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異世界(この世)は戦場、金と暴力が俺の実弾(武器)  作者: 木虎海人
2章  初心者講習 乱痴気騒ぎ

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講習生たち ③  飲み会



夕飯時にそのまま流れで打ち上げを始まる。

自由参加の通達はなされ、夕飯だけを食べて解散する者も多かった。

いつもと違い教官はいないので食べる量にノルマはなかった。

のんびりゆっくり食べる人も、初めての酒を味わいながら食事を飲み込んでいく者もいた。

成人はしていても貧乏だった者が多いので、この機会に初めて酒を飲むという者も多かった。



最終的に一口でも酒を飲んだものは110人前後。

それ以外の者は各自理由をつけてイゾウ主催の飲み会を拒否して部屋に戻った。



参加者のほとんどは間引き依頼に参加した者とその縁者。

付き合いの薄い者ほど拒否する傾向にあった。

主催のイゾウの音頭で乾杯を、と言われたがそれをイゾウは固辞し、ユリウスに押しつける。

流れ的にそれは許されず、2人並んで乾杯の音頭を取った。


それを見て腐った女が大歓声を上げ、イゾウ当てに他の女からブーイングを食らいつつ飲み会は始まった。


食堂内には、樽が等間隔で置かれ、講習生たちは各自柄杓で各々の盃に注いで飲む。

ドワーフのガレフが集めた飲兵衛仲間たちの努力の結果がそこにあった


ビキニアーマーの女2人もその飲み仲間だった。

イゾウがビキニアーマーを見て感動しているとガレフどうでも良いように言い放つ。


「こやつらは人族の雌としてはトウが経っているが、交渉は上手い。酒屋との交渉は任せてやってくれ」


ビキニアーマーのふたりは20代後半。この世界では10~20代前半では身を固めるのが一般的だ。

とはいえ元40のおっさんのイゾウにとっては充分守備範囲である。

むしろ熟れ熟れのいい女だった。

酒屋と交渉するためにわざわざ着替えてきてくれている。


その2人を先頭に、ライアス派閥の酒好きやガレフ、そして彼の連れて来た酒好きと共に、師匠の顔見知りの酒屋を2カ所周り酒を樽で無事確保した。

ビキニアーマーの効果は絶大だった。

店主が鼻の下を伸ばし、それを見て憤慨している奥さんをユリウスを連れたイゾウが宥めて落とし、見事に値下げに成功した。

集まった樽は20樽。流石に多すぎるだろうと思ったが、この後の防衛戦の後にも飲む可能性を考えてイゾウはあえて多めに確保している。次の打ち上げに廻せばいいと。

余ったら食堂で確保しておいてもらえるようにしっかり頼んであった。


始まった当初は各々班員で集まって打ち上げの形を取り、段々と無礼講になっていった。


イゾウはというと、自身の派閥の仲間には自分に絡まないように通達を出している。

今後を見据えこの機会に外との親睦を深めさせつつ、飲めない仲間にはサポートと補助を頼んでいた。






【イゾウ視点】


最初は狩りに出た班員たちと飲んでいた。

各班に別れ乾杯し、各々反省会として軽く愚痴を言いながら飲んだ。


ライアスと話しながら飲んでいると、途中から女魔法使い(クィレア)が酔って絡んできた。飲むとこいつはよく喋る。

ナードも無口だが酒は好きらしく色んな樽から飲んでいて、自分だけでなく俺の方にも注いでくれるのでペースは自然と早くなった。


片手剣を使いオークを狂ったように刺していた女講習生は〝ジスナ〟

飲ませたらまた謝り始めたのでライアスと2人で「謝るくらいなら飲め!」と言って注いでやった。

クィレアとナードもコレ飲んで終わりとばかりに飲ませたら、酒は初めてだったらしくふにゃふにゃになったので水を飲ませて座らせておいた。

色々有るのだろうが飲んで愚痴って忘れてしまえばいいと思う。



段々席を移動し始めて、まず飲兵衛チームが酒を注ぎにきて少し話した。

再講習組を中心に男女10人弱。時々ギルドの酒場で飲んでいるうちに親しくなったらしい。

それぞれ自己紹介して話したが酒が入っているのでひと言二言だととても全員は覚えられない。

とりあえず、ドワーフがおひげ、ビキニアーマーのふたりは一号二号で。

他は知らね。

彼らはあちこち回って飲み会を盛り上げ(そして飲める奴を増やす)てくれるらしい。

酒の場になれている存在は素直にありがたい。飲み会はまた参加したいと思えないと駄目だ。

女飲兵衛たちはオイタをしそうな子に牽制しておくと言ってくれたので、潰れた女の講習生を守る事を手伝ってもらえるように頼んでおいた。

何人か飲めない女講習生がいるのでそれを纏めて別編成してある。

お互いが盛り上がって抜け出して(さか)るくらいならご自由にだが、酔って寝た子を無理矢理というのは放置できない。自分主催の飲み会がどっかのヤリ目サークルみたいな扱いになるのも問題だ。

金をだしてくれた師匠や教官に申し訳が無い。

自分の派閥の女子を中心に、ライアスの彼女なんかが協力して目を光らせてくれている。


いや、お互いが合意してるなら邪魔はしませんよ?  俺はな。


同様に飲めない男も何人か喧嘩の仲裁用や、力仕事用に待機している。

彼らは飲めないけど食べたいから参加して良いか?と律儀に聞いてきた男たちだ。

食べ物を選ぶ権利と味見と称して先に食べる権利を与える代わりに、いくつか義務を背負ってもらっている。外から運ばれてきた料理を受け取る役目とか、店まで頼みに行く係とか空いた卓に料理を並べる役目とかね。

1人じゃとても全ての役目をまかないきれないので有り難い。

いつの間にか飲むよりも食べたいという奴らが何人か混じっていて、何も言わなくても勝手に各テーブルに料理を取り分けを手伝ってくれている。

今の所、料理を独占しようとする奴はいない。

普段とにかく肉を食わされているからか、「これ、これお薦め!」とか言いながらあちこちに運んでいる。

食堂で働くギルド職員も腕が振るえて楽しそうだ。

時々店から運ばれた料理を摘まんでは似たような料理作りに挑戦している。



しばらくしてシグベルたちが俺のとこに移動してきた。

ライアスと「おまえあっち行けよ!」と争い始めたので鬱陶しくなった。

酒の席で喧嘩するんじゃねーよ馬鹿どもが。

仕方無いので「おまえら飲んでも強そうだけど酒はどっちが強いんだ?」と軽く煽ったら飲み比べで勝負することになった。脳筋チョロし。


ドワーフのおひげさんが「面白そうじゃな、俺が判定してやろう。」とか言って何故か参加してきたので任せておいた。

精々どっちも大人しく潰れてしまえ。

その飲み比べを見ながらライアス派閥のナンバー3,4,5とも少し話した。

ナンバー2のもやしもしっかり参加していたが、自派閥の面子と固まって飲んでいるので放置している。


その彼も狙っているビアンカだがメアリーを伴って参加しているが、女講習生と固まっているので話せてはいない。

別に主催者だからと言って各テーブル回って挨拶するつもりもない。したらしたでうざがられるだけだ。


なので時々遠くから見ているだけだ。

同じくセレナとマナも参加はしているが女だけで固まっていて、しかも酒には口をつけていない。


酒が進むと腕相撲で勝負を始めたり、飲み比べをする奴らが数人出てくるので、それを眺めながら周りにいる人間と交流しながら楽しく飲んだ。


特にビキニアーマーの2人は大人気で、若い講習生に次々飲み勝負を挑まれていた。

酔わせてワンチャンス狙っているのだろう。露出激しくてノリのいい女とか軽そうだもんな、よくわかる。

だが2人はともに酒が強く、潰れたのは男の方だった。

男は面倒なので訓練所に並べて寝かせてある。

朝そのまま訓練に行けて効率的だろうという俺の優しい配慮だ。

皆笑顔で運ぶのを手伝ってくれた。


一通りつぶし終わった後に、片方(俺がビキニアーマー2号と呼んでいる方) が来て、飲み足りないから一緒に飲もうと俺も潰しに掛かられたので、ハイハイ返事をして飲み勝負を無視して軽く普通に飲ませて追い払った。

さすがに主催者が飲みつぶれて寝ているわけにはいかないだろう。片付けまでは見届ける義務がある。


ただ「イゾウ見過ぎ。」とは飲んでる間中ずっと突っ込まれた。女本人にも周りの人たちにも。

見せてるもの見て何が悪い!と返してガン見して飲んでたので顔はあんまり覚えてない。

おかげで楽しいお酒でした。

お触りは有料だと最初に言われたので触るのは諦めた。多分マジで請求される。

お金を請求されないのが後ろの辺りの席でふわふわぼけーっとしてるから、あとで隙を見て連れ出す予定だ。

水を飲めと言ったのに懲りずにちびちび飲んでるから、別にそれくらい問題無いはず。

昼間も散々したし延長戦ってことで。

悪い事は駄目だって?俺は良いんだよ、俺は。

無理矢理じゃないし。


そんな緩い飲み会はメアリーが呼びに来るまで続いた。




メアリーが来たので少し酔い冷ましに外で話す。

無駄に広いギルドの施設なので致す場所には困らない。話をするだけだけどな。


「お疲れ様。昼間は大変だった?」


「楽では無いけど稼げたよ。また強くなってしまったかもしれない。」


「ビアンカの方は大変だったみたい、なんか連携が上手く取れなくて苦労したんだって。イゾウの方はどうだった?」


「そりゃー多少ゴタゴタしたけどね。ライアスも強くて別に困らなかったよ。」


俺がライアスを褒めるとメアリーは少し意外そうな顔をしていたが、さっきまで一緒に飲んでたのを見てなかったのかよ。

仲が良いアピールを周りにするために最初は班ごとに飲んでたのに。

だが、そのあと狩りの成果を話すともっと驚いた顔をしていた。

ビアンカのところは集落を潰していないらしい。これにはこちらも驚いた。

俺が確認出来ただけで俺とライアスの班。ノリックとおひげドワーフの班は複数小さいが集落を潰している。ユリウスとシグベルも1つは潰したと言っていた。

30人選抜で5人一班。六班あったことになるがどうやらビアンカのところは外れっぽい。

くじだと偏りが出るから教官が均等になるように振り分ければ良いのに・・・・

恐らくだが臨時の任務だとこうやって適当に別れるので、その練習を兼ねているのだとは思う。


「その辺の話もゆっくり聞きたいけど先に今日の練習してもいいかな?正直選ばれなかったことが悔しくて・・・ 次はビアンカの側にいたいの。」


「ふーん・・・・そのビアンカだけどメアリーに何をしたってこないだ言われたよ。魔力が増えてるって。」


「え!?ほ、ほんとうに。ごめん、何にも聞いていない・・・・」


「あーやっぱりか。ま、それは仕方ないんだけど目に見えて魔力が増えたなら成功って事で良いんじゃ無いかな?」


「それは・・・・もう私とは練習しないってこと?」


そうだけどそうじゃない。けっしてビアンカに袖にされたから嫌になったわけではないのだ。

正確に言えば他の方法も試したい。

オークが攻めてきたらこうやって逢い引きするのは難しいだろうし。


「いや、魔力が増えたみたいだし、ビアンカが自分にも教えろって言ってきたから、俺とじゃなくてビアンカとメアリーで練習するのがいいんじゃないかと思った。もう魔力、ある程度動かせるよな?」


「・・・・出来るけど、私はもう少しイゾウと練習したい。

それに多分だけど私としても魔力は増えないよね? イゾウとするから増えるんじゃないの?」


「・・・・・・う~ん、かもしれない違うかもしれない。俺はそこが知りたいから、ビアンカと試して欲しい。」


「私はもっと魔力を高めたいの。お願い・・・・ビアンカの側にて、置いて行かれたくないの。」


気持ちはわからなくもない。

だが良いように使われるのはごめんだ。魔力が増えれば多少靡いてくれるという下心でやっている。

心がこっちに向かないのならやる意味はない。

諦める気はないが、一度突き放して、よく考えさせる必要がある。

ビアンカはここで畳みかけて失敗したからメアリーにはじっくりいこうと思う。


「別に増えるかどうかはやってみないとわからないじゃないか。ビアンカとでも魔力は増えるかもしれないだろ?」


「そうかもしれないけど、絶対じゃ無いわ・・・それに、私は伸びなくてビアンカだけ伸びるかもしれない。そうなったらまた置いて行かれる。」


「俺なら問題無いみたいな言い方だね。」


「とっくに置いて行ってるじゃ無い! 私が貴方と並ぶのは無理・・・・」

そういってメアリーは半泣きで首を振った。


「どっちにしろ無理だよメアリー。ビアンカと試して欲しい。何日かやってみて結果は教えて欲しい。」


話は終わりだとばかりに立ち上がってみせる。


「待って、お願い。どうしたら続けてくれるの?」


メアリーは慌てて立ち上がり、俺の腕を掴んで縋り付いてきた。

いいねいいね。狙い通りだ。


「んー何か勘違いしてるけど、やるのが嫌だとは言って無いよ。

こうやって抜け出して会うのが難しいくなるからビアンカと練習した方が効率が良いって話をしている。」


「どうゆうこと!全然わかんないわ!」


涙目のメアリーの耳に顔を近づけて言う。


「今日のあれは始まりだよ。まだ続くんだ。」


「・・・・・」

少し考えたあとで何についてか思い立ったのか、メアリーがハッとした顔をした。

どうやら気づいたようだ。


「いつもこうやって時間が取れるとは限らない。そろそろ訓練の内容を進めるだけだ。上手く行けば2人とも〝魔力系のスキル〟を覚えられる。」


「そう・・・ね。」

渋々という感じでメアリーは返事をした。


「あとビアンカが感づいてるから。今も探しに来たみたいだよ。」


すっかり夜になり、目に見える風景は闇夜の黒に覆われている。だがその向こう、食堂のほうから赤い髪が近づいてきているのが見えている。

メアリーがいなくなったことに気づき、俺もいないから探しに来たんだろう。


「今後もこっそり練習は難しいと思うけど?」


「ごめん・・・」


「ま、そこはひとつこっちもメアリーを優遇するよ。メアリーにしたような訓練は俺はビアンカ()()しない。

代わりにメアリーが教えてあげて。そこで妥協して。なるべく毎日練習はした方がいい。」


「・・・そう、わかった。ビアンカにはなんて言えばいい?」


「魔力の操作の練習を教わった。でいいよ。魔力が増えたのはその練習の成果で。」


「わかった。」


「んじゃ行ってあげて。俺は何してるのか突っ込まれたくない。誤魔化したばっかりだし。」


「わかった。連れて先に戻ってるね。」


「ああ宜しく。で、メアリーほんとにわかってるか? 口外厳禁だよ。やり方以外教えちゃ駄目だ。」


「うん、気をつける。」


「本当によく考えてくれ。もし誰かに話したら俺はそいつを殺さなきゃいけなくなる、そこまで考えて欲しい。脅すわけじゃ無いがその場合メアリーもただじゃ済まない。

俺はメアリーを殺せないけど、奴隷にでも落としていつも手元に置いておくしか無くなるんだ。」


メアリーの顔が少し引きつったものになる。脅しじゃ無いといいつつ完全に脅しだ。

だが話が広まるのだけは避けたい。たとえ相手がビアンカでも。いや、ビアンカだから。


「きつい言い方だけど、よく考えてくれ。これは2人の秘密だ。

メアリーが求めたように、知れば魔力を増やしたがる奴は一杯いる。

これからメアリーのところにも聞きに来られるぞ。」


「うん・・・そうだね。約束する。絶対に言わない。」

既に何人かには聞かれているだろう。

だからこそ伝わるはずだ。


俺はメアリーを送り出し、ビアンカと合流させた。

ビアンカはメアリーと合流すると少し話をしたあとにこちらに怒った顔で向かって来たが、メアリーに引き留められ戻っていった。

その顔には遠目だが不満の色が見えたので、またその件を聞かれるのが嫌なので、夜風に少し当たって歩くことにする。

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