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異世界(この世)は戦場、金と暴力が俺の実弾(武器)  作者: 木虎海人
2章  初心者講習 乱痴気騒ぎ

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初陣準備


朝、起きる。

嫌な事があったとしても人間それは変わらない。

イゾウは昨日自分は何を失敗したのかを考えていたら、いつもよりもスッキリしない目覚めとなった。

それでもここにきてから真面目に取り組んでいた習慣で、のろのろと動きだし朝の訓練所に向かった。

いつも通りユリウスたちと合流し、走る為の装備を着用する。

視線はビアンカを気づけば追いかけていた。

ビアンカが気づき目が合ったが、逸らされてしまう。

そして心が沈みこんだ。



「ユリウス、シグベル、イゾウ、ノリック。お前たちは今日は走らなくていい。緊急依頼だ、教官長のところへ集まれ。」


そんな時に若い教官が走りよって来てそう伝えられる。

緊急依頼なんて講習が始まって初めての事だ。

詳しく聞こうとしたイゾウだったが、若い教官はすぐに走り去り、別の講習生に声を掛けていた。

彼の手元には名前の書かれた羊皮紙がある。この後も何人かに声を掛けて廻るのだろう。


教官長の周りには既に講習生が数人集まっていた。

教官長の所に集められた講習生と、それとは別にいつも通り走り込みをする講習生。

二手に別れるようだ。

そうこうしていると教官に声を掛けられた講習生が集まってくる。


最終的に教官長の前に並んだ講習生は30名。

いつも通り走り込みをする講習生、それに声を上げて追い込む教官。その声を聞きながら教官長の話が始まった。


傷顔の教官が講習生の前で大きな声をあげて叫ぶ。


「静まれーーーーーー!これより教官長より任務の説明がある。参加者は貴様ら30名。

この講習を受けている者で()()()30名を選んだ。貴様らは講習生の代表とも言える。心して受けるが良い。」


その言葉に並んでいる者たちは少しどよめくが、周りに居並ぶ教官たちの眼光によりすぐに黙らされた。


上位30名。自分でもそのくらいには入っていると思っていたイゾウだが改めて選ばれると少し照れくさい。恥ずかしさを押し消して周りを見渡してみれば知った顔がいくつか並んでいる。


元兵士組は当然全員いた。ライアスとその派閥の者も数人、横にはユリウスたちいつもの面子。少し離れたところにビアンカもいた。珍しく1人だった。

いつも一緒にいる親友 兼 相棒のメアリーは今回選ばれていないようだ。

そしてセレナもマナもいない。代わりに女性講習生は何人か並んでいる。

イゾウは自分が思っているよりもセレナを贔屓目で見ていたかもしれないことに気づく。

そしてイゾウ派閥の者は1人も参加を許されていなかった。


教官たちから見た上位30名、それは講習生たちが自分たちで評価した講習生ランキングとは大きく違っていた。


教官長が前にでて声をあげる。

「南の砦で大規模な戦闘が始まった。このままいくとオークの集団が抜けてくる可能性が高い。

当然それは迎え撃つが、その前に周辺の魔物を間引いておく必要がある。合流されると面倒だ。

それを担当してもらう。参加者は5名ごとに別れてもらう。講習生5名1班に対し2名の教官がつく。

日頃の講習の成果を見せてもらいたい。

この結果での講習後の冒険者ランクへの加点と報酬を保証しよう。」


「「「「「おおおおおお」」」」」」

教官長の話を聞いて講習生内で声が上がった。

各々「俺と組もうぜ」だの、「一緒にやろうぜ」だのと声を掛けている。

イゾウもユリウスたちと話をしている、ここの4人は確定だ。あと1人どうするか、そんな話をしていた。


だがそんな自由は講習生には無い。


「静まれーーー!!!勝手に班分けを決めるな。

特定の人間とでしか戦えないような者は半人前だ、まさかそんな者はこの中にいるまいな!!

班はくじ引きで決める、今からひとりづつくじを引いていけ。

そこには教官の名前が書いてある。その教官が班長だ。以降はその教官の指示で動け。いいな!」


騒ぎ出した講習生対し傷顔の教官が再度大声を上げる。

再び周囲の教官の眼光が鋭くなり、講習生たちを睨み付ける。

講習生たちは静かになり、順番にくじを引いて別れて散っていくことになった。


イゾウはユリウスたちとは別の班になることになる。

これは戦力の偏りを無くすために教官たちが考えた措置である。

講習生内で教官たちが成績をつけ、上位30名を選んではいるが、上位10位内の者と20位以下の間には大きく差が出来ていた。

20位から50位程度の成績ならばほぼ差は無い。

今期の講習は一部が突出しているがために、偏りを避けるための措置である。

特にダントツで1位のユリウスと、魔法に特に長けているノリック、さらに戦闘力の高いシグベルに、魔法以外高評価で弓ではトップのイゾウが固まっていることを懸念して彼らをばらけさせる為だった。

それはイゾウたち4人が上位10名に位置することも指している。


「誰だった?」

イゾウが問う。

「サイモン教官だ。そっちは?」

ユリウスが答えた。

「師匠か、そっちも有りだったな。ばらけたか。」

イゾウは自分が引いたくじをユリウスに渡してみせた。

「みんなバラバラか。」

先に引いたシグベルともノリックとも別の班だった。

「ま、なるようにやるしかねぇな。」


「死ぬなよお前ら。」

シグベルが言う。

「止めろよ、フラグ立てるの、それお前が死ぬ奴だぞ。」

イゾウはつい反射的に言い返していた。


「またイゾウは訳のわからないことを・・・ま、帰って来たらまた。」

ユリウスに呆れられながら、それぞれの担当の教官の元に向かうのだった。





「おっ」

向かった先には2メーターを超える大男がいた。

シグベルではない。赤い髪をライオンのように逆立て荒いオールバックにしているライアスだ。


講習生内で、裏で悪さをする2人が同じ班になってしまった。

困るのは残る3人の班員であった。

内心焦りまくっていた。

1人は講習生内でも目立たないが地道に訓練を繰り返している男。不愉快そうな顔をしながらも視線は2人の方を見ない。

1人は女の講習生。家は地方の兵士の家系で、そこの末娘が故に冒険者になりに来た。困ったような顔で苦笑いをしている。

1人は魔法使い(自称)の女。地元で負け知らず(誰とも戦ったことが無い)の腕前を持つ、魔力の高い女講習生だ。代わりに武術はさっぱりで、しかしそれを補って上位に入れるほど魔法には長けている(ノリックよりは劣る) プライドの高い彼女は、イゾウの方を憎々しげに見ていた。


一瞬即発になる

そう周囲が危険物を見るような目で見ていた、だが


「よぅ、ライアスだよな。イゾウだ、短い付き合いだろうが宜しく頼むわ。」

「おぉイゾウな、ライアスだ。 よええ奴と組みたくなかったからよ、まぁお前なら文句ねぇよ。宜しくな。」

当人たちは特に意に介せず普通に接し始めた。

イゾウにとってライアス派閥は敵になるが、ライアス個人とは敵対して(揉めて)いない。

ライアスにとってはイゾウよりもシグベルが嫌いだった。特にイゾウとは因縁も遺恨もない。

何よりも2人の間にはこれまで接点が無かった。


そのまま「おまえメイン武器何使うの?」「マジかよ、何だよその弓超いいじゃん。」なんて感じで隣り合って座り、普通に話し始めたのだから周りで心配してた者はかなり困惑していた。


そして教官が2名到着し、自己紹介を始める。

「この班を担当する教官のブロルだ。諸君らには私の指示の元、周辺の魔物の討伐に当たってもらう。

装備に関しては有る者は自分の者を使え。無い者、そして希望者にはギルドから貸しだそう。」

この発言にイゾウは内心ほっとする。イゾウ以外もどこか安堵した表情になる。

基本的に講習生は貧乏な家の出が多い。自前の装備を持っている者は全体的にも余り多くは無い。


「サブ担当の教官のエクルンドだ。あー喧嘩しないようにな。」

ライアスとイゾウを見ながら若い教官が言う。そういやそんな名前だったなとイゾウが思う。

言われた2人は自分の事だとは全く自覚していない。

そもそもライアスは実は余り派閥に興味が無い。揉めているのは下の人間で、派閥もライアスが作った訳では無い。

そしてイゾウは興味が無い他人に全く興味が無い。揉めたら揉めたで誰であろうと殴るだけだ。それはライアスであろうと他の誰かであろうと変わらない。

ただ教官のそのちくりと刺した発言に他の3人は少しだけ内心でニヤリとするのだった。





講習生5人と教官エクルンドこと教官エクルと装備を選びに来た。

班長のブロル教官は班長間で打ち合わせだと移動して行った。これからどの班がどこを廻るかの振り分けをするのだろう。

各々講習生はばらけて自分に合うサイズの装備を探す。


意外にも気さくに話せたのでライアスとここまで来たのだが、2人はサイズが違いすぎるために離れて自分の装備を吟味している。

イゾウには教官エクルがついてきた。

ほぼ毎日、彼には毎夜訓練をつけられて、そして酒を飲む仲だ。

教官と講習生でありながら、ある程度の軽口をたたける関係だ。


「イゾウ装備はどうする?」


「んー機動力落としたくないんですよ。皮の鎧かな・・・・」


「毎朝鉄の鎧着て走ってるし、アレでいいんじゃないか?」


「ああ鉄の鎧は着て走ってるとはいえ、アレで戦ったことないですからね。

正直いきなりアレで動けるのかっていうと不安なんですよ。」


毎日訓練として教官とも、最近は講習生とも組手をしている。

その組手は皮鎧までしか許されていない。


「あんまり攻撃食らうのビビってガチガチに固めるのもなぁ。何の為に練習してきたんだって話ですし。

盾で捌いて身体には当てさせないつもりで行こうかと。」


「うん、いいと思うよ。盾をしっかり使えればこの辺りの魔物なら問題ないだろう。

防衛を意識したら鉄鎧にも慣れておいたほうがいいだろうけど、今日はどれだけ動けるかが重要でもある。なるべく多く間引いておきたいからね。そこを解ってて軽装備なら文句ないさ。だけど皮装備の下には軽目の鉄の装備も着込んでおいた方がいい、鎖帷子とか鉄の胸当てでもいい。 武器はどうする?」


「なるほど、下に着れそうなのも探してみます。

武器は今日が初陣(初めて)なんで基本装備で行こうかと。盾は決まりで、片手剣と・・・少し投擲用のナイフも借りようかな。弓も借りてるの使いたいですし、そのくらいかな。」


「槍はどうする?」


「馬車で移動するんですよね? そうすると場所を取るので今回はやめとこうかと。」


事前の説明では、ギルド所有の馬車に乗って周辺に散って魔物を狩ると聞いている。

ギルド所有の馬車の手入れを講習内で行っているイゾウは、余り広く無いことを理解して長物の持ち込みを避けようと考えていた。

特に班員にライアスがおり、彼が大剣を選ぶのは先に聞いている。長物と長物を馬車内でぶつけるのをイゾウは嫌がった。


傷顔の(ガーファ)教官がふて腐れるぞ-、アハハ」


「・・・・次回は槍にしますよ。ちゃんとそう伝えて下さいよ。」


「聞かれたら言っておくよ。それより投擲のナイフはいいけど片手剣だけじゃなくて予備の武器も必要だよ。腰につけれるタイプの短剣があるからそれくらいは持って行ったほうがいい。

いつも武器傍らにあるとは限らない。何かしら必ず身に付けておくんだ。」


「なるほど・・・防具決めたら見てみます、ありがとうございます。」


「うん、じゃー他の子にも声を掛けてくるから喧嘩しないで選ぶんだぞ?」


「いやいやそんな子供じゃないんですから・・・」


イゾウの言葉を聞かずエクル教官はその場を離れていった。

イゾウは1人、うんうん唸りながら貸し出し用の装備を巡っていった。




イゾウが装備を決めて戻るとそこにはもうイゾウ以外が揃っていた。

1人はいかにもな魔法使い用のローブを纏い、杖を持ち、大きなつば付きの帽子を被っている。

魔女ッ子好きなイゾウはその姿に「安いコスプレ」みたいだな、と内心思う。

イゾウにとってその魔法使いの格好は圧倒的に露出が足りなかった。

イゾウが好きなのは、胸出し足出し露出たっぷりのエロい魔女コスだ。彼女に余り興味を持たなかった。


残る3人は全員鉄の鎧をつけ、大剣 (ライアス)、槍(男)、片手剣(女)といった装いだ。

最初からガチガチ装備でビビりすぎ、おかげで馬車が狭くなるなぁ、などとイゾウは考えていた、


「随分軽装だな。」

ライアスが言う。


「攻撃を食らう前にさっくり殺すつもりだしな。当たらなきゃ防具はいらねーだろ。」

そう返したイゾウに「なるほど、俺もバッサリ真っ二つにしてやるつもりだから、装備変えてくるか。」と言いだし、エクル教官に「もう時間だから駄目だよ。」と引き留められる1幕があった。


それを横で聞いていた3人は馬鹿を見るような目だった。

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