尻フェチは病気ではなく、ただの性癖です
メアリーに金策を依頼して数日、メアリーからいくつか案を思いついたので時間を取って欲しいと言われた。
あれ以来表だっては関わらないようにはしている。
だが視線が合うことが増えた。
確実に前進していると思う。
教官から管理を任されている仮眠用の建物で話す約束を取り付けた。
一度来てるので特に問題無く話は進み訪ねてくるのを待った。
「お邪魔するわ!」
「ちょっと、ビアンカ、ごめんなさいイゾウさん。その・・・・なんか後をつけてたみたいで、止められなくて、もう違うって言ってるのに!」
そこには赤と青の髪の美少女が並んでいた。
訪ねて来たのは約束の1人では無く2人だった。
赤の正統派、青の知性派
怒り顔 と 困り顔
揉め事の匂いがプンプンする。
そのうえメス臭い。
なんで同じような生活してるはずなのに女の子は良い匂いがするのだろうか。
メアリーを見ると目で謝ってきた。
焦り具合からして勝手について来たんだろう。
内緒話に乱入者が混じれば、話が進まなくて困る。
出来れば用事はさくっと終わらせて雑談に勤しみたかったという俺の目論見が崩れてしまった。
「約束はメアリーだけなはずだけどあんたは何しに?」
「はぁ!?すっとぼけるんじゃ無いわよ、メアリーをあんたが呼び出したんでしょう。セレナがいながら他の女を呼び出すなんて節操が無い男ね、メアリーには手出しさせないんだから!」
腰に手を当てて少し前屈みになって憤る、優等生系怒りのポーズを取って言った。なんかかわいい。
セレナがいながらってここにいないんですけど?
勿論そうゆう意味じゃ無いのはわかってる。でも別に何もないしなー。
何もない以上話をするくらいはいいじゃないかと思う、それをいうとさらに面倒になりそうだから言わないが。俺が説明したところで聞く耳があるとは思えないので黙って様子をみることにする。
黙っていれば見た目だけは文句なく麗しい子なので目の保養にはなるだろう。
メアリーが困り顔のまま頑張って宥めているのでお任せることにする。
思ってたよりも熱血漢で単細胞なおつむの持ち主なのかもしれん。
すぐ怒る女の相手は大変だからな、お任せしよう。
その間にお茶とお菓子を3人分用意してソファにつく。お茶を飲みながらいきり立つビアンカとそれを宥めるメアリーの図、を座った姿勢で眺めていた。
座った位置からだと視線にまっすぐ臀部が収まって素晴らしい眺めだ。
美少女が2人が俺の前で無防備に尻を揺らして言い争いをしている図。
何か幸せな気分でお茶が美味い。
ビアンカは長い赤い髪をした、人目を引く系の美少女だ。
すれた様子のない活発な学級委員長とでもいえばいいか。
性格はおそらく生意気系。勝ち気な美少女だ。まーとにかく遠慮が無い女だ、禄に話したことも無い俺がそう思うくらいだからな。
特筆すべきはその運動神経で女子の中では講習生の中でもトップクラスだという。
俺が注目しているのは170センチくらいの身長に搭載された鍛え上げられたそのスタイルだ。
出るとこは出て、締まるとこは締まったステキボティをしてる。今も目の前で言い争いをしていると、どうしても肉付きのいいビアンカ(の尻)に目が奪われてしまう。これは男が抗えない性だろう。
メアリーは青い髪を肩口で揃え、この世界ではお高いらしい眼鏡をかけている。
それが似合う図書委員とでもいった感じだ。
別にスタイルが悪いわけでは無いのだがビアンカに比べると起伏が薄い。彼女の自己評価が低いのは目の前に比較対象がいつもいることにあるだろう。
そんなところもまた萌えるシチュエーションだ。「そんなこと無いよ、俺はお前のスタイル好きだよ」とか言いながら色々触って育ててあげたい。
ビアンカより少し背が低く、運動系というより頭脳労働系。静と動で役割分担の出来たいいコンビに見える。活動しているところは見てないから予想だけどな。
そんな2人がわざわざ俺の前に来てお尻をぷりぷりさせているのだ。追い出す必要性を全く感じなくなった。しばらく何も考えないようにしながら目で(尻を)追いかけていた。
「ねぇ、あんた何で余裕な感じでお茶飲んでるの?何か言うことは無いわけ?」
メアリーとの終わらない話に苛立ちを感じたビアンカがこちらに矛先を向けた。
「俺はメアリーの話を聞くために場を設けたんだよ。でも別にあんたを邪魔扱いする気はない。あんたの分もお茶をいれてある、カッカしてないで座って話したら?」
けんか腰で絡んできたが、俺がお茶を勧めると目でお茶を追いかけて黙ってしまった。
この沈黙はアレだよね。俺が冷静に返すと相手はなんでこいつ普通に会話してるんだよ的なアレ。
こいつも俺を脳筋単細胞扱いしてたのか。お茶くらい入れられる進化した猿だぞ、ウッキーーー!!
「・・・・・」
「ごめんなさい、お茶ありがとうございます。もう!せっかくいれてくれたんだしいただきましょうよ。」
そうビアンカに話しかけながら俺の対面にメアリーが座り、その横に置かれたお茶の前にビアンカが座る。
そして不機嫌そうにお茶を見る。
「別に変な物は入れてないよ。同じポットから入れてるし、疑うなら自分で入れ直しても構わんよ。」
「べ、別にそこまで疑ってないわよ。」
その顔は真っ赤である。メアリーが普通に飲みのを見て慌てて追従していた。時間置いて無かったら熱くてむせていただろう。
静かに3人でお茶を啜る。静寂が場を支配して空気が重い。
仕方ないので俺が口を開き妥協しよう。
「誤解があるみたいだけど話をするだけだよ。疑うなら聞いていても構わない。でも他言は無用で頼む。
あと前も言ったけどセレナとは別に付き合ってないよ。仲の良い知り合いなだけだ。」
これに驚いたのはメアリーだった。
一応秘密前提で動いていた話だもんね。ビアンカには相談して無かったのは解る。
でも多分2人で話すから出てけって言ったら切れて騒ぐと思うんだよ。
だったら口止めして一緒に聞いてもらったほうがいい。
互いに講習生、時間が無限にあるわけでも無い。
あんまり話すタイミングも取れないし。
「別にやましいことを話し合うわけでもないし。納得してもらうの無理そうだしさ・・・・」
「うう・・・・ほんとごめんなさい。ビアンカのばか・・・」
メアリーが納得してくれたので、話を進める。
バカと言われてビアンカは苦虫を噛み潰したような顔をしていたが構わず話を進める。
彼女の挙げた案は大きく3つ。大儲け出来るとは思えないが堅実に儲けられるアイデアを考えてきたようだ。
元は2人とも普通の町民だと聞いている。
ただの町民で普通に暮らしていたなら賢い女だと思う。見た目通り頭の回転が早いのだろう。
ただ基本的に経済系の教育を受けていないために甘い部分がある。
細かい所まで数字を出せとは思わないが準備に多少の費用が掛かることと、繰り返し儲けられる案では無いことが考えから抜けている。
初期費用が掛かる案の場合、何度か同じ手が使えないと元が取れないので俺は好まない。
ビアンカはメアリーの話を聞いて眼を輝かせていた。多分「メアリーは凄いのよ。」とか「流石メアリー」とか思ってるんだろう。
チラチラこちらを見てるのは俺に惚れてる訳では無くて、メアリー自慢がしたいのだろう。
聞いて機嫌を取っても良いのだが、こっちの話が進まなくなるので却下だ。
ビアンカは視界にいれずメアリーを見て話を進める。
繰り返せないのは、この案を実行した場合に既存の組織の利益を奪う形で自分たちに利益を出す話であるために、二回目以降には妨害が入る事が予想される。
下手しなくても圧力とかコネで相手にされない可能性のある案だ。若いときは美味い話を持って行けば相手が喜んで聞いてもらえると思いがちだが、意外と人間関係の方が利益よりも重視される。最悪、裏組織にでも依頼されたらかなり面倒な事になるだろう。
現代日本と違い昭和のヤクザ並に悪い事をされてしまう可能性は高い。トラックで家に突っ込まれて火でもつけられたらどうするんだっての。
最もそこは俺がやるならば多分何も問題無い話だ。家なき子の根無し草だし。
前世では出来なかった事も今世なら出来るだろう。
前世なら裏組織なんざ関わりたくも無かったがな、今世ならなんとでもなると思えるから不思議だ。
何より大きいのは俺の師匠は裏組織より怖いということだ。
傷顔の教官の『血まみれ黒槍牙』という通り名を聞いたときも飲んでいた酒を吹き出したが、ガハハ髭教官の『狂乱血桜』という通り名を聞いたときは結構長いこと思考停止した。
一体何をやらかしたらそんな通り名になるのだろう。
禿げのお髭が、血桜だぞ?
想像するのも怖いわ・・・・
あとはこのままじゃそこまで利益が出ない事だろう。
それは端的にいえば彼女が人を使うことを想定しないが故、でもある。
彼女立案の作戦は少人数で出来る金稼ぎに限定されている。
初期の話であれば有効であるが、後々に応用が効かないアイデアである事が残念だ。
個人で出来ることにはどうしても限度が有る。
これは俺が将来的に奴隷を購入してなにかしらするという前提を話しておかなかったミスでもある。
物事は中途半端が1番良くない。
半端な話になってしまった。
それでも多分やれば小銭稼ぎにはなるだろう。情報としては悪くない。
彼女がしっかり立案してくれた事に代わらない。これで貸し借り無しで良いと思う。
後はプライドを損なわない程度にこちらの悪巧みに巻き込んで意見を聞けばいい。相手の機嫌を取ってうまく付き合うのは人付き合いの基本だ。女相手なら心どころか股まで開いてくれる可能性がある。
「なるほど・・・ありがとう参考になったよ。俺の視点には無い意見だと思う。ゆっくり考えさせて貰うよ。」
気分はイケメンである。ちょっと好かした感じでメアリーに答える。
だがそれに噛みついてくる者がいた。
「ちょっとメアリーの意見に文句あるわけ?何様のつもりなのよ。黙ってやりなさいよ!」
ビアンカだ、彼女は親友の意見を全肯定なのだろう、俺の返事に納得がいかないようだ。
「ちょっと、やめてよビアンカ!ゴメンナサイ素人考えで恥ずかしいんですけど・・・
参考になったなら良かったんだから、もう。」
「うん、参考になったよ、だからこれで貸し借りは終わりにしよう。
で、ビアンカさん例えばだけど、これはメアリーと君がやるなら別に良いと思うんだけど、俺がやるためのアイデアを出して貰ったんだ、そこはわかる?」
「え!?・・・・ああ、わかるわよ。」
「あんたらがやる分には問題無いんだろうけど、俺がこれをやるのは難しいんだよ。メアリーには出来るけど俺には難しいの、おわかり?」
「ああ、そういうことね、そうね、メアリーなら出来るけどアンタには無理かもね。アンタ馬鹿そうだもんね、わかってるならいいわ!」
全くチョロイんさんだ。相方が好きすぎるだろ。ビアンだからビアンカなのか?
人を馬鹿にするにも程があるが、相手が美少女だとこのくらい可愛いモンに感じるから不思議だ。
どっちが馬鹿なのかってお話ですよ。
触れると脱線する女は置いておいて、その後はメアリーに気になることをいくつか質問した。
細々とした食品の入手法とか、どこで何の野菜が名産とかだ。野菜の名前はよくわからなかったが多分前世と似たような物が有ると思う。こっそり紛れて聞いた胸のサイズとかは教えて貰えなかった。
多少違っても似てる野菜ならば俺が知ってる調理法でも大丈夫だろう。葉野菜あたりなら食べ方は限られるしな、大きくずれないと思う。
駄目だったら料理の出来る奴隷を買って丸投げするしか無い。
あと彼氏がいないことも普通に答えてくれた。そういやメアリーは処女だって自分で前に言ってたな。まさかこの短期間で大人になってはいないだろう。
ないよね?
特に大きかったのは岩塩の話だろう。
「岩塩?アンタ死にたいわけ?」
ビアンカが冷たく言う。いやアンタに聞いたわけじゃ無いんだけどな。
「いや死にたくは無いけど?死ぬなら嫁の腹の上だと決めている。」
「ばっかじゃないの、勝手に死になさい。岩塩は西の山脈地帯に一杯有るって話よ。でも知ってるでしょ、西の山脈は危険区域よ。あんたなんか瞬殺されちゃうクラスの魔物が出るんだから。」
お前の腹の上でなら死んでもいいんだけどな、までが俺の想定した流れだったのだがとても言えるような雰囲気ではなかった。
その話は聞いている。西の山脈は高レベルモンスターが出ると。
なのでかその辺の話は師匠たちを含む教官たちは詳しくはしてくれない。話を誤魔化されるのだ。
なるほど、つまりはそうゆうことだったのだ。真実は常に1つ、岩塩の出所は隠されていたのだ。
俺は知っている・・・・師匠を含む教官たちが岩塩をこっそり使っていることを・・・・
とはいえ師匠が話を濁すような場所だ、多分現状の俺では通用しないのだろう。
当面はなしの方向で。貴重なんだろうな、岩塩。俺も使いたい、塩分が恋しい。
だから情報収集はしておいたほうがいい。
「どんな魔物が出るのか知ってる?」
「フフン、アンタなんにも知らないのね。いーい?西の山脈は天狗、オーガ、殺戮鎧、とかの縄張りなのよ。冒険者ギルドの許可を得ないと近づけない危険地帯なんだから!」
「ふーん・・・3種類しかいないの?」
だとしたら随分偏った場所なのかもしれない。
「知らないわよ!」
「ごめんなさいイゾウさん、西の山脈で判明してるのはその3種類なの。後はなにかいるって噂だけで・・・私達も詳しくは知らなくて・・・」
ビアンカの中途半端な説明をメアリーが捕捉してくれた。
一般レベルではこの程度の話しか出回っていないのだろう。それでも充分驚異である。
それはともかく殺戮鎧って心が躍らないか?厨二心を擽るというか。
行ってみたい・・・・
多分師匠に聞けばもっと詳しいことを知っているのだろうが、教えてはくれないだろう。
聞いたら俺が面白がって突っ込むと思われているのか、言えないほど危険な場所だからなのか、その2つしか思いつかない。
どちらにしろ危険な場所なのだろう。
塩分に切羽詰まるまでは保留で情報収集がいいと思う。
そんな話を含めてしばらくメアリーから色々話を聞いていた。
お茶を三杯、お茶菓子を俺の分も含めて10個近く食べた後ビアンカが言った。
「アンタ意外と話せるのね、もっと頭の悪い馬鹿かと思ってたわ・・・」
歯に衣を着せぬ物言いである。ドブスだったら殴ってると思う。
だがおそらく、ちょっと前までメアリーも同じような見解だったんだろう、彼女のほうを見たら目をスッと逸らされた。
俺はどれだけ話の通じない男扱いなのだろうか・・・
日頃の行いと言われたらそれまでだが、それでも俺は悪くないと思っている。
「ちょっと、失礼よ。イゾウさんはちょっと・・・怖いけど・・・話せばそんなじゃ無いんだから・・・」
いやそんなに伏し目がちで言われてもな。怖がっていたのかよ・・・
「そうそう、別に怖くは無いとおもうんだけど・・・・・」
「アンタ最近何してるかわかって怖くないって言ってる?」
「え!?俺何か悪い事した?」
「ねぇ本気で言ってるの?」
「はは・・・多分イゾウさんは本気で・・・悪いと思って無いからね・・・」
「売られた喧嘩を買ってるだけなんだけど?正当防衛だよ?」
ちょっと捏造したり、誇張したりしているだけだ。
政治家だってやってるようなことだぞ、別に問題無い。
「うわぁ・・・どうしてこんなのが勇者候補なのかしら、理解に苦しむわ・・・」
「勇者候補って?」
「それも知らないわけ?アンタとユリウスと、あとおっきいの、えーと2人と・・・あと何人かが候補らしいわよ。」
「そうなの?」
「知らないわよ!私だって聞いただけなんだから。」
「多分ですけど講習生内で、誰が勇者になれそうかって話をしててそれが候補になったんじゃないかと推測しています。イゾウさんは最近急にそこに名前が出てきたので・・・そのイゾウさんに負けた人たちが・・・言ってるのかな、と。」
なるほど、うわさ話が広がって候補にって話に変わっちゃったのか・・・
となると俺が殴ったせいで株が急降下した連中が自分の株を下げないために俺を持ち上げだしたって流れか。やることセコいな・・・
「それよりメアリー、俺は呼び捨てで呼ぶから君にも呼び捨てで呼んでくれって言ったじゃんか、なんでいまだにさん付けなんだ?」
「そんなこと言われても・・・」
「何それ!?メアリーのこと呼び捨てなんて私は許さないわ。」
「何でだよ面倒くさいだろ。あんたもイゾウって呼び捨てでいいよ。俺もビアンカって呼び捨てで呼ぶ。
例えばビアンカの後ろから悪い奴が迫ってたとするだろ?そんときに
『危ない、ビアンカ!』と『危ない、ビアンカさん』だったら呼び捨てのほうが楽じゃねーか。普段から慣れといた方がいいだろ?」
「ふーん・・・アンタ何・・・? 私が後ろから襲われるとき助けてくれるつもりなわけ?」
「迷惑か? 俺が後ろから襲う役でも良いけど、あんまり無理矢理って好きじゃないんだよな。」
「知らないわよ、アンタの趣味なんて! やったら返り討ちにするから覚悟しておきなさい。」
「襲うくらいなら、先にお願いしに行くから大丈夫だよ。一回やらせてって頼むから。」
「本当最低・・・やらせないから!」
「はぁ・・・話すとイメージ違うんだよねこの人・・・」
脱線したが、俺の謎理屈にビアンカが賛成したためにメアリーが泣き顔で俺を呼び捨てで呼ぶ練習になった。何故か物凄く俺を呼び捨てに呼ぶことに抵抗感があった。ビアンカなんか最初から呼び捨てなのにな。
ビアンカ、メアリー、共に親しみを込めて堂々と呼び捨てで呼べるようになった。
一歩前進だ。
「で・・・・セレナのことなんだけど、あんたたち本当に付き合って無いわけ?」
「おおう・・・ドストレートだな・・・付き合ってはいないなぁ・・・俺は好きだけどな。」
「アンタもストレートじゃない・・・何で、その・・・告白とかしないの?私から見たら別に悪くない雰囲気に見えるけど?」
メアリーもまた頷いている。
そうなのか悪くないのか。なんだかんだちょこちょこ話はしている。
ただし、基本的に細切れ時間で会話するだけな上に、最近は武術の話題が多い。
あんまり艶っぽい話題にもならないし、甘い雰囲気には全然なっていない。
何よりも目の前に別の獲物がいるのに、じゃーそっち頑張るからアドバイスくれとか言いたくない。
狙ってる女に別の女を薦められるのも少し切ない。
「うーん。俺の好きは抱きたいの好きとイコールだから・・・
そうゆう意味じゃセレナも好きだけど、メアリーもビアンカも大好きだぞ?」
「うわぁ最低・・・・」
「最低・・・・ですよ・・・」
ダブルで最低頂きました。そんなこと言われてもね・・・本心ですから。
「ま、それはいいわ。で、アンタは勇者を目指してるの?」
流すなよ、軽口だけど本人を前に好きって言ったのに・・・仕方無い。それよりも
「最近多いんだけどさ、その質問。
なに?冒険者って勇者を目指すモノなの?」
それが普通なんだろうか。
ここ数日何度も聞いたぞ。答え飽きてきた。
「悪い?」
「あー、あの別に目指すのが普通なんじゃなくて、やっぱり強い人はみんなそうなっていくし、イゾウさ・・イゾウは教官長のお弟子さんだからやっぱりそうなのかなって。」
俺の返事に途端にビアンカが不機嫌になる、それを庇うように喋るメアリー。
勇者関連は難しい話題なのかもしれない。ならそんなの俺に振らなければいいのに・・・
「これ言うと怒るかもしれないけど、俺は勇者を目指してないよ。勇者になるために弟子入りしたわけじゃ無くて強くなりたくて弟子入りしただけだし。
別に師匠が元勇者じゃ無くても弟子になってたと思うよ。」
「別に怒らないわよ。そう・・・目指してないのね・・・そう・・・そう・・・」
怒るかもの所でビアンカを見た為に彼女が反応した。
ただ困ったことに勇者に成る為の条件の1つに〝聖剣に認められる〟必要があるらしい。
ビアンカの不機嫌具合からいって彼女は勇者を目指しているのだろう。
そんな彼女に〝聖剣に認められる〟という条件を既に半分クリアーしているような状態だということは絶対に言えない。元勇者の弟子でもなければ〝聖剣〟使って魔力を篭める練習なんて出来ないだろうし。
そう考えると俺の状況はかなり狡い。
「じゃーアンタは何がしたいの! 元勇者の弟子になって厳しい訓練をしていて、なのに勇者には成らないなんて、おかしいじゃない・・・」
ビアンカが急に声を張り上げて顔を近づけてきた。




