が良い、理解力があるというわけでは無いらしい。
ついため息をついてしまい、馬鹿にされたのが解ったのかクィレアが不満そうな顔をする。
その顔を見てこちらもつい強く言ってしまう。
「おまえは馬鹿か! 魔物の種類にもよるつってんだろ!
空を飛ぶ魔物もいるだろうし、トカゲとか爬虫類系の魔物でもいれば防壁登ってくるだろうが!
それの対処に近接や投擲の技術がいるんだよ、ドアホ。
お前は何でもかんでも魔法で対応しようとするんじゃねーよ。
密接したとこで火魔法なんて使ったら仲間にも被害がでんだろーが!
装備に関しても防壁の上の広さ考えて取り回ししやすい武器を選べって話だ。
あと魔法もバカバカ撃つんじゃねーぞ。
お前、これだけ言った後に俺の前で魔力切れとか起こしたらマジで先に殺すからな。
いや、オークの囮に使うから覚悟しとけよ。」
「そ、そんな怒らなくてもいいじゃない、ちょっと聞いただけなのに。
わ、解ってるわよ。言われたとき以外魔法は使わないからそんなに怒らないでよ・・・ばか。」
「はー面倒くさい。
とりあえずそんな感じで意識してくれ。まだ時間があるから後で弓の腕は見せてもらう。あんまり一緒にやったことがない人もいるし。
持ち込める物にも限りはあるだろうからその辺も含めて話合いを・・・どうしたチカチーノ?」
今度はチカチーノが手を挙げていた。真似しなくていいんだぞ?
「あ、あの弓なんだけどイゾウさんにアドバイスもらいたいんだけど、だ、駄目ですか?」
ああなるほど。そういや彼女は講習中でも教官や講師に気を遣ってあまり質問しない。
呪われている負い目があるからか。
「俺もあんまり細かくは教えられないけどいい?」
弓は眼の恩恵に頼り切りだ。何かを言えるとは思わない。
思わないが悩みを聞くだけでも違うだろう。
チカチーノが頷くのをみて俺も頷く。
「そうゆうことなら某もお願いしたい。」「あら私も」
神殿兄妹がちゃっかり便乗してきた。魔法使いは何か考え込んでいる。
班員だしそのくらいは問題無いだろう。コミュニケーションの一環だ。
残る二人を見ると。
「イゾウが上手いから先に射殺してただけで俺は別に弓は苦手ではない。」
「そうですよ、同時に撃ってもイゾウさんの矢が先に当たるんだからどうしようもないじゃないですか・・・」
言われてみれば俺が撃ち殺してたから彼らに獲物が回らなかった可能性がある。
「あー・・・そうだっけ?それならすまん。
今回は的が多いだろうから期待してる。」
一応詫びておいた。ちなみに魔法使いは本当に弓は下手だ、こいつだけは明後日の方に矢を飛ばしていた覚えがある。
まぁ二人は戦力としてやっぱりカウント出来そうなのでオッケーで。
その後はしばらくそれぞれが何を出来るかを話し合った。
印象としてはモンクすげー、プリーストすげーである。
この2人は普通に有能そうだ。弓以外は。
弓の腕がヘッポコだと使い道にこまる。
基本的に冒険者講習は広く浅く教えるため万能型を育てている形になる。
一通り習い、理解を深め、その上で自身の方向性を決める為だ。
対し2人は完全に専門職として形が出来ている。
資格を得るために習いにきているに過ぎない。
初心者の講習だからこうゆうこともあるのだろう。
2人は講習は受けず、すぐに冒険者になれば引く手数多だと思う。
意外と皆、こうゆう話し合いは好きなようでチカチーノも含め意見を言い合った。それぞれ欲求があるのでこうゆう時間は大切だと思う。
そんな白熱した会議をしていると教官長が近くに来た。
気配を消して近づくの止めて欲しい。
直前でなんとか気づいたものの、班員は突然現れた教官長にかなり驚いていた。
「班員は揃ったか?」
「いえ、残り3人ですね。今は足りないパーツを話し合っていたところで。」
「すまんが時間切れだ。話は聞いているな?
ユリウスの所が1人も決まらず揉めている。
至急収めて来い。」
「あらら、至急ですか?」
「至急だ、当人たちよりも周辺が苛ついてきている。
儂らの予想より多く集まっていて、そのせいで他の班が決まらない弊害が起きている。
最悪はこちらで振り分けるから、その前にある程度形にしてやれ。」
「了解です。班員に説明してもいいですか?」
「構わん。終わったら後で時間を作ってくれ、装備のことで話がある。」
教官長の許可を取ったので、2班での防衛任務とユリウスへのフォローについて説明しながら移動する。
先に聞いていた者が大半の事もあり、皆理解し協力を約束してくれた。
なので宣言しておく。
「俺が度暴れて憎まれ役をやるから、裏でそれなりにフォローして欲しい。
あー、暴れたら止めてもいいけど邪魔はしないで欲しい。
厳密にいうと言葉では止めてくれ、でも実際は手を出さないで。」
「それなりでいいのかイゾウ殿?」
「・・・・ユリウスは俺と違う意味で女に甘いからそれで勘違い女が調子に乗ってるんですよ。
話通じない頭おかしいのが4、5人いて、それに引っ掻き回されてるはず。いい機会なんでそれを叩いておこうかと。」
「ふむ、だが女性なのであろう?」
ギュソンさんは女性相手だと遠慮するタイプらしい。少し考え込んだ。
「今だけ収めてもしかたないし。防衛任務にも影響しますから。
キッチリ上下関係分からせておかないと。
1班のユリウスが合同時責任者なのは確定ですけど、だからといって俺たち12班が1班より下扱いされたら堪らないので、かなり強目に行きますから。
あー、出来たらあんまり引かないでね。」
「あなたが暴れるのなんて今さらだから誰も引かないわよ。
それより班くらいでそんな扱いされるの?」
クィレアが軽い感じで言う。お前は少し考えた方がいい。
「ユリウスの仲間ってだけで、自分はユリウスと同格って勘違いするやつはいるんだよ。
ユリウスに迫ってる奴等の大半はユリウスが大成したとき横に居たいってのが本音の部分あるだろうし。」
「呆れた。」
「先に言っとくぞ。
今回の任務は班長12人と、それ以外という区別で俺は扱う。
ちゃんとそれで話を合わせろよ。
基本的班長には譲れ、立てろ。
ただし他、108名は同格だから。
例え前回30位以内だとしてもな。わかる?元30位さんたち。人に言われたらその立場は上手く使え。だけど自分では絶対に口にするな!安く見られるぞ。」
「了解した。」「わかりました。」
「だ、大丈夫よ。」
「俺はお前が心配なんだけどな。いいか?俺とユリウス以外は同格と口では言うぞ。だがこれから力で頭を押さえつけに行くんだからな?」
「わかってる、気をつけるわ。」
「某も了解した。多少の怪我なら某も治せるし、妹は本職だ。存分にやるがよかろう。」
「ええ、班長命令に従うわ。ただ治せない範囲まで行ったらそれは止めますから。」
神殿兄妹も納得してくれたようだ。
「話し合ってすむならそうするけど、無理だろうなぁ。
あいつらの中でユリウスとの未来は確定してて、俺たちを何故かユリウスの部下扱いで、自分のが上だと勘違いしてるんだよ。
一応言っておくと元々そろそろガツンとやるつもりで、俺の仲間は皆知ってる。だからそっちからも邪魔は入らないから、そのつもりでいてくれ。」
「私聞いてなかったんですけど?」
「お前昨日からの付き合いだろうが・・・・」
クィレアが言う。いつからお前は俺の仲間になったんだ・・・・
「そう、次は大事な事は聞いておきたいわね!
でもそのユリウスさんは大丈夫なの?」
「ユリウスとは揉めないと思うけどやり合うならやるまでだ。
その時は1位の実力を精々楽しませてもらうさ。」
「なんで楽しそうなのよ・・・・」
「ユリウスよりも一緒に講習受けにきた元兵士のほうが可能性高いんだよ。
班が決まってないなら邪魔はしないと思うけど。」
そんな事を話ながらユリウスの所へ向かう。
俺を中心にまるで院長の総回診・・・
には見えない。単なるチンピラの集団が肩で風切って歩いている姿だろう。
少し遅れて苦笑いをしながら歩くチカチーノ以外は悪人集団にしか見えない。
俺の樽はなぜかジスナが運んでくれている。
ユリウスの所へ行くと30人を越える数が集まっていた。
その周辺にはまだ班員が確定してない他の班長の姿もある。
元兵士組は全員揃っていた。ユリウスの所が決まったら話を合わせて散る腹積もりだろう。
元指導員の男と女兵士の2人は班長だからユリウス班と合わせて最低3班が決まっていないことになる。
つい、ため息がでる。
早々にどうにかしてこいと言われるわけだ。
「イゾウ!」
俺を見つけたユリウスが嬉しそうに手を上げて声をかけてくる。
ユリウスの声に周辺で話し合っていた女が此方を目で捉え、顔を歪める。
俺はユリウスへと向かいながらも、この場にセレナとマナを見つけ、何故ここにいるんだよと、不機嫌になりながら歩いていた。
その俺の表情を見て人混みは綺麗に割れていった。
睨みつけるようにユリウスの前に進む。
その俺の前にユリウスファンクラブの中でも俺がマジキチと称した女が4人が立ち塞がった。
元兵士組の5人もさりげなくユリウスを守れる位置に移動している。この辺はたいしたもんだ。
でも別にユリウスに何かをする気はない。
「何の用よ、あんたも班長なんだから自分の班の人数集めてればいいでしょ。」
「そうよ、今ユリウス様は私たちと」
「ユリウス話かある。面倒だ、ゴミを退かせ。
いつから俺たちは人越しに話す関係になった。
俺はお前と人伝いに会話する気はない。」
「君たち退いてくれ。
イゾウと話がしたい。」
「そ、そんなユリウス様まだお話が終わっていません。」
ユリウスの言葉を聞いてユリウスにすがり付くマジキチ女たち。
既に周りが見えないほど興奮している。今までこの調子で話してたなら決まるわけがないな。
まるで悲劇のヒロイン気取りに見えてヘドがでる。
少しまとも、もしくは危機管理能力が有る女はこうはしない。
俺の顔色を見て、「私関係ないでーす」とでも言った顔でさっと距離を取っている。
セレナやマナも少し離れて見ている。
「どけ!」
言うやすぐに4人の横腹を横蹴りで蹴り飛ばす。
女4人は吹っ飛んで倒れこんだ。
「がはっ、・・・・・ちょっとアンタ何すんのよ、女性相手に信じられない!」
何か騒いでいるが無視する。
来て早々に手を出した俺を見て班員も呆れた顔をしていた。
信じられないだろ?この男最初はなるべく話し合うって自分の班員には言ってたんだぜ?
4人中3人は倒れたまま喚いている。
もう少し強く蹴れば良かったとか考えていると幽木のような痩せ細った4人目の女が立ち上がり、腰から包丁のような短剣を抜く。
マジキチ女の中で特にイカれてる、刃物スキーな痛女だ。
いつも数本の短剣を持ち歩き、過去に何人か刺した事があるという噂がある痛女。
そんな女が両手に短剣を持ってユラリと近いてくる。
白い着物でも着てたら、日本の怪談話にでも出てきそうな姿だ。
ゆっくりと近ずき、短剣を構え一気に飛びかかってくる。
が、ナードが槍を手にその短剣を止めた。
「・・・別に大丈夫だったのに。」
「知ってる。でも班長が攻撃されるのを黙って見てられる性分じゃないんだ、許せ。」
「おー、かっこいい。
それはいいけど俺がやらないと多分納得しないだろうよ。
代わってくれ。刃物向けられて人任せはしたくない。」
「邪魔するな!お前!殺す!殺してやる!」
女はふーふー言いながら俺に飛びかかろうとしている。
ユリウスや他の女が横から何を言っても聞く様子がない。
蹴られてスイッチが入ったようだ。
それにしてもユリウスは酷いな。ずいぶんと舐められている。
話し合っても改善しないだろう。
せめて俺が横にいる間はどうにかしないと任務に支障がでる。
こんなザマでお前は本当に勇者になれるのかと問い詰めたい。
「了解」
ナードが槍を上手く使い女を後ろに払う。
そして自身もスッと下がった。
それを見て枯れ木女は俺に飛びかかって来た。
俺が横に交わすと、元居た位置を綺麗に短剣が凪いで通りすぎる。
「うわー、こいつマジで殺す気だったよな?」
「ああ、本気だった。」
俺がナードに問いかけると同意の言葉が返ってくる。
「じゃ正当防衛な。止めるなよ。」
「了解」
短剣を両手に襲いかかる枯れ木女相手に、俺は腰の短剣を抜く。
相手は2本、盾は持ち歩いていないので短剣一本で応対することになる。
二刀の相手は慣れている。師匠のガハハ髭教官は二刀流で A ランクになった猛者だ。
まだ俺が二刀を使うことは許されていないが、師匠は二刀で相手をすることは多々ある。
それに比べればキチ女の短剣など練習相手にもならない。
片手で捌き、捌きながら返す刀で衣類を切り刻んでいく。
酷いやりようだろうが、女相手に無効化するならこれが手っ取り早い。
ついでにおっぱいの具合まで確かめられる。
どうせなら見た目が良い女がいいが、どうでもいい女相手になら心も痛まない。
流石に衣類だけを上手く切ることは出来ず、だんだん傷だらけで血塗れになってきたので短剣を持たない左手で相手の両手の手首を捕まえる。
押さえつけてバンザイの姿勢に持っていった。
幽木のようにガリガリな身体だが、胸だけは多少膨らんでいる。
ガリ巨乳か、悪くない。ホラー映画の幽霊みたいな見た目が残念だ。
「枯れ枝みたいにガリガリかと思えば胸だけはそこそこだな。ちゃんと飯食ってるか?食わず嫌いは良くねーぞ。」
「はっ、離せ!胸なんかどうだっていいだろうが、昔はもっとデカくてウザかった。今は動きやすくなったんだよ、離せ、離せよてめえぶっ殺してやる!」
そう言って女はこちらにむかって唾を飛ばしてきた。口調は幽霊というよりヤンキー女だ。
「ふーん・・・ほう、昔のサイズまでは解らんな」
「ば、馬鹿てめぇ何触ってやがる。離せ!離せ!ぶっ殺してやる。」
たぷたぷ胸の確認をしたところさらに激昂して喚きだした。足をジタバタさせてウザいので太ももに膝蹴りを入れておく。痛かったのか足は動かなくなった。
「まだやんの?俺ユリウスと話があるからいい加減ウザいんだけど?」
「あああああああああああああっ」
両手を押さえられたまま声を上げ、大きく口を開けて噛みついてきた。
左手で女の両手を引く、位置をずらし噛みつこうとしてくる口の上、眉間に向かって頭突きを入れた。
そして手を離す。頭突きが入って昏倒している女の左頬を、乳を揉むために短剣をしまった空の右手で殴り飛ばした。
倒れてピクリとも動かなくなった。
それをみて喚く女たち。特に先に蹴り飛ばしたキチ女たちは罵詈雑言の限りをつくさんと声を張り上げている。
この状況で何故自分はこれ以上されないと思うのか?不思議で仕方がない。
近付きさらに腹を蹴って回った。
すると口は閉じたが、眼で睨み付けていた。まるで睨み殺してやるとでも言わんばかりだ。
睨み殺されるのは御免なので、髪を持って俺と同じ高さまで持ち上げてあげる。
視線が高くなって嬉しいはずだ。ほーらユリウスと同じくらいの目線だよ。奴のが少し高いけどな。
背で負けている恨みを込めて、頬をパンパンと景気よく張っていく。
最初の一人はしばらく耐えていたが、ユリウスを含め誰も止めてくれない事に気づき、しばらくして泣き崩れた。
それを見ていたからか、2人目3人目は泣きが入るのが早かったが、1人目と同じ数だけ張っておいた。
差別は良くない。平等にやらないとね。
「ジスナ、樽をくれ。」
「あ、はい、どうぞ。」
地面に樽を置いてもらい、水に魔力を注ぐ。
樽から水を浮かせ、浮かせたまま幽木女の側によった。
他の三人を痛めつけてるうちに目は覚ましたようだが、頬を押さえたまま座り込んでいた。
羞恥心はあるようで、俺が近づくと胸を両手で隠し、目だけで反抗してきた。
「なんだよ、まだオレを痛めつけようってのか? やるならやれよ。何をされようが絶対に負けは認めないからな、そのうちぶっ殺してやる!覚悟しとけ。」
「ふーんおまえ根性あるね、嫌いじゃない。
負けは認めなくていいから、俺の邪魔をするな。今はそれを約束しろよ。
出ないとリベンジは受け付けてやらん。」
「なっ、なんだと、ふざけんな!」
「突っかかってきたら他の誰かをぶつけるか、面倒だから数人でボコる。」
冷たく言い放つ俺に、空気を読んだナードが槍を手の上でポンポンさせながら近づいてきた。
それを見て幽木女は、眉尻を下げる。
「ちっわかったよ。オレは邪魔しない、約束する。それでいいか?」
俯いた彼女の前にうんこ座りのように座り顔を覗き込む。
「なんだよ・・・まだな」
「それでいい。いいけど動くなよ。慣れてないから動くとミスるぞ。」
「はっ!ちょっ」
浮かせていた水を動かし女にぶつけた。
「 癒やしの水 」
そう呟くと水を浴びた幽木女の全身の傷が一気に塞がっていった。
回復が止まったところで水を浮かせ、樽に戻す。
「ふむ、思ったより治らないな。覚えたてだとこんなもんか・・・・」
「いやいやイゾウ殿、水魔法地魔法で回復は制御がかなり難しいと聞いている。
今日覚えてこれなら充分であろう。」
「ええ、充分よ。後は私が引き受けるわ。」
神殿兄妹が声を掛けてきてくれた。あとの治療は聖職者様にお願いする。
「いやー、自分の傷は綺麗に治せたんですけどね。人の怪我は難しい。」
そう言いながら俺は短剣で手の平を切り、切った傷を即座に水魔法で治してみせた。
「某も回復魔法を使えるが、妹のほうが上手い。
その辺は向き不向きもある、上手くなるには繰り返し練習だな。」
「なるほど、アベニルさん、なるべく怪我人は俺に練習させてください。」
「いいけど私の仕事、全部取らないでね班長さん。」
「いやいや優先して戦って下さいね。戦力としてカウントしてるんだから。
まぁそれはいいけど、嘘吐いたら・・・・乳首でも切り落とすことにするか。」
「ひっ、だ、大丈夫だ。」
「うん、そっちの3人も連帯責任だから。よろしくね。」
「き、聞いてないぞそんな話!」
「ちゃんと言ったよ、今。連帯責任で4人全員な。よろしく。」
反論を聞くつもりはないので立ち上がり、ユリウスの前に向かった。
さて色男、お仕置きの時間だぞ。




