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異世界(この世)は戦場、金と暴力が俺の実弾(武器)  作者: 木虎海人
2章  初心者講習 乱痴気騒ぎ

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班決め


第三地区ギルド支部支店へと戻った。


俺が戻った時にはすでに班分けの最中だった。


扉周辺の者の視線が集まる。

集まった視線は俺の視線を受けて即座に散った。

騒がしい訓練所の中を一瞥して遅れたことを詫びに教官たちの元へと向かう。

左手人差し指には〝白の大魔道〟から貰った〝ネクロスの七災七罪〟シリーズ〝天魔〟のレプリカの魔法媒介(指輪)をつけて。


歩き出した俺と目が合い、既に仲間に囲まれて話していたビアンカは「フン」と言ってそっぽを向く。

そのビアンカの横でメアリーが苦笑いをしていた。



報告は傷顔の教官が行う。

俺と師匠の関係は親と子である。

これは家族の絆と違い、義家族のルールがある。

上と上が話しているときに下は声を出してはいけない。それが義家族のルールだ。

下手に口出しをすればガラス製のごつい灰皿で教育されてしまう。

背筋を伸ばし黙して声が掛かるを待っていた。


そして気づけば教官長とガハハ髭に抱きつかれていた。

「そうか、魔法を覚えたか!良かったな!イゾウ」と言ってもらえ、熱い抱擁が施された。

左右から抱きついてきた2人の師匠の目には少し水が溜まっていたように見える。

俺はこっそりその水を操作し、第2地区から運んできた樽へと運ぶ。

師匠の涙が俺を〝物理的〟に守ってくれるだろう。


武術課の教官たちのリクエストで皆の前で覚えたての〝水魔法〟を披露する。

第2地区から運んできた水を使って動かせて見せた。


この樽は帰りがけに師匠にねだり買って貰った。脇に抱えられるサイズの小樽だ。

そこに白と黒の大魔道さまが半分づつ水を作り満たしてくれた特別製(モノ)だ。

俺の魔力とよく馴染む。


自派閥の者はそれを見て歓喜の声を上げ、魔法課の教官や一部の講習生は苦虫をかみつぶしたような顔で見ていた。


「見事だイゾウよ。講習生内で第12位のイゾウの班、いまからそちらも募集する。

希望者はイゾウの元へと集まるがいい。」


教官長の言葉で()()の講習生が俺の元へと向かって来た。





俺の元へと来たのは ナード、クィレア、ジスナ。先の間引き(狩り)で共にした者たちだった。


「なんだ同情か?別に120人は強制だから無理しなくていいぞ?」


俺の言葉にクィレアが返す。


「同情じゃ無いわよ、一緒に任務に当たった上でこうして待ってたんだから歓迎しなさいよ。

貴方それより、配下の人たちはどうしたのよ? なんか他の班に参加してるみたいよ?

競争率高くなるかと思ってたのに、肩すかしじゃないの。」


「ああ・・・別に配下じゃねーけどな。お仲間な。

俺のとこは別に誰でもいいから他に参加しろって言っといたんだ。

さっきの話、聞いてただろ?やる気無かったんだよ俺は。

ま、来てくれたのは嬉しいよ、ありがとう。


でも一人目はもう決めてるんだ。


悪いけど1人目を入れた後にそれでもよければ参加してくれ。」


「ちょっと待ちなさいよ。何よそれ!」


クィレアが叫ぶがナードとジスナに任せて放置だ。二人が宥めている。

魔法使いプレイは嫌いではないが、こやつは地味で色気が足りん。

そのうえで性格が面倒くさい。


騒がしい訓練所を横目に俺は進む。

一人目は、班分けを講習生が自由に決めていいと師匠に言われたときから決めていた。

今は壁の花となっている、〝呪い娘〟ことチカチーノだ。

講習生の成績ランキングで110位に見事ランクインしていた彼女。

俺の班は彼女を最初に入れなければ始まらない。

最後に入れて文句でも言われたら、それまで集めた面子をうっかり殺してしまいかねない。


壁際で所在なさげにまごまごしている彼女の前に俺は立った。


「チカチーノ、俺の班に入って。拒否権は無しな。決定だから。」


「 え!? そんなボクなんか・・・」


「うん、そう言うと思ってたけど最後に加わるより最初からいたほうがいくらか気楽だろ?

君がいるの解ってて入ってきた人との方がやりやすいはずだ。」


「でもイゾウくんに迷惑が・・・・」


「迷惑? 俺に迷惑を掛ける?

どうやって?」


「いやだって・・・ボク」


「何も悪い事してない君の評判と、悪い事でも何でもしてる俺の評判、どっちが悪いと思ってる?

いまさら1つ2つ問題が起きたところで俺が嫌われていることは変わらないさ。

だから胸張って俺と行こう。110位なんて凄いじゃん、堂々と参加して良い。

チカチーノ、戦ってレベルをあげよう。力をつけて呪いを跳ね返すんだ。

講習生で1番悪い俺が、今回の任務で1番良い戦果を出すんだ。力を貸してくれ。」


「・・・・もう、イゾウさんは狡い、そんなこと言われたら断れないじゃんか。」


「強制だってば。」


「うん・・・宜しくお願いします。」


予定通り俺の班の2人目には呪い娘チカチーノが決まった。





そして不愉快そうなクィレアたちの所へ戻る。


「嫌なら無理しないでいいぞ。」


「なっ、べ、別にいやなんて言って無いでしょ、性犯罪者、ロリコン、エロお」「ほーう」


「あっ、えーと、あの」


さっきのことを持ち出して悪口を並べる魔法使いを視線で止める。

寸止めするって言っといてしなかったから、文句言うのは解るけど、ロリコンでは無いのだよ。


「うん、お前やっぱ後回しな。面倒くさい。

 ナードは俺のとこでいいのか?他にもいけるだろうに。」


俺はナードという男に先に声を掛ける。

特に秀でたところは無かったが、上位30名には問題無く入る男だ。

俺の所に来なくても引く手は許多だろう。


「俺はあまり人の上に立つ器じゃ無いし・・・稼げるところで動きたい。宜しくお願いする。」


なんか格好いいこと言ってやがる。俺の台詞だぞ、それ。

俺がやりたかった立場だ。

いまさらどうにもならないので三人目の男として認めよう。



次はジスナ。

オークにトラウマのある元班員だ。散々揉みしだいてやったのに俺のとこに来るとは。

惚れたか?

「・・・マゾ? エロ女め・・・」


「ち、違います、違うんです。その・・・他の班だと迷惑かけるかもしれないので・・・」


「ほっほーう・・・俺には迷惑かけてもいいと?」


「そ、そうは言わないんですけど、その・・・最悪の場合・・・止めてもらえるので。

他のところだとどうなるか・・・」


「いや暴走すんなよ。構わないけど参加するならば、お前は絶対に俺の命令には絶対服従してもらうよ?

また単身オークに突っ込まれたら迷惑だ。」


「はい、従います。なのでお願いします。私本当に他に行くのが怖いんですよ・・・・」


言質取りました。肉便器一号に任命します、なんてな。

とりあえず4人目ということで。



「で・・・おまえか。」

放置していたクィレアに向かい合う。


「ちょっとなんで嫌そうなのよ。」


「嫌ではないけど、なんかお前、面倒くさい。」


「ほんとっうに失礼よ、さっきから。

覚えてるでしょ私の火魔法!オークなんて私がいれば丸焼きにしてやるわ!」


「ばーか、今度は防衛戦だから防壁の上で弓を撃つのが主な任務なんだよ。弓の下手なお前ら3人は俺からしたら論外なんだよ。だから呪い持ちなのに前線任務に食い込んだチカチーノを欲したのに。

魔法使いさんは弓使えましたっけねぇ?」


「な、私はまほ」「五月蠅(うるさ)い!」

俺は距離を詰め何かを言おうとしたクィレアの顎を逆手で握って言う。どうせ魔法使いだろう。


「良いか、お前が俺の班に来るならば、魔法は切り札として使うの。基本は弓で戦うことになるんだ。」


「魔法は切り札・・・・?」


「・・・そっちかよ。まぁいい。魔力切れとか話にならないからな。弓をメインで戦う。

お前らも弓は苦手とか言わせないからな!」


俺はナードとジスナを見て言う。


「ああ。」「はい!」


良い返事が返ってきたので再度地味魔法使いに向き直る。


「それでいいなら俺と来い。チカチーノにも言ったけど今回の任務で1番活躍する予定だ。

魔法使いがいれば助かる時も必ずくる。」


「うん、そうよね。魔法使いの力は必要よね。任せてちょうだい。」


途端にニコニコ顔である。ちょろ魔法使いめ。


「あとロリコンじゃない事を証明するのにもお前の力が必要なんだけど?」


「・・・・・」


返事は無かった。

なんにせよ五人目である。

後半分だ。





「あー、んじゃ最初の班長命令な。そこに俺の持ってきた樽があるだろ?

水が入ってる。 それに魔力を注ぐ訓練をしてて。順番に。

さっき俺がやるの見てただろ?ああゆう風に動かせたら合格な。」


残り5人を決める間に順番に〝水魔法〟の練習をさせることにした。

これはちょっとしたデモンストレーションのつもりだったのだが、思ったより好評でチカチーノを除く3人で奪い合って試していた。

仕方無く口を挟む、順番にやるように強制しておいた。

俺としての希望は〝呪い娘(チカチーノ)〟が〝水魔法〟に目覚めるのが1番都合がいい。

この練習方法を広めることは大魔道お二人の許可は取ってある。

水魔法使いが増えることは歓迎らしい。

最も俺が樽を持ち歩いているのは別の理由だ。

慣れ親しんだ水が1番操りやすく、染みこんだ魔力は伝わりやすい。

班員にもこの樽で練習させることで、その班員の魔力を辿って水を動かせる。

緊急時にその班員をこの水で守ってやれる。








問題は残る5人をどうするか、だ。

ちなみに班員に最初に聞いたところ全員が「任せる。」と言いやがった。

友人のいないチカチーノは仕方無いが他の奴はそれでいいのか?

そのために立たせていても仕方無いので水を使った訓練をさせた。

羨ましそうに見ている奴はいるが、俺と目が会うと凄い勢いで逸らすので声をかけると苛めてるみたいになってしまうと思われる。


俺も知り合いは限られているので、壁の花と化して止まっている人間に声をかけていくしかない。

派閥の人間を引っ張れば早いが、彼らには俺以外に〝先天性才能(ギフト)〟を持っている人間がいないかを調査するように頼んである。

2,3人で別れて各班に散って参加してもらった。

先天性才能(ギフト)〟持ちでなくとも、何かの能力のある人間はいるだろうし、俺が知らない強い奴もいるだろう。

その辺を含めて、この機会に調べてもらえるように頼んでおいた。

なので俺の所にいまさら5人も引っ張ってくるわけにはいかない。


なるべく強そうな奴を入れて調べておきたい。

チカチーノを除いて3人は予定外で埋まったのでせめて残り5人は調べたい。

そう思って壁の花と化している面子を眺めた。


ずらーっと結構な人数が残って並んでいる。

何故こやつらは積極的に動かないのか?

120人で、10人12班を作るのは確定だ。

最終的には教官が振り分けるだろう。

声を掛かるのを待ってても時間の無駄だろうに、さっさと班を決めて打ち合わせでもした方が効率的だ。


手前から片っ端から声を掛けていっても良いのだが、俺はなるべくオークを狩ってレベルを上げたい。

自分だけでなく、班長になった以上班員も稼がせてやりたいと思う。

そんなわけでなるべく強い奴が良い。


強い奴、強そうな奴・・・



発見!


30前半くらいのムキムキ短髪おやじ。

20代半ばくらいの修道服を着た女の年の差カップルだ。


一緒になったことは無いが、強そうな奴でチェックはしていた人たちだ。

年齢的に再講習組だと思う。


「えーっとちょっといいですか?」


「おお、イゾウ殿か! わはははは、話しかけてくるとは有り難い、どうしたスカウトか?」


「殿? あれ、何故名前を?何処かで一緒に何かやりましたっけ? 」


「わはははは、イゾウ殿は有名人だからな、勿論存じている。確か一緒に訓練をしたことはないな。

うむ、名乗ろう、(それがし)は」

(それがし)!!?」


「兄はこうゆうちょっと変わった話し方なの。私達は少し離れた地方にある修道院の出で、聞き取りにくかったらごめんなさいね。」


「あー、いえちょっと変わった言い方だったんでビックリしちゃって。

こちらこそ失礼しました。で、ご兄妹なんですか?」


どこの侍かと思ったぞこの筋肉ダルマ。しかし兄妹か、ハッキリ言って似ていない。


「うむうむそうなのだ。では改めて自己紹介しよう。(それがし)はギュソン25歳。こちらは妹のアベニル20歳。

初めましてだなイゾウ殿。 余り他の講習生と面識が無い故にどうしようか困っておったのだ。

講習生は我らより若い者が多く話ずらくてな・・・ 」


「25歳・・・・と20歳。ちょっと年上でですね。

俺が班長で18歳ですが大丈夫ですか?」


思ったよりも若い。そこにビックリしたわ。普通に30代半ばだと・・・

妹のほうは老けているというか大人っぽい。悪くない。


「わははははそんなことは気にしないでくれ。

我らは神殿育ち故に修行の一環で旅に出てな。何かと便利だから冒険者にもなっておくことにしたのだ。

つまり同じ初心者(ルーキー)という奴だ。これも何かの縁、こちらからお願いしたい。

妹よ、構わんよな?」


「ええ、有り難いお話だと。それに先ほどの口上もお見事でした。

是非ご一緒させて頂きたいです。」


「口上・・・・ですか?」


「ええ、呪いを持った彼女を誘っていたところ、見ていたのですよ。

是非ご一緒させてください。」


「ああ、じゃーそこは気にしないかな? じゃー細かいところは他の班員と合流して話しましょうか?」


「うむ、呪いを持つ者は我らの育った神殿にもいたのでな。苦しみはわかるつもりだ。何か役に立てるといいのだが・・・」





二人を連れて他の班員の所へ戻る。


そして車座になって話をする。


「とりあえずこれで7人な。この面子を見て抜けたければ今言って欲しい。」


特に反論は無かった。皆、首を振って否定してくれた。


「これ以降は様子見をしながら足りない役割を優先して声をかけたい。

先にお二人の自己紹介をお願いしていいですかね?」


「ああ、敬語はやめてくれ班長殿。名前も呼び捨てで構わぬよ。

某はギュソン。 得意なのは近接格闘と光魔法、神に使える修道闘士(モンク)といえば理解頂けるか?

妹と二人で修行の為に巡礼の旅に出ている。路銀を稼ぐ都合上冒険者登録をしておきたくて参加している。至らぬ点も有ると思うがよろしくお願いする。」


「妹のアベニルと申します。兄と共に神殿で育てられ、今は各地の神殿を廻る巡礼の試練の最中になります。兄とは違い光魔法での回復を生業にしていました。聖職者(プリースト)という立場になり、回復役を主に担っておりました。」


修道闘士(モンク)聖職者(プリースト)か。

良いんじゃ無いか、とてもとても頼りになりそうだ。

他の班員も「強そう」とか「凄そう」とか言っている。

うん、ボキャブラリーが足りない。


「あれ?二人かなり強そうだけど・・・・なんで上位の30人に選ばれていないんだ?

多分、ギュソンさん・・・俺より強いよね?」


俺より強いという発言にナードとクィレアが驚いた顔をした。

どれだけ俺に期待してるのか知らんけど、少なくとも講習の成績では無く、単純な実力(つよさ)だと俺は10番以下になる可能性はある。

勿論負けるつもりはないし、やってみなければわからないが。


「イゾウ殿、呼び捨てで構わぬ。

何、某も妹も神殿育ち故にこれまで戦闘で刃物を用いたことが無くてな。正直に言えば刃が立てられなくて苦戦していた。なんとか第2段階までは終えたのだが、ここまで時間がかかってしまったのだ・・・」


「後は弓ですね。神殿では殺生を禁じられていたために、狩りに出ることは無く弓も使ったことが無くて。弓も不得手で・・・・」


マジかー・・・弓メインでの防衛戦なのに弓が苦手な人を誘ってしまった。

ちゃんと話を聞いてから誘わなければ駄目だね・・・ 


だがおっさんを呼び捨てはちょっとな。そこだけは固辞しておいた。

ロリババアを出したらアクセスが倍になった件・・・

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