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異世界(この世)は戦場、金と暴力が俺の実弾(武器)  作者: 木虎海人
5章 イゾウのお気楽冒険者生活
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決闘 7 大魔道の試験開始


 ライアスと話ながら試合を見ていたが、思いの外早く終わった。

結果? 完勝でした。

 やはり大した相手はおらず、ライアスたちの余裕の勝利だった。

 新人の紅一点、シンシアだけはどや顔でこちらを見ていたが、あの程度の相手なら俺でも出来るし、ユリウスでも余裕だ。ガレフやシグベルでも問題無いだろう。魔法を使えばノリックでも充分可能だし、筋肉ダルマのギュソンさんあたりは喜んでやり(ハッスルし)そうだ。

 そう考えるとやっぱり0088期は凄い奴らが集まっている。



 ライアスたちの戦い(前座)が終われば次は俺の番だ。

アーネストのパーティメンバーと入れ替わりに大魔道のお2人が試合場に上がる。それを見て周囲にいたギルド職員が俺にも試合場へと促した。


 勇者アーネストのパーティ加入試験は終わり、ここから〝黒と白の大魔道の弟子入り試験〟が始まる。


 観客席の最前列の席が一度空き、そこに魔法使い(それ)っぽい4人が少し間を空けて座る。

そこに座った4人は先ほど顔を合わせている。〝決闘〟を受け、調印した4人だ。

それぞれの目が俺を捉えて険しくなる。



「では〝決闘〟の方法を説明するわ。

普通の〝決闘〟ならば何でもありで好きに戦いなさい、となるわけだけれど、それじゃイゾウの坊やが剣でも戦えちゃう。この子は私達の弟子でもあるけど勇者の弟子でもある、魔法を使わなくても強いのよ。

 そうすると魔法の腕をみる試験にならないわ、なので今回の〝決闘〟では魔法以外の使用を禁止するわ。魔法の腕だけで戦いなさい」


 俺がステージに上がると、拡声器の魔道具を使い黒の大魔道がルールを告げる。主にこっちを見ながら。そんなに念を押さなくてもルールは守るっての。

()()()()な。

すると傷顔の教官(ガーファ)師匠がやって来て背中に背負っていた大剣〝魔剣グラム〟を回収して行った。

後でちゃんと返してよね。

 次の試練の時に、あの人たちなら素手で戦えとか無茶を言いそうだから不安だ。

その事は後で考えるとして、今は正面の相手に集中だ。言われたらさすがに切れてもいいだろう。

ぶち切れてばっくれてやる。


「魔法なら何の魔法でも使って良いのですか?」


「あら坊や、さすが私達の弟子。使う魔法がいっぱい有って困っちゃう~って感じかしら?

師匠が良いと選択肢が沢山あってたいへーん、っね。

魔法なら何の魔法でも構わないわよ。


修行の成果楽しみにしているから」


 俺の質問に、キャハとでも言い出しそうなノリで実年齢80歳のババアが頭悪そうに言い放つ。80歳に見えないのがタチが悪いんだよな。

しっかり睨まれたが、いちいち対戦相手を挑発す()るからですよ。何もなければこっちだって余計なこと考えませんから。

多分。


 そんなやりとりをしているうちにギルド職員の指示で観客席では席の大移動が行われていた。

先ほどまでは〝勇者アーネストのパーティ加入希望者〟とその関係者が前の方に座っていたようで、それらは後列に下がっていく。代わりに俺と対戦相手の関係者が前に移動して来ているようだ。

おそらく、この試験が終わると再度移動があるのだろう。

 教官長の方の相手はまだ真ん中より少し手前くらいから動いていない。視線だけは俺を捉えているようだが。

 

 手前に来た中にはマナやセレナ、ノリックらの姿も見える。他にも知った顔がしっかり混じっている。ユリウスたちも前に来ているし、ライアスたちも今度はそちらで見学していくようでいつの間にか移動していた。


「それでは一人目の者、試合場に上がってくるのじゃ」


 白の大魔道の声で、1人目の相手が席を立ち、観客席から試合場へと上がってくる。

どうやら左から対戦する順に座っているようだ。

 男、女、女、じじい、か。

ん? じじい? じじいだ。おかしいな新弟子試験だよね? なんでお爺ちゃんがいるの? ボケてるの? 付き添いとかいないけど大丈夫?

 二度見して、三度見していた俺だが、移動しろと声が掛かった。どうやら真ん中で受けて立っていてはいけないらしい。

 左右にある2つの選手入場口側の1つ、赤く彩られたレッドゲートの側へ促される。

対戦相手は反対側、青に彩られたのブルーゲートの側だ。入場口があるのは試合開始の位置をハッキリさせるためでもあるようだ。


「では始めるのじゃ」


 白の大魔道の声で試合が開始される。

と、同時に試合用を結界魔法が囲んだ。

試合場の四隅に結界魔法師がおり、観客席に魔法が飛び火しないように防いでくれるようだ。おかげで安心して魔法が使えるようだ。


 対戦相手は杖を構え、何やらブツブツと呪文を唱えている。

詠唱が長いな。

 その間に俺は腰に付けてきた水筒から特製の魔法水を出しておく。腰には8コの水筒を付けて持って来ているが、差しあたり2本も出しておけば良いだろう。


「ファイヤーアロー」


 1人目の対戦相手が開始と同時に詠唱を始めた魔法をやっと放ってくる。炎の矢が4本飛んできたので全部蹴り落としてやった。

温い火魔法だ。これじゃ火傷もしないぜ。

・・・・・・念のために靴を履いてる足で蹴落とすけど。

回し蹴りで1本。からのかけ蹴りでもう1本。そのまま膝を折り畳んでの前蹴り → さらに前蹴りで1本2本と。

左足1本で余裕だった。


「えっ!?」


 すると対戦相手は物凄く驚いて数歩下がった。魔法戦でさらに距離を取っても意味ないと思うけど。この距離で魔法を蹴り落とせたのだ。離れたら威力も速度も落ちるだろう、さらに容易になるだけだ。


 手を出してこないうちに相手を観察する。

どうやら最初の対戦相手は「残念、もう少し頑張りましょう」と言った所か。

 どこにでもいる量産型、普通の冒険者型魔法使いって感じの青年で、見たところ歳の頃は20代半ば。ちゃんとした説明を黒の大魔道から受けているはずだけど覚えてないな。

 そー言えば何の資産を持っているか、という説明しか受けてないぞ? 相手の特徴教えとけよババア。どーすんだよ、これじゃどれが何の資産持ちだかわかんねーじゃねーか・・・・・・


 なんて事を考えていると、どこからともなく殺気に射貫かれた。仕方が無いので、真面目に観察に戻る。俺悪くないもん、ちゃんと教えない方が悪いんだもん。普通まず相手の外的特徴からだろ。


 見たところ魔力量も質も程々だ。魔法使いとしては並だな。

体格はひょろがりで近接には向いていない。悪い意味で魔法使いっぽい体格をしていると言っても良い。身体を使うのは得意では無いけど、運良く魔法が発動した冒険者って感じか。

 魔法が使えるから魔法向き、ではあっても、特化と言うほどの才能は無さそうだ。

 魔法しか取り柄が無いから、大魔道の弟子になって1発逆転狙いってところか。残念ながら俺の中では不合格だ。

その程度の魔力で一緒にやれるとは思えない。

 俺の魔法能力は間違い無く伸びているし、指導者としては悪く無いんだろうけど、結構無茶振りが厳しいんですよあの人達。落としてあげて、別の所で頑張った方が彼には良いだろう。


「ちょっと待った! 蹴った、魔法を蹴った!非常識だ! っていうか魔法以外禁止の筈じゃ!」


 ・・・・・・どうやら中身も小物だったようで、どうでも良い事を叫びだした。

結果が同じなら課程なんかどうでも良いじゃないか。


「あれ? 俺が剣で攻撃しなきゃ問題ないんですよね?」


「ん~そうね~、避けたり防いだりしてはいけない、だと試合にならないからそれくらいは構わないのだけど、・・・・・・坊やだしね。

 う~~ん、どうせなら魔法だけで相手してあげたら? なんか可哀想じゃ無い。

それくらい、出来るでしょ?」


 微妙な空気になったので確認したところ、また面倒なオーダーが入った。

このタイミングで可哀想とか言っちゃう方が可哀想だと思います。聞かない方が良かったかな?


「・・・・・・面倒くせぇ、殴りてぇ、くっそっ 【氷魔法:氷の壁(アイスウォール)

はいはいこれで良いですか?」


 俺の前に厚さ5センチほどの氷の壁が出来る。あの火力ならこれで充分だ。

魔法の設定を自分で出来るようになって色々考えた結果、魔法名詠唱だけで使うと決めた魔法の1つだ。

そのうちもうちょっとかっこいい名前に変えてやりたいとは思っている。

思いつかないんだけど。


 普通の戦闘ならばこんなタイミングでこの魔法は使わない。

だが近接戦闘を禁じられたこのルールだと距離を取って魔法を打ちあうしか無い。普段なら無意味に壁を作る魔法がここでは設置盾となる。なってしまう。向こうも魔法しか使えないルールだしなぁ。

 これを壊す為に殴りかかって来たらただの馬鹿だし。

それならそれで面白いけど。

あー、俺が禁止されているだけで相手は良いんだっけか。〝身体強化魔法〟を使える奴が混じっていると少し面倒だな。


 案の定、特に考えは無いようで「ファイヤーアロー」と叫びながら連続して魔法を使用してくる。だが、たった5センチに設定した氷の壁すら破れないでいる。うちのパーティメンバーのおっぱい魔法使いの方がまだ威力ある。

やっぱり弟子試験は不合格ですね。

 そう思いながら黒の大魔道を見ると目が合った。止める気は無いようだ。もう良いじゃん。壊せないなら終わりだろ。そうは思うがちゃんと倒さないと駄目らしい。普通に残酷だな。


「・・・・・・後でグダグダ言われると嫌だから先に確認しますけど、魔法なら何しても問題無いんですよね?」


「構わないわよ、魔法なら」


「くっそおおおおおおお、つらぬけええええファイアーアロオオオオーーー」


 念のため再確認していると、対戦相手はさらにやけくそになって魔法をぶっ放し始めた。おいおい、魔力切れで自滅とかは止めてくれよ? これからちゃんと止めを刺すんだから。


「何を使うのじゃ?」


 白の大魔道も〝決闘〟中に普通に話しかけてくる。

もう少し真剣に審査してやれよ。頑張ってるじゃないか。


 使うのは次からの予定だったのだが、前倒しにすることにした。

勿体ぶるつもりは無いが、駄目出ししたくらいには彼に魅力が無いから。

とは言え、先に出しておけばそれだけ有利だ。


「くくくっ、お2人に教わったアレですよ。

はっはっはー、こんな奴、わざわざ俺様が相手するまでも無いわ!!!!!なんてな」


「まさかもう完成したの!」

「聞いて無いのじゃ!!」


 言ってないもん。

だって言ったら絶対口だししてきただろうし。

そんな事は口に出せないのでニヤリと笑って誤魔化していると、武術の師匠であるお三方がちょっと困った顔をしているのが眼に入った。

 意味が分からなくて困惑しているんですね、分かります。

 自分の知らないところで話が進むと困るよねー。

 ちゃんと時間を取って指導してくれなかったのが悪い。まだ大魔道の2人の方が分かっている。

目を離したら何をするかわかんないって評価してたじゃん。

目を離さなくてもこっそり何かしてるんですけどね。

しかもその場合大概悪さ、という。


 今回は違うけどさ。


「それじゃお披露目と行こうか。

【我が声に応えて道を繋げ、召喚魔法:(来い!)ジャック・オー・ランターン】」



 俺が詠唱を終えると一瞬で静寂が場を包む。

観客席の見学者は最初から俺から目を離さず注視していたが、叫びながら魔法を使っていた男ですら動きを止めた。この闘技場にいる全ての人間の視線が集まるのを感じる。


「あれは!!!!」

「魔方陣・・・・・・まだ18歳と聞いていたがもうそこに至っているか」

「・・・・・・ふん、勇者の弟子でもあるとはいえ魔法よりってことね、上等じゃないの」

「いや、分からんぞ。それだけお二人の指導が素晴らしいのかも知れぬ」


 次の対戦相手の女、じじい、3番目の女、もっかいじじい。の順番でなんか言っているのが聞こえる。

 その向こうの連中も何か好き勝手に言っているのが聞こえるが、さすがに声が重なりすぎて識別出来ない。勝手に好き放題言ってくれよ。


 その中で俺のパーティメンバーだけがニヤニヤしているのが見えた。

期待しててくれ。



 短い召喚エフェクトらしきものが終わる。

衆目の注目が集まる中、魔灯に照らされた明るい試合場に現れたのは、かぼちゃ頭の怪人の姿だった。



緊急事態宣言が出てしまうので、また空くかもしれません。

その場合は申し訳ないですm(_ _)m 影響が無いなんてことは有りえないもので。

余裕みて投稿します


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