人生で一度言ってみたいセリフベスト10 ①
その後順調に狩りは続いた。
教官が地図を見ながら御者に指示をだし、その指示通りに馬車を走らせていると時々冒険者らしき男が現れてオークの居場所を教えてくれる。
最終的に10匹以下の群れを4度倒し、20以上の小さな集落を3度潰した。
集落を相手取ったときは流石に俺たちだけではなく、教官2人も、冒険者も助っ人に入り、また御者も戦闘に加わった。教官は勿論、冒険者も、そして馬車の躁馬をしてくれる御者のギルド職員もかなり強かった。
おかげで特に苦戦もせず集落を潰しているし、オークとの戦闘にもだいぶ慣れた。
オークは170センチ前後、猪の頭を持つ人型でありつつも獣に近い肉体を持っている。
つまり汚くて臭い。
体重はおそらく120キロ程度、鈍重で力は人よりも強いが速度は遅い。所謂アンコ型でドシドシノシノシ歩いている。群れで囲むのが得意の戦法で、知能は低く、弱い物に強く強い者に弱い。
何とでも繁殖し、何でも食べる。人間の雌をみると興奮して襲い掛かる習性があるので、後列に配置された女2人を見ると発情し突っ込んでくる事が多い。
アホなのでそこを簡単に斬り殺されている。
大した技量もなく、技も無く、動きは単純で俺も三匹くらいなら余裕で捌けるようになった。
オーク自慢の腕力も俺やライアスよりも遥かに劣る。
力で押せない相手にオークの出来ることは無い。
ただしこれは ノーマル・オークだからだ。
オークには上位種が存在し、危険度は跳ね上がる。
人を殺したオークは、俺たちと同じようにレベルが上がり強くなる。
そして上位種に進化する。
驚いたのは街の近くに集落がいくつもあることだ。
話によると定期的に砦を抜けてきては、小さな集落を作るらしい。
冒険者が見つけ、ギルドに報告し定期的に狩りに出て潰す。
そしてまた抜けてきたオークが小さな集落を作る。
街の南側はこれの繰り返しらしい。
なぜこんなに多いかと言えば、講習生に狩らせるためにギルドが討伐依頼などは出さず、集落があると注意喚起だけしておいたが故だ。
討伐依頼がでればその集落を潰せば報酬が出る。
依頼がでていない集落を潰しても、その集落分のオークの売値しか懐には入らない。
冒険者も積極的には狙わない。
教官たちが今回の講習生のレベル上げ用に確保しておいて欲しいと頼んであった結果でもあり、
ギルド側も報酬を安く済ませるために承諾した結果でもある。
恐らく他の班も同じように小さな集落を潰して回っていることだろう。
件の彼女はその後三度ほど暴走した。オークを見ると恐怖感が勝るようで声をあげて飛びかかろうとする。
逃げないだけ心が強いな、とは思うけど迷惑なので口を押さえて引き摺り倒している。
なおも暴れるので口を塞いだまま、逆の手で鎧の隙間から手を入れて胸を揉ませてもらってる。
手のひらより少し小さいサイズだが感触としては悪くない。
しばらく抵抗するが、触ってると大人しくなって涙目で「あの・・・もう落ち着いたので離して下さい」とか言ってくるのでその後少しだけ「ほんとだな?本当に暴れないな?」と何度か念を推しながら楽しんでから離している。
おかげでオークをほとんど他の3人に持って行かれて経験値的には美味しくなかった。
三度目に胸を揉んでいたところ、女魔法使いに見つかって〝 炎の矢 〟が飛んできた。
危うく女講習生が焼き殺されるところだった。
俺は余裕で避けられる。でも避けたところに残ってるし、よく考えて魔法を使えという話だ。
胸を揉んだまま女を抱えて逃げたら激怒してさらに追いかけてきた。
「待ちなさいこのセクハラ男!手を離しなさい!」
とか言いながらさらに魔法を使う暴れっぷり。
抱えて逃げないと〝 炎の矢 〟に彼女当たってしまうし・・・仕方無かったんだ!
追いかけっこになったところ、2人の教官が現れて真面目にやれと両者に殴られた。
俺だけ・・・
オークよりも怖い教官に俺が殴られているところを見た女の講習生はそれから声を上げなくはなったので、引き摺り倒すのはやめて、真面目に俺も戦闘に加わっている。
いい乳でした。少し名残惜しい。
そして女魔法使いの視線が痛い。
それ以降彼女とも会話が無いが、一方的に睨まれている。
日も傾き、夜の帳が落ち始めた頃、来た道とは別ルートでギルドに戻ることになった。
とうぜん帰りにも狩りは続行する。
狩った獲物を乗せるのでどんどん荷台は手狭になっていくので俺は馬車を降りて歩いて移動した。
最終的には班員全員が歩いて街に向かうことになった。
俺は早々に降りて逃げたが、歩くのが嫌で臭いに耐えていたらしい女魔法使いは少し具合が悪そうだったので、仕方無く背中をさすってあげたところ、街に着く前に盛大にリバースされた。
残念ながらそうゆうプレイは趣味では無いので、その姿に興奮はしない。
むしろ引いた。
放置するわけにはいかないので支給された水筒の残った水と、口を塞ぐタオルを差し出したところ、機嫌が良くなったのか帰り道ではニコニコ顔で着いてきてその変貌ぶりに少し恐怖した。
街に入り冒険者ギルド第三地区支部に戻る。
獲物を乗せた馬車は第2地区にある本店に向かうらしく、入口で別れた。
中に入ると先に帰宅していた班が多いようで間引きに参加した顔見知りがギルド併設の酒場のテーブルごとに軽食を取りながら反省会をしていた。
同じように教官に促され、反省会をする。
基本的に俺のことは動きは良いと褒められたが行いが良くないとキツメに叱られた。
もう少し真面目にやれと言われてしまった。
一生懸命真面目に生きている結果がコレなのだが、俺はこれ以上どうしたら良いのだろうか?
全班揃ったところで教官長に成果を褒められ、解散となる。
その後装備を返却し、男女別れてシャワーを浴びた。
シャワー後に部屋でくつろいでいると3師匠が呼びに来た。
道中女の胸に夢中だったことを怒られるのかと思ったら、今夜の訓練は中止だと言われた。
「訓練は中止ですか・・・・そうですか、残念です。適当にユリウスたちと練習してます。」
「うむ、これから儂ら教官は集まって昼間の話の情報共有をするからな、時間は取れない。
が、今日くらいは訓練に時間に割くのは止めておけ。」
昼間のことを怒られると危惧していたのだが、そうではなく安心した後に、ソノ話はこれから聞くんだよと来たもんだ。気分はうへぇという感じである。
顔に思いっきり出てしまった。
「お前が練習好きなのは知っているがそんな嫌な顔はするな。
今日はお前が音頭を取ってな、昼間の任務に参加した者もそうでない者にも声をかけて酒でも飲むがいい。費用のほうは心配するな、儂らが持ってやる。」
「ガハハハ、教官長が食堂と他の教官に話を通してくれているから店から樽で酒を買ってきて夕飯の流れで飲んでいい。どうせ今夜は教官が全員出払うからな、多少ハメをはずしても釜わんさ。」
困ったほうに勘違いされているが、要は教官たちはこれから会議だからお前らは打ち上げでもやっているということだ。最近派閥などで人の面倒をみているから機嫌が良く、さらに広く講習生の面倒をみさせるつもりなのだろう。面倒なことになった。
酒は好きだが、飲み会の主催なんて面倒だ。出来ればやりたくない。
そんな風に考えていたら教官長が肩に手を置いて耳に顔を寄せて囁いた。
「間違い無く数日のうちにオークの集団がこの街に来る。
今のうちに英気を養ってやれ。これは師としての命令だ。今の話は話すなよ。
講習生も全員参加の防衛任務になる。今日のように遊んでいることは許さぬぞ。
全員参加させろとは言わないから、飲みたい奴に飲ませてやれ。」
あ・・・遊んでた事は知ってるんですね。
その上でお咎めはなしだけど飲み会の主催者をやれ、と。
「了解です。今日の任務の打ち上げの名目で、自由参加ってことで良いですか?」
直立不動でハキハキと答える。
俺はメリハリの効くナイスガイだ。
「ああ、酒屋には儂らの名前でツケで注文しておけ。あとこれは他の教官たちからのカンパだ。
今まで飲んだ店なら宅配してくれるところもあるから、食べ物も頼んでやれ。食堂は終わったら片付けておけよ。」
傷顔の教官に袋に入ったそこそこの大金を渡されて、教官たちは建物を出て行った。
さて面倒なお仕事がまた始まる。
差しあたり俺は声を掛けられそうな所から声を掛けていこうと思案していたら、廊下の向こう、1つ向こうの部屋から俺の派閥の1人が出てきた。
彼の名前は〝ノッヒ〟。中堅雑魚狩りで殴った男の1人で2つ隣の部屋の住人だ。
教官と話しているのを見て気になったので様子を見に来たと言う。
ちょうどいいのでまず自分の派閥の面子を強制参加させた上で手伝わせることにした。
文句の言わない人手は多い方がいい。
概要を説明した上で派閥の面子を集めてもらい、ついでにユリウスたちにも協力を頼みたいので一度顔を出してもらうように伝えてくれと頼む。
彼を送り出し、俺も面倒なところを先につぶしに動く。
講習生内最大派閥の1つの所へと向かった。
「イゾウか、何しに来やがった!」
雑魚モブが何かのたまいやがった。たしかこの雑魚モブはもやし野郎にしてライアス派閥ナンバー2のなんとかだ、別に興味も無いので名前も知らん。
「誰に口聞いてるんだもやし。
さんをつけろよデコ助野郎 !!」
人生で一度言ってみたいセリフベスト10(俺ランキング)に入るセリフをここぞとばかりに言い放つ。
ライアスは部屋におらず、派閥の仲間で集まっていた。
そこに単身乗り込んでの台詞である。俺かっこいい!
「なんだと!」
もやし野郎がいきり立ち、その左右から体格の良い男が立ち上がる。
ライアスと同じ村出身の一軍メンバーだ。そのうち1人は195センチの体格を誇り、横のもやしよりも遥かに強く見える。
だが序列ではライアスを筆頭に、もやしが2番手、ライアスの彼女が3番手、その男が4番手である。
強さ以外の要素が重要視されているのがよくわかる序列だ。
「止めろ止めろ、俺の客だぞ。イゾウどうかしたか?」
殺気立つ派閥の面子を押しのけて奥からライアスが歩いてくる。
その傍らには大人っぽい美人の彼女がライアスを守るように寄り添う。
どうやら恋愛面では惨敗のようだ・・・・くそぅ
「ようライアス、今日はお疲れさん。」
「おお楽しかったな、また一緒に暴れようぜ!」
などと気安く話しているともやし野郎が「ライアスさんだろうが!」といきり立ったが「黙ってろ!」とライアスに黙らされた。
馬鹿め、さん付けするのはお前が俺にという話で他のやつには呼び捨てで構わないのだよ。間抜けが。
鼻で笑って放っておいた。
「っつーー訳でな、教官たちがカンパしてくれて、それで打ち上げをやりたいんだ。
お前とも飲みてーし、お前のとこにも参加しねーかなって話なんだが、出来たら準備にも人手が要る。そっちも手伝ってくれたらありがたい。何人参加するかわかんねーんだけどな。」
「おお、打ち上げか。そりゃーいいな。」
「ちょっとライアスくん、いくらなんでも」「そうだよ、頭下げて頼むんならともかく、何で俺たちが。」
周囲にいた間引き任務に参加していない二軍以下の者が口々に言う。
「うるせーな、俺とイゾウは一緒に班としてやってたんだ。打ち上げもやるなら一緒にやるに決まってんだろ。」
「そうそう、最悪ライアスだけ来てくれても俺は構わねぇよ。
あーあとそっちの彼女さんと、こっちの彼も参加してたよな?あれだったら班員に話を通して来てくれないか?他の奴らはどうでも良いから。」
ナンバー2のもやしも任務には参加していた。だがスルーして序列3位と4位に声を掛けた。
「きっっさまー僕も任務に参加してたんだぞ!」
などと喚いているが面倒な奴は放置だ。雑魚を纏めて他所で勝手に飲んでいればいい。
ビアンカも当然呼ぶつもりだから、お前は来なくて構わない。
「あら・・・楽しそうね、打ち上げをやるなら参加したいわね。」とか
「ふむ、打ち上げなら俺も参加したい。声を掛けておこう。」と返ってきた。
「お、いいねー。じゃーライアスと3人で来てくれよ。俺は酒とか調達に行くからまた後で。食堂に集合な!」
と言い捨てて返ろうとしたら、序列5位の男が声を掛けてきた。
「イゾウ・・・くん。待ってくれ、俺も参加したいのだがお願い出来ないだろうか?」
「お、来てくれるなら大歓迎ですよ。あとくんづけもいらない。基本自由参加でやりたいんで、気軽に参加してくれるとありがたい。」
「そうかありがとう。ライアス、俺たちも参加していいよな?」
「俺たち? ちっ・・・・いいけどイゾウに迷惑かけるなよな。」
どうも彼はお酒が好きらしく、酒などの調達はどうするのか聞かれたので、教官の顔が利く酒屋で樽ごと買うつもりだと答えると、手伝うから一樽選ばせてくれと言って来た。
彼を中心に何人かライアス派閥が(力ずくで)手伝ってくれることになったので、食堂の方で合流するここにしてその場は辞した。
自分の部屋に戻るとユリウスとシグベル、そしてノリックとドワーフの男が来ていた。
話を聞いてすぐ来てくれたらしい、良い奴らだ。
派閥の者も集まってきていたので食堂の確認とそちらの準備、全講習生への告知を頼む。
何の準備も出来ていないが先に話を通して置いた方がいいだろう。147名全員に伝えるのは時間がかかる。聞いた上で来ないのならそれで構わないが、聞いて無くてこれないのは少し寂しい。
俺だったら誘われもしなかったとしばらくふて腐れると思う。
ユリウスたちに協力を仰ぐと4人とも快諾してくれた。
四人目の男は〝ガレフ〟 講習生内でもトップと評判の元傭兵のドワーフである。
ノリックと同班だった彼は一緒にいたらしく、打ち上げの話を聞いて酒好きの血が騒ぎ、いても経ってもいられずこうして一緒にここまで来てくれたらしい。
「講習生内の飲兵衛を何人か知っとる。俺から声を掛けて手伝わせてもよいか?」
そう提案してくれたので、こちらからもお願いした。
飲兵衛ルートはルートでありだろう。
ユリウスのルートから〝元兵士組〟と〝ユリウスファンクラブ〟にも声をかけてもらい、そこからもまた周知をお願いした。
一度解散し班員と連絡を取り、また同室の者にも声をかけてもらい食堂で待ち合わせた。
俺も同室の者に声を掛け、外に出る。
勿論ビアンカやメアリー、セレナなどに声をかけるためだ。
女子の講習生の宿泊する建屋には入れないので周囲で探してたが残念ながら会えなかった。
同班だった女魔法使いともう1人には会ったので声を掛けて誘い、女子に周知をお願いした。
あまりうろうろも出来ないので食堂に向かい、食堂の責任者に自分からも頭を下げに行く。責任者ですので。
教官長から話が通っていたので、ここはすんなり承諾をもらい、いつもとは違う少し凝ったメニューを作ってくれると言ってくれた。
本当にありがたい。
普段の味よりも量というメニューに作る方も飽き飽きしていたらしい。
そして食堂には人が集まってくる。
ガレフが声を掛けた中にはなんと、憧れのビキニアーマー女子がいた。
しかも2人。




