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異世界(この世)は戦場、金と暴力が俺の実弾(武器)  作者: 木虎海人
5章 イゾウのお気楽冒険者生活
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決闘 5

ご無沙汰しています。

なんとか花粉は落ち着いてきたかな~と。他は全然ですが

ボチボチよろしくお願いします


 やる気満々で意気込んでいたが、冷や水を浴びせられてしまう。

勇者アーネストの回の試練がなかった。


 なかったと言うか相手がいなかったというか・・・・・・


 黒の大魔道の口車に乗ってこの催しに参加した勇者アーネストのパーティーだが、募集をかけていたのは2軍以下のパーティメンバーだ。

何しろ王都の貴族の推薦で1軍に入る者は決まっているし、ライアスの1軍加入もスカウトで決まっている。

それを差し置いて1軍を募集する意味はあまりない。

よほど使える人材がいたら、というところだろう。


 だがここで予定が狂った。

〝決闘〟を受けてまでアーネストのパーティに入りたがる者はいなかった。


 これは聞いて驚きはしたが、納得もした。

それが正常だろう。俺だってこんなアホなルールで試されたくない。

断って当然だ。

なのに大魔道二人と教官長こと元勇者の方は受諾したアホがいる。現勇者の方は誰も受諾しなかったのに、だ!


 そっちの連中がおかしいのであって、断った連中は正常だと思う。

思うのだが、焦るのはアーネストのパーティの首脳である。

 彼らに関わらず、この街の勇者パーティはどこも人手不足だ、先のオーク襲撃の爪痕が大きい。

試せる人材は試したいし、引き入れられる人材は引き入れたい、それが偽らぬ本心だ。


 結局恥をしのんで前言撤回をし、〝決闘〟でない試験で試すことにしたらしい。

だがその決断はすでに遅く、申し込んでいた半分くらいは試されることを拒否し、辞退して帰ってしまったらしい。

俺も帰りたい、羨ましい。なんか色々絶対後で問題になる奴だ。気が重い。


 そうなると流石にその相手を俺に押し付ける、なんてことはできなくなった。前提が変わったから。仕方なしに自前のメンバーで試験をすることになった。試験官に選ばれたのはライアスを含む1軍確定新人メンバー三名とだ。彼らと戦い、その経過で判断するらしい。

 減ったとはいえ希望者は23名。

さすがは現役勇者のパーティーである。


 おかげで待機時間が増えて困っている。

テンションを保つのも一苦労だ。こうなるなら終わってから呼んで欲しかった・・・・・・・

調印も後で良かったんじゃないかな・・・・・・








 今いるこの闘技場は、おそらく建物の中央付近に試合場がある。

四方が全て観客席になっているプロレスやボクシングのような作りの会場ではなく、観客席は半面ほどしか取っていない作りになっている。

 某7つのタマタマを集める漫画の、前半の人気コンテンツ天下一武道会の会場ような作りだ。さすがに野外ではないが。何が言いたいのかと言えば出場者は観客席からでなく裏から見られる。

俺はそこに待機している。仮にここをバックヤードとする。


 バックヤード側を裏とするとその反対、正面側が観客席になる。

天下一武道会と違うのは左右には選手の入場口が造られていて、俺が入ってきた所もその1つだ。

 おそらく正式な賭け事を行う試合では、選手が左右から別々に入場するのだろう。

試合開始までは顔に合わせないように配慮している。一見ボクシングやプロレスらの格闘技の試合と同じだが、違うのは直接試合場に繋がっている事だろう。ボクシングやプロレスは観客が作る花道を通るのに対し、こちらは試合場に直接出る。


 その入場口を境に左右の面も観客席とバックヤードに分かれる。

裏を多めに取ってあるのも賭け事の会場だからだろう。裏に意味があるのは何でも同じだ。

俺の位置からは見えないが、観客席からはオッズだとかが表示される設備があるらしい。


 試合が行われるステージは広く、テニスコートくらいの広さがある。格闘技の試合をするならば広すぎるが、魔法のあるこの世界で戦うならば決して広すぎることはない。

最低でもこれくらいは必要で、むしろ狭い。



 俺がバックヤードに追いやられたのは、観客席が埋まっているからだ。

現在の勇者パーティ加入希望者の関係者、そして〝決闘〟を受諾したイカれた奴らとその仲間が座っているから。

 殺気立っている弟子入り希望者たちと顔を突き合わさなくて良いように配慮をしてくれたのだから本来は感謝すべき所だ。今もギルド関係者が周囲を遠巻きに囲っている。血気盛んな連中(気が短そうなの)と、俺の番が回ってくるまで関わらせないようにしてくれているようだ。

 だがそれはそれとしてアーネストのパーティの加入試験も見たいのだよ。

表と裏からならば表の方が見やすいに決まっている。




 今試合場で戦っているのは王都から来たという貴族の推薦枠で加入した者の一人だ。

気にならない訳が無い。

 さっきまではライアスが戦っていたが、3人いるということでローテで順番に戦うらしい。羨ましい、俺も順番で交代したかった。そういった意味では教官長にも大魔道にも弟子が他にもいて良いと思う。

 そのライアスは交代して、すました顔で俺の横で試合場を覗き込んでいる。


 試合場では何処にでもいそうな普通の冒険者が片手剣を振るって襲い掛かる所だ。さっきまで肩で息をしていたので、そろそろ限界なのだろう。勝負に出たようだ。

 だが、その剣は相手の剣によって撃ち落とされ、へし折れた。

剣が折れて唖然とした顔をした顔には容赦なく拳がめり込んだ。

倒れたところを腹部を蹴られ悶絶する。

それを見て審判をしていたアーネストのパーティメンバーが止めに入った。もっと早く止めてやれよ、勝負ありだ。


「どう見るよ?」


「良い脚してるな、と」


「見る所はソコかよ。まぁあの程度じゃ他に見る所なんてねぇだろうが」


 結果を見てライアスが俺に問うが、相手が弱すぎて見る所が無かった。

そもそも募集を掛けたのが2軍以下でも良い(サポート)メンバーなので、数はいても大したのがいない。仮にいたとしたら怒って拒否した中にいたのだろうな。勿体ない。

 当然ライアスも余裕で一蹴だった。これで3巡目、いや4巡目だったか。目立った相手がいないので脳細胞が記憶(仕事)してくれていない。たいしたのがいないから全部不合格で良いよというのが、今回には無関係な俺の率直な感想だ。


 勝ったのはライアスと同じ勇者アーネストのパーティに加入した新人だ。

俺の評価した言葉でお察しの通り、女性だ。

 生足ヘソ出しホットパンツである。

各部防具は着けているが速度重視の軽装がお好みのようで露出が多く素晴らしい。目で追ってしまうのは仕方が無いだろう(男のサガだ)

 貴族に推薦されるだけあって美人だ。顔で推薦された訳じゃないだろうけど、大事。


 勝者の女性がバックヤードへと戻ってくる。決着の瞬間はあっという間だったが、それなりに戦っていたので汗を掻いていて艶っぽい。

 目で追っている俺とライアスをジロリと睨みつけ、「フンッ」と鼻を鳴らして通り過ぎていった。

もう何度目か忘れたが、ここを通る度に同じ態度を繰り返しているので、もう話しかけようなんて思わない。

 最初の1回だけ回復魔法を掛けようか? と声を掛けた、が


「うるさい、話しかけるな」


 とバッサリと拒絶された。

善意の提案だったのに残念だ。下心は半分くらいしかなかったのに。

 同期であるライアスの同期。

世話になっていて、これからも利用するつもり満々である勇者アーネストのパーティメンバー、出来るなら仲良く、とまではいかなくとも上手く付き合いたい。

 だが、あちらはどうも嫌悪しているようで、それが隠されることなくダイレクトに伝わってくる。



 彼女の名前はシンシア。

前述の通り勇者アーネストのパーティに最近加入した新人さんだ。

 彼女だけでなく同時に加入したのはもう1人いるが、そちらも同じような態度でとても感じが悪い。

最ももう1人は男性(野郎)なのでどうでも良いが。

モチのロンで、そいつには最初の1回すら話しかけていない。


 だがこれは有る意味仕方が無い。

俺が悪いわけではないのだが、俺のせいみたいな流れなのだから。

彼女と彼、新人さん2人はいつ正式に加入したかまでは知らないが、つい昨日やっと王都から到着したらしい。そう聞いている。なのに来て早々この闘技場で戦わされている訳で。

 その原因とも言える俺に愛想良く接する訳が無い。


 ちなみに勇者ことアーネストさんが顔を合わせた時にされた謝罪は、迷惑掛けてごめん。ではなくて相手を用意出来なくてごめん、という意味だったらしい。


 どいつもこいつもどんだけ俺のこと脳筋だと思っているんだか。


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