怪銀夢狼奇
炎に包まれた通路を男が1人歩く。
何処かの大きな建物の中のようで、その建物が煙を上げて燃えている。
男は気にする事無く燃える廊下を歩く。
男が歩を進めるとその周囲では炎が凍りついていく。
燃え盛るハズの炎が燃え移る事無く氷のレリーフと変わった。
男は黒のフード付きのコートをすっぽりと、頭から被るように着用していた。
閉じられた真っ黒なコートの上に剣を3本と槍1本を持つ薄い青で描かれた骸骨の姿が現れる。
その姿はまるで死神のようだ。
背中側には同じく青で大きな目の絵が描かれている。
フードの中に見える顔には額宛、その中央にも瞳の形をした宝石のような装飾が施され、その目を生かし強調するように額宛には禍々しい装飾がされている。
額宛をつける男には3つの目があるようにも見える。
それはそう見えるように意識して作られたモノだろう。
男は進み何処かの汚れた部屋に入った。
そこには奴隷が檻に収監されていた。
男は檻を凍りつかせて破壊し、中の奴隷たちを解放していった。
奴隷紋と呼ばれる呪い紋がある。
読んで字の如し呪いの紋様だ。
この世界の奴隷階級にのみ刻まれる事を許されている、呪いの魔法、その術式を写した紋様だ。
男がその奴隷紋に手を当てると、奴隷紋が凍りついて剥がれ落ちる。
男はただ淡々と繰り返し、次々に奴隷を解放していく。
解放された奴隷たちは声を上げて次々に表へ飛び出していく。
向かう先では剣戟の音が鳴り響く。逃がさないための勢力と戦っているのだろう。
解放された彼らは自分の人生と今後戦うことになる。
それを見送って男はまた別の部屋に向かう。
偵察に出た者がいたようで男の元に報告に来た者がいた。
他にも数人、男には付き従う者がいるようだ。
目の書かれた装備を着用している。
報告を受け、男はさらに通路を奥に進んで行く。
案内された部屋は厳重に警備された場所にあった。
何人もの警備兵が配置されていた。
男は付き従う者に命じ警備している者に襲いかからせる。
瞬く間にその場を制圧した。
そしてハリウッド映画か!とでもいうようなアクションで扉をぶち破り中に入っていった。
破られた扉もで凍りついて割れていた。
部屋の中には檻がある。
先ほどの奴隷も檻に入れられていたが、こちらはさらに頑丈な檻だ。
中には3人の奴隷がいた。倒れていた。
3人は傷だらけ、いつ死んでもおかしくないくらい痛めつけられていた。
「なんだ外れか」
男が言う。
檻の鍵を氷魔法で解錠し中に入る。
空間から氷を作り、鍵穴に合わせた氷を作る。
鍵が開くと付き従っていた男たちが中に入り倒れている奴隷を確認する。
息、意識、姿形から装備、全てを確認し男に頷く。
そして武器を構えいつでも対応出来るだろう位置で待機する。
「治療の水 ・一式」
息のあることを確認すると男は水の魔法を使った。
「ここは?」
1人の奴隷が眼を覚まして言う。
「質問には答えない、俺はここを潰しにきた。
お前らは奴隷の中でもさらに酷い扱いを受けていたようにみえるな。
お前ら以外の奴隷は俺の傘に入った、元の飼い主に牙を向かせている。
今もあちこちで逃げながら戦っている。
火をつけて廻りながらな。
選べ。
ここで焼け死ぬか、俺と来てこんな目に合わせた奴らと戦うか、だ。」
男は言う。
「旦那、こいつら銀狼族だ。」
男を旦那と呼ぶ男は、その男よりも年上に見えた。
「銀狼族?」
男が返す。
「記憶の無い旦那には聞かない話かもしらんが、何世代も昔、もう何百年か前に狼人族が隆盛を誇った時代があったらしい。
そのときに中心にいたのが金狼族と銀狼族なんだ。
だがその隆盛は長く続かなかった、今狼人族は金狼族が中心にいるはずだ。
俺も見るのは初めてだが毛並みが銀色のそれだ。普通の狼人族はこうはならない。
間違いないとおもう。」
男が奴隷の男を見る
「ああ、銀狼族だ。だから俺たちは此処に捕まった。
だったらどうする?
俺たちは金狼族に狙われている。解放したらあんたらも金狼族に恨まれるぞ。」
「ふーん。安っすい煽りだな。
泣いて助けてくれとでも言えば可愛げがあるのに。」
そう言いうと男は奴隷から視線を外し、身体を翻して歩きだした。
廻りに付き従う者たちも武器を納め追いかける。
銀狼族の奴隷は1人取り残され周りを見る。
彼の仲間2人は倒れたときのまま放置されている。
「待ってくれ!」
銀狼族の奴隷が慌てたように声をかける。
だが男たちは取り合わず先に進んで行く。
興味を無くし進む男を見て銀狼族の奴隷は慌てて走りだした。
初級の回復魔法しか掛けてもらっていない身体に鞭を打ち男の前に走る。
そこで頭を下げて懇願した。
「お願いだ、従えというなら何でもする!
仲間を、仲間を助けてくれ。俺に出来る事ならなんでもする!
回復魔法を、お願いだから掛けてやってください。」
「それは無理だ。何故ならーーーーーーーーーーーー」
治療を施された銀狼族の奴隷、元奴隷が3人、男の前に平伏していた。
涙ながらに感謝を述べ、男の指揮下に入ると言っている。
既に奴隷紋は解呪されている。
そこに誰かが飛び込んできた。
「旦那!敵の援軍だ、数が多い!
元奴隷の奴等が大分やられてる。うちの連中にもこのままじゃ被害がでる!」
「ーーーーーー、ーーーーーー何人か連れて手を貸してやれ。
死人がでなければ治せる、うちの連中は1人も死なせるなよ。」
「「御意」」
「ああ、せっかくだ銀狼族の力を見せてもらおう。
2人そっちに廻ってくれ。1人は俺と探索だ、解る範囲でいい案内してくれ。
金目の物が先、次にここの幹部、最後に他の奴隷だ。
動ける奴隷は解放して暴れさせる。顔見知りがいたら交渉しろ。
邪魔する奴は敵だから全部殺していい。
ただし俺の部下を間違って殺すなよ。目のマークをつけてるのが目印だ。
お前らも持っておけ。三つ目をつけてる奴がいたらそいつに見えるように見せろ。味方だとわかるはずだ。」
男が目の形をしたネックレスを銀狼族の元奴隷に渡す。
「ああ、任してくれ。全快した銀狼族の本気の力を見せてやる!
俺たち銀狼族は受けた恩は必ず返す!」
それまで男の側にいた者が数人離れ、飛び込んで来た男と共に駆けていく。
銀狼族の元奴隷2人もまた、それを追って駆けていった。
そして男たちはまた別の場所へと向かう。
「確かあっちに女の奴隷が閉じ込められているはず」
その銀狼族の男の声で、俺の目が覚めた。
悪夢だった。
あー・・・あの痛々しさ・・・・・。
厨二くせえとか思いつつ、実際に着たらノリノリでやりそうな気がする。
マジかよ、嫌な汗が止まらない。
あの男・・・多分俺だぞ・・・
痛々しくて悶えてくる。
また氷の女神が何かしたのか? 変にリアルだった。
おいおい、だとしたら女の奴隷が出てきてからが夢の本番だろうに・・・・
男奴隷の夢みたって仕方ねぇんだよ・・・
全く男心が解ってない。




