表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界(この世)は戦場、金と暴力が俺の実弾(武器)  作者: 木虎海人
 1章  初心者講習

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

25/196


 結論から言えば逃げられなかった。


俺は弟子になった。

3人の・・・・・・



「ガハハハ、いいなぁ弟子か。儂は賛成だ。

イゾウ(こいつ)ならば文句はないなぁ」


ガハハ髭が笑いながら最初に口を開く。


「儂も賛成だ。イゾウの面倒は今後もみたいと思っていた。

教官として以外でも個人的にと、な。


だが問題があるぞ兄弟。

儂らは3人での義兄弟だ。 儂らだけが弟子取る訳にもいくまい。


兄者は元勇者。

下手に儂らが弟子を取る。それは兄者の廻り弟子とも言えるのだ」


次いで傷顔の教官が困ったような顔で答えた。

よく分からんが、問題あるなら止めた方がいいですね、はい。


「いや、おぬしらが弟子にしたいと思う者、ならば儂も同じく思うだろう。

儂も面倒をみよう。

問題は・・・・・・自分で何とかしてもらおうか。それもまた試練」


 最後に答えたのは教官長だった。

それもまた、じゃねーよ。

いらねーよ試練。

さすがに元勇者の弟子になるつもりは無い。

だったらこの話はお断りし・・・・・・


「おお、流石兄者だ、懐が深い。

ならばイゾウとも盃をかわしてしまいましょう。

儂らが師匠、イゾウが弟子の親子盃を。

余計な者に口を挟まれる前に済ましてしまいましょう!」



 傷顔の教官の目がマジだった。

とてもそんなことを言える雰囲気では無い。超怖い・・・・・・

なんだよサカズキって、赤犬?

まんまヤクザの思考じゃねーか。

つーか余計な口を挟む奴いるの?

それは堪忍して欲しい。

そんなヤクザみたいな関係は望んでいないのだ。俺は普通の師匠が欲しかっただけで。


 普通、師弟関係ってーのはな・・・・・




 弟子になったこと無いからよくわからなかった。

何が普通なんだろう?

だとするとこれも有りなのか・・・・・?

こっちの世界の常識もないから、これが普通だと言われたならば、反論出来そうにない。


「ガハハハそれがいい。

イゾウよ、言っておらんかったが儂らは義兄弟の盃をかわしておる。

もう分かっていると思うが、ここにいる3人のことだ。

兄者が6:4で上で兄貴分だ。

儂ら2人は2分下がる、つまり弟分となる。


共に弟分、儂ら2人は五分の関係だ、飲み分けの兄弟となる。意味はわかるか?」


 ・・・・・・頭ではわかりますけどね。

心が解りたくないって感じ。凄く拒否してる。

そっちこそわかりますか?この感じ?

俺の心が面倒くさいって叫んでるよ。


 それまんまヤクザの盃の話じゃねーか。

どっかで聞いたことあるー。 多分漫画で読んだことある。

関わっちゃいけない奴な気がする。


 上が白って言ったら黒になる奴だ。

完全な縦社会の封建制度だぞ。

口答えするとガラスの灰皿で殴って教育されるやつじゃねーか。


「えーっと・・・・・・」


「では早速」

「そうだな、それがいい」

「うむ、そうするか」


「・・・・・・」



 『元勇者の弟子になるのは嫌なのでやっぱりやめときますね』などと言い出せるわけがなく、その後は特に問題無く、教官たちが()()()話を進めていった。


 ヤクザは普通親が1人だ。

子が沢山いる。


 なのに俺は親が3人もいる。

たった1人の子分になったのだ。

解せぬ。





 その後は場所を変えて親子固めの儀式である。

飲み屋に行って個室に入った。

 一つの盃(という名目のお椀)に酒を注ぎ、4人で順番に飲んでいく。

それを消灯近くまで繰り返し、延々飲まされた。


 あれ?一回じゃねーの?

そう思ったが言わない。俺は流れに乗れる子。


 俺の記憶だと、親側が気持ち分残して、子がそれを全部飲み干す、で懐にしまうのだ。

確かそんな感じだった筈なんだけどな。

こちらでは違うみたいで、結構飲まされた。講習中なのに。


 飲んだ盃も別に懐に入れて持って帰って大事にするとかではなく、店に普通に返却していた。


だがこれにて俺は、3人の義兄弟の子供(弟子)となった。













 初日の夜はそうやって深けていった。

3人と話しながら酒を飲んで終わる。

おかしいな、俺はただ身体を動かしたいとか思ってただけだったはずが・・・・・


 3人とも正式な弟子を取るのは初めてらしく、嬉しそうだったのが少し怖い。

張り切っているのが伝わってきた。本当、頼むよ?


 色々擦り合わせながら約束事(細かい事)を相談していた。

勿論俺に意見など聞くはずもなく、勝手にだ。


 助かったのは、俺は3人を兄貴とか親父とか呼ばなくていい事か。

講習中は普通に教官と、教官長と呼べと言われた。

流石に俺だけ教官を、「親父!」とか呼びたくない。

拘らない人たちで良かった。

そこは教官としてはプロなのだろう。

大事、それ凄く大事。


 講習が終わったらまた話し合うと言っていたので、また飲まされるのだろう。

何が楽しいのか、俺が飲みほすと喜んでいた。

タダ酒は大歓迎だが。

当然今夜も払ってないし。

そして今後も多分払わないだろう。

親と子だから仕方無いのだよ、親の面子を子が潰すわけにはいかないしな。

極道は面子が命だ。


 そして当面は講習に集中するように強く言われた。

他の教官たちには弟子になったことを報告するらしいが、お前の方は言いたければ言え、くらいの話で終わった。

別に口外しても良いらしい。隠すことの事でもないのだとか。

秘密で良かったのに。


 あとは空いた時間に面倒をみてくれるらしい。

つまりそこに訓練が入るわけだ。

個人的に訓練をしてもらうだけで面倒な事になったもんだ。

 極道コンビに頼んでちょっと厳しくしごいてもらうつもりが、勇者の指導が受けられることになった。

いやー嬉しいな。

嬉しすぎて泣けてくる。

今後の人生に〝元勇者の弟子〟という荷物を背負うことになるのだ・・・・・・堪忍してくれ。


 お断りする方法を考えておこう。

勿論、穏便に。顔を潰さない方向で。

俺の顔が潰れるのは仕方が無いだろう。

俺は強くなるために弟子入りしたのであって、勇者になるためではないのだから。


勇者なんて呼ばれても、俺は恥ずかしいだけだ。

そんな呼び名1つで知らない誰かに良いように使われたくない。


弱ければ奪われて、強ければ利用されるだろう。


ならば俺は、奪われず、利用されない、そんな人生を求めたい。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ