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異世界(この世)は戦場、金と暴力が俺の実弾(武器)  作者: 木虎海人
 1章  初心者講習

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イゾウ裏手帳 ① 講習進捗状況と殺すリスト


講習11日目を終える。

ここまで色々あった。

覚えている限りを残しておきたいと思う。


まず3日目の夜だ。

ユリウスに傷顔の教官に繋いで欲しいと頼まれた。

人のいないところに呼ばれ、頭を下げた礼を尽くした態度だった。



ユリウスという男はイケメンだ。

控えめにいってかなりのイケメンで、俺の気持ちはイケメンクソヤロウになる。

別にユリウスがクソヤロウな訳ではない。

むしろ気性は穏やかで話しやすく、性格もよいと思う。

モテモテなクソヤロウなだけだ。勝手に蜂がぶんぶん群がる花なだけだ。

悪いのは花ではない。刺す可能性のある蜂なのだ。

なのにそこにその花が咲いているせいで蜂が飛んで来るから悪いという話にすり替わる。


当初ユリウスとつるむようになって、俺の頭に浮かんだのはイケメンの隣にいる奴はイケメンに見える法則だ。俺も美味しい思い出来るんじゃ無いかとゲスな事を考えていた。

これが全く的外れだった。

ユリウスとつるむようになって女の視線が厳しくなった。

俺はユリウスと接したい女にとってそれを邪魔するクソ野郎だったわけだ。


心情に色々あったがほとんど俺の逆恨みなのでユリウスの頼みは快諾した。

ユリウスと傷顔の教官の話には絡んでいない。

どちらからも 飲みながら聞いてはいる。が、あえて深く関わらなかった。


結果ユリウスが夜に教官から俺と同じく扱かれるようになったくらいか。

その翌日にシグベルが増える。



講習3日目くらいから〝落ちこぼれ〟扱いがひどくなった。

流石にうざかった。


イラッと来てぶん殴ろうと思ったが少し我慢することにした。

ここ数日の講習を受けている感じだと、講習に手応えは感じている。

多分〝認可〟はそれなりに受けれるのだ。

怒りに任せて問題を起こすよりも、〝落ちこぼれ〟扱いを払拭した方が格好いい。

ある意味サクセスストーリーだ、見る目が変わって股を開く女が現れるかも知れない。


正直自分より遙かに劣る奴らに〝落ちこぼれ〟扱いされるのは辛い。

自分が転生チートという負い目が多少あるからなおさらだ。

話の出所は『魔法課の老教官』な事は確かなのでそのへんから少し人間関係の下調べをしてから怒りを爆発させようと思う。


その後、我慢する俺に対してさらに調子に乗って馬鹿にするお馬鹿が増えた。

人間関係を調べた上で殴っても問題無い奴から後日、殴って廻ることにする。

弱い奴を狙って攻めるようで心が痛むが、簡単に攻められる弱い奴の癖に調子に乗っていたのだから仕方が無い。

殴ると問題のある多少強い奴は、手駒の弱い奴から始末してゆっくり弱体化させた上でいたぶっていく方針を決めた。

 

〝落ちこぼれ〟扱いされてもユリウスやシグベルは変わらず仲良く接してくれていた。むしろ憤慨していた。良い奴らだ。

武術課の教官たちもかなり怒っていた。教官によっては「どっちが上か痛い目みせても構わんぞ。舐めらられないように行動する事も〝冒険者〟として大事な行動だ。」とまで言って煽ってきた。

俺はそれに感謝を述べ、「ゴミは後日纏めて処分します。」と返しておいた。


セレナも変わらず話してくれる。もっともその親友のマナには相変わらず嫌われているし、セレナと一緒にいたキツい系の女講習生には完全に距離を置かれた。

まぁ完全に距離おいてくれた女2人よりは悪態つくが接点の残るマナのほうが遙かにマシだ。

美少女がちょっとなんか言ってくるくらいなら可愛いもんだ。

マナ自体は講習で遅れ気味らしく、セレナがフォローしてなんとか頑張っている状態。

本人も自覚はあるらしく、セレナと話していると焼き餅をやいて文句をいうくらいで〝落ちこぼれ〟扱いを彼女はしてこない。

なので彼女は特に俺と敵対してはいない。むしろ俺がロリ美少女もいいなとか思って見ているくらいだ。




講習はだいたい順調だ。


武術はどれも〝初級〟なので難しくはない。

要は固定観念を捨てて、新たに受け入れられるか、だと思う。

剣も槍も斧も短剣も杖も棒術も、新鮮で目新しいのでとても楽しい経験だった。

トンファーとかヌンチャクが無いのが残念だ。空手時代に多少囓ったのに。


それ以上に成果が出ているのは弓術だ。

弓術の教官、〝サムソン教官〟に弓術を専門にやることを考えないか?といわれるくらい上達している。

有り難い話だったがそれは断った。


弓術が上達したのは理由がある。先日痛めた右目だ。

この右目に宿る〝氷の眼 (劣化)〟の隠れ技能なのか、オートなスキルなのかさっぱりわからないがこっちの目で見る限り狙いがつけやすくなった。

左右の目で確かめてみたので間違いは無い。

健康な左目で狙うと上手く的を絞れないのに対し、痛めた右目ではかなり細かく調整が利いた。

それは的が大きく見えるともいえるし、見えた的に対して当てる感覚が自然と出来るのだ。出来てしまう。俺超すげえ。ちなみに右目でみると右利きの俺は右手で狙うからなのかもしれないんだけどね。

神様にもらった能力だと思った方が有り難いのでこれもきっとチートの1つだ。

弓は一朝一夕には行かない、時間が掛かるだろうと踏んでいたので有り難い誤算だった。


上手く行かないのは魔法の講習。

おかげで〝落ちこぼれ〟扱いは加速している。

全員顔は覚えたし、殺すリストに載っている。俺、一通り学び終えてこいつらの邪魔するんだ。

俺が()()()()()()()()、終わって無いやつになにしようと問題ないから。


問題なのは魔法の講習が全く駄目な事か。

練習用の初心者用の魔法の杖を四本壊したことで、魔法の発動の練習は完全に追い出されてしまった。

今はシグベルと2人、基礎の魔力を巡らせたり、探ったりする鍛錬をしている。

「魔力が高いのにとんだポンコツじゃな。」と杖を壊した後に老教官にため息をつかれながら言われた。

杖が壊れるまで魔力を注げるのは凄いことだと武術課の教官たちは褒めてくれるんだけどね。

魔法課にとっては、発動しない以上駄目らしい。

まぁ別に魔法の講習以外で妨害すればいいんだから問題無いけど。

自分は人を攻撃しておいて、まさかやり返されないとは思ってないだろう。

殴っていいのは殴られる覚悟がある奴だけだとはよく言った者だと思うよ。

俺はやり返すときに、さらにやり返されない程度に徹底的にやろうと思う。


解体も問題無い。

この世界の飯はあまり美味くない。おかげで俺は目が覚めた。

ギルドの中もそうだが、外でもそこまで料理という概念が進んでいないのだ。

特に大きいのが調味料だ、種類が少ない。

海の無いこの国では塩は輸入に頼っている部分が大きいらしい。、

それが内乱や、魔境での戦争の激化で滞っているという。


本音をいえばあちこち食べ歩いて美味しい物を出す店をみつけたい。自分で作るのは面倒だ。

が、恐らくそれは難しい。なにしろ栄えているところとそうで無いところ差が激しいうえに、栄えているのは恐らくごく一部だ。



結論としては食べたいものがあるのならば自分で作るしか無いということになる。

材料から揃えた上で。


塩、胡椒、植物油、牛乳、鶏卵、あとは砂糖か。まずはこの辺りを探る必要がある。

問題なのは1カ所に集中して存在する品物では無いということだ。

塩は海か、岩塩かで変わってくるが、量を求めるなら海になる。

胡椒も気候とか産地が問題になるはず。栽培するのならそれなりの技術がいるはずだ、出なければ古代とはいえ金と同等の価値なんて表現がされないだろう。

植物油なんてまずその原料から選別する必要がある。絞り方なんてやったこともない。

牛乳と鶏卵は日本人ならば簡単に手に入る物だった。

なのにこの世界に来てから口にしてないし、見てもいない。

場所と餌と、面倒見る奴を捕まえれば1番可能性があるはずだ。大量に作る必要はない。自分の分だけ確保できればいいし。

砂糖はサトウキビとかだ。これに関してはわからない。手当たり次第植物を煮詰めて、乾燥させて試してみるのがいいかもしれない。

やるとしたらそんな面倒な作業を1人で黙々とやるのは嫌だ。

せっかくの異世界だ、お約束の奴隷でも買ったらやらせよう。成功したらボーナスでも弾んでやる。


そんな訳で、食欲が勝った。勝ったために俺は必死で〝認可〟を取った。

最初は鳥の魔物を見て焼き鳥が思い浮かんだんだ。

そこから思考が発展していって、鳥を焼いても塩が無いという結論に至る。

有っても高いのだと。


世の中は結局金である。




座学の時間ももう問題無い。

紙が無いので書き取りをして覚えることが出来なくて手間取った。

なんだかんだ数をこなさないとしっかり身につかないことを実感している。

諦めて師匠ズに泣きついた。

「皿と棒、あとはそこに入れる砂が欲しいんだよ、エーン。」

実際に泣いたわけでは無いし、ちゃんと理由を説明して頭を下げたんだけどね。

あまり特別扱いされるのも、他の講習生からの視線を意識して遠慮していたのだがこのタイミングから気にするのはやめた。

使えるものは師匠でも使ってさっさと講習を進めるのだ。


砂の書き取りは異世界あるあるで俺の思いついた知識じゃ無いが、だいぶ感心された。

何人か、〝認可〟を得たらそれを貸してくれと言ってきたので、全部無視して、手伝いで最後に入ってきた〝呪い娘・チカチーノ〟にあげた。

彼女もまたその呪いの紋様の入った見た目から講習生内の人間関係で苦労している。

毎日一回、廻りの視線も、本人の気持ちも無視してひと言だけだが必ず話しかけるようにしている。

恋愛の努力は惜しまない。継続はセックスなり、だ。

最近少しだけ反応が返ってくるようになってきた。

呪いの紋様の入った顔はいつも暗く元気が無いが、笑うと可愛いと思う。

それがとても俺好みでソソるのだ。




そして3師匠にそれぞれ1つづつ〝技能〟を教わっている。

これを使いこなすことで〝スキル〟に至るらしい。



まずは教官長から〝聖剣〟に魔力を注ぐ訓練を課された。

〝聖剣〟である。

師匠の現役時代からの愛用の剣だ。


「〝聖剣〟・・・ですか?_」


「ああ、剣に〝名前〟があるが、それは問うな。お前が〝名〟を呼んで発動した場合、この剣の所有者になってしまう。

それはまだ早い。」

いやそんな面倒そうな剣要りませんけどね。

俺は鉄の塊でいいんですよ、当たったら痛ければそれでいい。特別な能力はいらんのだ。


「了解しました。それではこれで何をすれば?」


「焦るな、〝聖剣〟についてはどの程度覚えている?」


「いえ・・・全くですね。聖なる剣の知識はないですね、記憶のどこかに女が握ると淫乱になる〝性剣〟と、剣に意志があって女好きな〝魔剣〟の知識ならありますが・・・」


「おまえは一体何を言っている・・・? 〝魔剣〟は勿論、剣に意志などない。」


はいすいません、エロ本エロゲの知識だしね。

〝聖剣〟がある以上、あるとは思ったが〝魔剣〟もやっぱりあるのか。

お約束だのう。どちらかというと、〝魔剣〟のほうが俺好みだ。厨二の心が刺激される。


「これは剣に魔力を注ぐと聖なる刃が発生するという〝聖剣〟だ。

お前はこれから毎日これに魔力を注ぐ練習をしろ。」


「えーっと。それって弟子とはいえ駆け出しの俺がやってはまずいのでは?」


「気にするな。試すだけなら今まで何人もがやっている。儂の所持品ではなく預かり物だ。

試したいという者が推薦状でも持ってくれば断ることが出来ない厄介な品だ。

魔法の使えないお前には向いているからやってみろという程度の話だ。魔力を注ぐという動作は魔法を使う動作と通じる物がある。」


「なるほど。」

よくわからん。推薦状ですか、また謎ワードだ。

問題はそれを誰が推薦するのか、だよな。

だが師匠である教官長が俺のために考えてくれた訓練であることは確かだ。

俺はそれに答える言葉は「やります、頑張ります」としか言えないよ。

だから頑張る。


でも俺その〝聖剣〟の名前多分知ってるーーーーー!!!

絶対口に出さないけどな。


そんなことを思いながら〝聖剣〟を握る。

〝魔力〟を注ぐのだ。まぁ魔法の講習で引っかかるような奴が何をするんだって話だが、廻ってきた機会を逃す手は無い。

魔法の講習で散々繰り返した魔力を操る動きをイメージする。

俺の魔力は多いらしい、1人で散々自分の中から探ってきた。講習中練習する機会は散々あった。

見つかったのは小さな塊、これが魔力だろう。それは全身にあった。目に見えるわけでは無い。

魔力という存在が身体の中に確かに在るのは確認している。

全身にあった小さな塊は時々勝手に動いてくっついては大きな塊になる。これが表に出る俺の魔力だ。

時に集まり、時に散る。集まっては離れてを俺の中で静かに繰り返しているのだ。

俺の魔力を多いという人は、こうやってたまに寄り集まった魔力を感じて言っているのだと思う。


では魔力をどうするか、だ。

散らばっているなら集めてくればいい。集荷だ。

効率良く集めるにはどうすれば良い?物流の基本は道線(どうせん)を確保することにある。

人間には有るじゃ無いか、道線が、全身を巡るルートが。

心臓から出た血液は全身を巡り、細部に届いた上で心臓に戻る。

魔力をそのついでに集めてもらえばいい。いまなら電話一本で、ネットのサイトからも申し込める。

俺の身体だ、そんな手順を踏まなくてもやってくれるだろう。

じゃーそんなわけでお願いします。


目を閉じて魔力を全身から一度心臓に集める。

魔力が集まっただろう心臓が少し熱くなったような感じがした。

その魔力を腕に流す。

腕から柄へ。

柄から刀身へ。




俺の魔力を受けてた〝聖剣〟が光り輝く・・・そして砕け散った。

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