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異世界(この世)は戦場、金と暴力が俺の実弾(武器)  作者: 木虎海人
 1章  初心者講習

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三週間


早いもので講習が始まって三週間が経つ。

色々あった。


まず講習だが武術では相変わらず組手をしつつ、まだ〝認可〟を取れていない講習生に声をかけている。


組手の人数が増えている。シグベルや元兵士組を筆頭に早い者がどんどん〝認可〟を取り終わって合流してきている。

既に主武器を定めている者もいるので相手が多様化してきて良い刺激になっている。


〝認可〟を得ていない講習生だが少し面倒を見る相手が増えてしまい、時間を取られている。

簡単に言うならば派閥が出来てしまった。

これは元兵士組が約束を守らなかったせいだ。おかげで彼らとは結構な溝が出来た。

今では組手すら絶対にしないくらい距離を置いている。

向こうにしてみれば上手くやってやったと思っているのだろう。

俺からすると余計なお世話だ。 後述する。


武術の講習の中で習いたい技術はあるかと教官長に問われたので

「鎖を使った戦闘術を学びたい」と答えたところ、第二地区にある支部本店からわざわざ鎖鎌を使う元冒険者を呼んでくれた。

鎖であって鎖鎌では無かったのだが、共通点もあるし良い経験になった。

俺以外にも何人かが一緒に習い、そちらでも〝認可〟を得ている。取り終えたはずの〝認可〟が増えてしまった。

俺の右目に見えるステータス欄には残念ながら鎖鎌というスキルは表示されなかったから〝技術〟であって〝スキル〟では無いのだろう。

元冒険者も鎖鎌を教えられて喜んでいたらしい。もしかしたら今後一科目増えるかもね。




解体の講習は2週間で〝認可〟を得て終えている。

それ以降は野営の練習や、馬車の操馬、馬ないし、4足歩行の生物への騎乗の訓練などを受けている。

訓練と言えば聞こえはいいが、馬やギルド所有の騎乗用の魔物の面倒を押しつけられているようなものだ。

特に馬は俺たち身体のデカい奴らにはあまり乗せてもらえない。

乗りつぶされそうだという理由でやんわり拒否されている。

なのに平等に面倒をみなければならないこの理不尽さ。


馬車の方の操作は問題無く覚えられた。馬の手入れは勿論、馬車のメンテナンスもバッチリだ。


車やバイクの存在しない世界だ。今後その辺の事も考えねばならないだろう。

今後最低でも荷物を運ぶ手段派必要だ。

自分用の馬なり、馬車なりを手に入れて魔改造してやる。楽しみだ。

木製の馬車なら多少はいじくれるだろう。ただし電動工具が無いので色々面倒ではある。

釘なんて使ったのは小学校の図工の時間以来だった。大人になってからは釘は使わず全部ねじ込み型のビスだ。その辺もうまくなんとかならない物か。

ビスも欲しいけど、それ以前に釘は勿論、色々な材料道具全般で規格が統一されていないので何かをするのに苦労する。同じ物を買い揃えるのも一苦労だ。

職人のこだわりの逸品と言えば聞こえはいいけどね、DIYには向いていない。



苦労は勿論多いが、異世界ならではの期待できる部分もある。一般的には圧倒的に馬の方が多いのだが、魔物に馬車を引かせることも出来るのだ。当然、乗ることも出来るらしい。

調教士(テイマー)〟のスキルと、ギルドの〝認可〟を取れれば、だが。

中級の講習で教われるようだ。

講習が終わって余裕が出来たら受けてみようと考えている。

強い魔物に馬車を引かせる事は一種のステータスらしく、調教された魔物も売買取引されているらしい。

賛否は別れるところだが、金策としては有りだと思う。


問題なのは中級以上の講習は〝スキル〟を得るための講習のために、受けたからといって必ず出来るようになるわけではない事だろう。

もし覚えられなければ無駄金となる。よく考えて適正な時期に受けたいと思う。


この辺りの講習には〝認可〟が存在しないのだが、合格だと言われているので最低限の事は出来るようになったと思う。

だが、馬の世話からは解放されなかった。

ただ覚えさえすれば、いくらでも要領よくは出来るので、さっさとやることをやって、余った時間を自由に使っている。

一部講習生内にはギルド所有の馬に入れ込んで可愛がる奴がでてきた。

俺は別にギルドの所有の馬に思い入れはない。最低限の事しかしない。自分の物になるわけでもなし。



弓の講習は相変わらずだ。

美人ハーフエルフの講師に睨まれている。

なんで睨まれているのかは心当たり無かったのだが、ビアンカとメアリーに睨まれていることに気づいてしまい、こっそり探ってきてくれた。

男嫌いな美人講師にとって、俺は気に入らないレベルで腕が立っているらしい。

自分が気に掛けて指導した講習生を、俺があっさり超えていった事で腹がたつらしい。

どうも存在するだけでムカつくレベルで嫌われているようだ。

エルフの血が流れていてもそんなとこで苛つくんだな、と感心したわ。


「フフン、腕が立つのはイゾウだからよ、当然よね。」


ビアンカが胸を張って美人講師にそう発言し怒らせたらしい。何故かビアンカも怒って帰って来た。


弓の講習に関しては正直この【氷の眼(劣化)】の恩恵で好成績を稼いでいるようなもの。

神に感謝だ。

この〝氷の眼〟は〝狙い〟をつけることに関してとんでもない能力を持っているようだ。

〝右目〟で狙った場所に、身体が自然に最適な動作を取って導くのだ。

そこに距離も相手も関係ない。

何の表記も見え無いが、俺はそうだと確信している。

〝左目〟で同じことが出来ないのでこれは解りやすかった。


弓においてのみ俺はユリウスよりも上かもしれない。



話に出てきたビアンカとメアリーからはまだ色よい返事はもらえていない。

まだ考えているのだろう。

このままずっと考え続けられたらどうしようかと。

話の持って行き方を間違えたかもしれない。


仲良くはしている。

ビアンカは俺を相手取って、約束組手を毎日するようになった。

真面目で真剣に打ち込んでいるので実力もどんどん伸びている。

女子では不動のワントップだ。

あんまり真面目なのでお触りすら遠慮してしまった。


それもあってか特に用が無くても積極的に話しかけてくるようになった。

約束組手をするような仲なので気安くボディタッチが多い。


おかげでムラムラします。


ボディタッチと言っても、手で触ってくるくらいだけどね。

有ると無しじゃ大違いだ。



おかげでセレナには少し距離を置かれてしまった。

変わらず話はするし、助言も出来るだけしている。

ただしこちらから話しかけない限り話しかけて来なくなった。

マナとも相変わらずだ。

こっちは派閥が出来たので少し動いてもらっている。派閥は結構便利だ。


セレナは俺がビアンカと一緒に練習を始めた頃から女子でも3番手以下に落ちた。

ビアンカが伸びたことと、ライアスという講習生(おとこ)の彼女がここに来て一気に伸びてきたために目に見えて差が付いている。

3番手から落ちるのも時間の問題だろう。

本人は自分のことより親友の世話に追われているのだから、伸びるわけが無いのだ。

停滞している。

マナのことは俺が見るから自分の事をした方がいいと双方に話したのだが、セレナとマナ両方に拒否されてしまった。お手上げである。


最近は夜道で待っててくれることもすっかり無くなった。

代わりにビアンカと、時々一緒にメアリーが時々待っていてくれて、消灯までたわいも無い話をしたりはしている。

それはそれで楽しいし、嬉しいのだが、少し寂しくもある。

二兎を追うのは難しい。二兎どころか四兎だしな。もう少し考えて動かないといけないか。


メアリーに対しては1つ動いている。

〝魔力感知〟の訓練だ。


俺の魔力を感じ()()()()魔力が増えるかもしれないという疑問を検証するために彼女に話を持って行った。


ビアンカは〝火魔法〟が使える。 魔力は () だ。

セレナは、まだ魔法は使えていない。だが彼女もまた〝魔力 () 〟を持っている。

マナも魔法は使えない。 魔力は () 。

メアリーもまた魔法が使えない。そして魔力は () 。


ビアンカとセレナは前衛系として芽が出始めているのに対し、マナとメアリーは正直パッとしない。

今後の事を考えたら何かしらの特技が欲しいはず。

本当はマナとメアリー同時進行で試したかったのだがマナの方は話も聞いてもらえなかった。


詳しい事は教えていないが、魔力が増え始めていることは講習生内でも噂になっていたので、メアリーも興味を示した。

口外厳禁を条件に毎日1回、人目を盗んでこっそり互いの魔力を探り合っている。


メアリーは、ユリウスやシグベルたちほど才能が無かったようで教えるのには少し苦労した。

魔力がまったく探れなかった。

魔力を探るのは才能だ。出来ない奴にはかなり難易度が高い。

おそらく魔力が多い者ほど有利なのだろう。

その魔力が高いユリウスたちですら、最初は触れるか触れないかの距離で試して、そこから徐々に距離を伸ばしていった。


裸で抱き合って、触れた状態で俺の魔力を直接感じてもらい、そこから感じられるようになってもらえれば1番早いと思っている。

何度もそれを提案しようかと喉元まで出かかった。

だが俺としては最初にそれを持ってきたくない。


データが欲しいのだよ、データが。ただのエロ男とは違うのだよ。

女が相手ならばスケベ心を出しても問題無い。

だがな、いつか男相手に魔力を増やしてやりたくなることがあるかもしれないだろう?

その時に抱き合って実行する手段しかなかったら、困るのは俺だ! 絶対に嫌だ!

奴隷という絶対逆らえない制度が有るんだ、戦力を増加する手段は多い方がいい。

試せるときに試しておきたい。


俺は涙を飲んで、向かいあい左右の手のひらを合わせて握り、どちらの手に魔力を集めたかを当てるゲームから始めた。

時間はユリウスたちに比べれば掛かったが、メアリーもちゃんと魔力を探知出来るようになった。

現在メアリーの魔力は少しずつ増えてきている。手を触れなくても魔力を感じられるくらいに〝魔力感知〟も成長しているほどだ。残念。

俺と違い真面目な優等生なので、魔法講習も普通に受けれている。

火と光の魔法には苦戦しているが風魔法がもうすぐ発動しそうだと聞いている。

役割が増えてとても嬉しそうだ。是非、例の件も前向きに考えて欲しい。

こんな特典がついてきますよー。


メアリーは成功と言っても良いだろう。

そろそろ他にも試す相手が欲しいとは考えている。

裸で触れあえる方と、手のひらを我慢してやるほうね。

女と男でサンプルが欲しい。

派閥内に男女、どちらもいるけどその(あたり)には手の内を見せたくないので次の候補は見つかっていない。

セレナと上手く行ってれば彼女が候補だったのに。



そのセレナだが最近はユリウスとよく話している。

仲が良いと風には見えない。ユリウスはファンが多いために女の人が2人で長く話すのは難しい。

すぐに邪魔が入るのだ。

だが最近はユリウスもよくセレナに話しかけるようになった。

気づくと2人で二言三言(ふたことみこと)言葉を交わしているのが眼に入るようになった。

ユリウス推定185センチ、セレナ推定180センチ。

大型カップルだね。


ふーっ。おじさん嫉妬しちゃうなぁ。

俺が狙ってたのに・・・・・友情はこうやって壊れていくのかもしれない。

ま、四兎も狙ってた身だ、そこが付き合ったならば素直に身は引いて祝福するけどね。

俺もまたユリウスの事を好きな女をチャンスがあればとか思ってたし、自業自得かもしれない。

友達の為に身を引いた俺。悲劇のヒーローさ、中身は単なるくずだけどな。


とりあえず様子見だ。カップル成立したわけではない・・・・・・

どちらからもその報告は受けていない。

多分セレナからは報告されないと思うけど。



派閥について。

これはちょっと困った。


当初の予定では〝中級カースト雑魚狩り〟を行い、最後に裏カーストトップだと言われているライアスという男と衆目の前で派手にやり合うつもりでいた。

それでくだらない〝落ちこぼれ〟扱いは払拭出来ると思っていた。


が、ここで大きく予定が狂う。


〝中級カースト雑魚狩り〟は最初の一組で頓挫した。

最初に因縁をつけた5人組のうち、殴った男3人が夕食時に頭を下げに来たのだ。

元兵士組の指導員だったという男に伴われて。


これによって大きく〝株〟が上がる。


元兵士組の指導員だったという男の。

俺は間に入るなと、言っておいたにも関わらずだ。

おかげでその場は、裏で〝落ちこぼれ〟と罵ってた癖に、暴れ出したらビビっていた奴らの集団謝罪場と化した。

キチンと頭を下げた謝罪は最初の3人だけだったが、多数の教官の前での一応の謝罪である。


これ以上暴れ回れば、教官の目にも〝謝っている者にも因縁をつけて絡むイゾウ〟と写る。

仁義とか目に見えないそんな物を大事にする教官の手前、俺は矛を収める選択肢しか無くなった。


これによって

〝悪口を言われただけでぶち切れて暴れまくってた頭のおかしいイゾウ〟  と

〝そのイゾウに頭を下げる機会を作り、問題を綺麗に収めた男〟 という評価がつく。


不愉快極まりない収まり方だった。が、ここまでなら我慢出来た。


その後改めて、頭を下げた3人が俺の下につきたいと、ヤクザや不良の世界のようなことを言ってきた。

俺はそれを拒否したが、3人は諦めず何度も頼みに現れた。

武術の講習中に再度現れたために、またも近くにいた元兵士組が間に入ることになる。


そして俺がぶち切れた。


「あんた、いい加減にしろよ、俺の話に首を突っ込んでくるんじゃねーよ。」


元指導員の男を睨みつける。


「おいおい、イゾウ私は君の為を思って・・・」


男は矛先が自分に向かい戸惑う。

当人に悪い事をした自覚は無い。善意での行動だ。

ただしその善意は、イゾウ()には向いていない。

イゾウに悪意を向けられている者に対する善意である。

場を納めることが解決だと信じる男はこれに気づかない。


「それが大きなお世話なんだよ!間に入るなと言ったはずだ。」


「だが頭を下げさせればとも言ってたじゃ無いか!」


「お前が間に入って、頭を下げさせても意味がねーんだよ、そんなこともわかんねーのか!」


「じゃーどうしたら良かったんだ!おまえは延々と馬鹿にした者を殴って廻るのか!」


「当たり前だ、中途半端な謝罪なんて腹が立つ以外のなんでもねーんだよ。余計なことしなきゃ残りも今頃ぶちのめして廻ってた。」


「なっ・・・お、おまえはそんなことを本気で言ってい」


「いい加減にせんか!講習中だ、やる気がないなら2人とも出て行け!」

組手が行われている真横で言い争いを始めたために見かねた教官に怒鳴りつけられてしまった。


それ以来、会話も無い。口論になることも無いが雰囲気は最悪だ。

お互い避けて過ごしている。

大半は向こうの味方だ。それはそうだろう、悪い事をした男が、話を収められて逆ギレした図でしかない。

暴れる俺を止めさせたんだ、ありがたいとすら思っているだろう、そこは俺も理解はしている。

だからといって他人に着地点を勝手に決められて、そいつの株だけが上がって納めろとか、面白い訳が無い。

俺の言った 〝間に入るな〟、という話はどこに行ったんだって話だ。

口約束でも約束は約束だろう。あの男は一度了解したはずだ。

収めるなら双方の納得のいくところに収めるべきだ。

こちらとの約束を無視してもう話は収めたから納得しろと言われても不快感しか残らない。


彼らとはこれで決別となる。

おかげで彼らが望む、ユリウスパーティの話も聞かなくて良くなった。

そっちは勝手にやってくれ。

元兵士の女が何度か話をしたいと言ってきたが、こっちには無いと言って追い返した。

彼らの望みや任務に手を貸す筋合いは俺には無い。



夜、教官たちに個別に(しご)かれているところをまたも3人が訪ねて来る。


「同期だろ、別に下とか上とかそうゆう話には興味が無いんだよ。下扱いはムカつけどさ、上に俺を置けって話じゃない。」


勿論嘘だ。

誰の下にもつきたくないし、都合の良い部下なら欲しい。

でも講習生じゃなくていいんだよ。正直信用出来ないから(そば)に置きたくない。

奴隷を金で買える世界だ。呪い紋の効果とやらで主人には絶対服従らしい。

人に言えないことの多い俺にはそっちのほうが絶対効率的だと思う。

金で買えるこんな世の中じゃ・・・。


今必要なのは仲間じゃ無くて、俺の訓練時間だ。

わざわざそこそこの奴を集めて派閥なんて作る必要がない。

友達も100人とか必要無い。

同じレベルで訓練を受けられるユリウス、シグベル、ノリックくらいで充分だ。

来た彼らに同じ訓練をしろとは言いたくし、させたくもない。


「イゾウよ、せっかくこうして頭を下げておまえの下にと言ってきてるのだ、そこまで無碍にすることもあるまい。」


「えぇ~~」


今度間に入ったのは傷顔の教官だ。

そうそう、間に入るには立場が要るんだよ。

こちらが引いても面子が潰れない程度のな。

師匠ならば申し分が無い。


元兵士の男も、例え彼が先輩だったなら1回くらいこちらが引いても問題無い。

だが、彼は立場的に同期だ。上ではなく横だ。

そして彼の下と認めたら、彼経由でユリウス絡みの面倒ごとを持ってくる可能性が高い。

そんな人間を上に立てるのは悪手だ。

だから俺は彼に対し絶対に折れるわけにはいかない。


「自分としては、群れるより自分の訓練に集中したいんです。」


師匠に言われたらイエスだ。それ以外の返事は無い。

最終的にはだけどね。

とりあえず軽くごねる。えーんやだやだ。


「ガハハハ、流石イゾウだな、その意気はいい。だが師匠としては自分を頼ってきた者を簡単に見捨てるような男になってほしくねーところだ。」


お、おう。なんか久しぶりにヤクザ理論を聞いた。最近忘れがちだけどこの人たちヤクザなんだよな。

俺の前世ではだけど。

正直他人に何かで頼られるたびに師匠がでてくるのも面倒くさい。

弟子入りしない方が良かったかもしれない。後の祭りだけど。


「儂もだな、別に部下とか配下にしろとは言わんし、派閥を作れとも言わんよ。

でもまぁ多少気に掛けてやったらどうだ?」


傷顔の教官が言う。

気にかける・・・か。


「んー・・・なんかから守って欲しいって話だっけ?」


「いや・・・そうゆうんじゃなくて、なんて言えばいいか・・・手伝えることがあれば手伝うし・・・悪いところは言ってくれたら直すし・・・」


3人のうちの1人が答える。

本人たちもよくわかっていないようだ。

悪いところ直すしって恋人同士が別れるときのセリフだと思うぞ。


「あー、じゃとりあえずあれだな、講習で見てて気になるところがあったら声掛けるよ。

悪いところとか、こうしたほうが良いとか、俺視点での話になるけど、それでいいか?」


俺もよくわからないからそんなところで手を打った。

翌日から武術講習の中で助言を送るようになる。


素直に聞き入れた彼らもまた伸びるようになる。停滞期だったようで眼に見えて改善された。


彼らは師匠の極道コンビにも顔を覚えられたようで、弟子の子分なら儂の子分でもあるという謎理屈で時に扱かれ、時に雑用を言いつけられたりしていた。

子分にしたわけでは無いのだが、師匠にその理屈(言葉)は通じない。

師匠によるイゾウの子分扱いを見た武術課の教官にもまた、構われるようになる。

時に厳しく鍛えられ、彼らもそれを超えて成長する事になる。


彼らに助言を送るようになると、それを見た、過去に殴って廻った者が数人自分にも教えて欲しいと頭を下げてくるようになった。

メアリーの前で殴った4人組、3人と仲の良かった女の講習生2人、初期の雑魚狩りでまた別に殴った4人。

流れで13人ほど面倒をみることになる。

師匠のいるときに頭を下げに来られると断れなかったのだ。


彼ら彼女らが思ったよりも懐いてしまい、なんだかんだと近くにいるようになったために派閥の形を成した。

俺をいれて14人のイゾウ派閥の結成である。

講習生内でもっとも勢いのあるライアス派閥が20人弱。

それに継ぐ勢いのある派閥になった。


ちなみに講習生内で最大派閥は〝ユリウスファンクラブ〟である。

熱心なのや頭のおかしいのを筆頭に、こっそりワンチャンス(機会を)狙っている隠れファンまでいれれば30人を超えている。

ただし派閥としての纏まりは無い。

その上、当のユリウスがそちらと一切関わらず、ほとんどイゾウ派閥の幹部みたいな扱いなために、よくわからない人間関係になってしまった。

〝ユリウスファンクラブ〟のメンバーの大半はいつもユリウスと一緒にいる俺やシグベルを嫌悪している。

ユリウスやシグベル、ノリックは俺が話すようになった派閥の人間とも自然と話す機会が増える。

ユリウスが話すようになるとイゾウ派閥(こっち)に寄ろうとする女がちらほら現れる。

時に入り乱れてぐちゃぐちゃな関係になった。



そしてそのイゾウ派閥の結成は元兵士組の男のおかげと講習生内では囁かれるようになる。

特に否定はしなかったが、それもまた面白く無い話だ。

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