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異世界(この世)は戦場、金と暴力が俺の実弾(武器)  作者: 木虎海人
5章 イゾウのお気楽冒険者生活
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ドライアドのいる日常へ


 ドライアドの手伝いを終えて街に戻ると、やはり無断外泊を責められた。

皆なにかトラブルでもあったのかと心配していてくれたようで、俺が顔を出したときには既に外に向かう準備を済ませていた。もう少し遅かったら森に向かって出発していたかも知れない。危なかった。


 日の出から起こされ作業を開始していたのが幸いしたようだ。ウッドゴレームを引き連れて歩いてるとこなんて見られたくない。ある程度早い時間に街に戻れて良かったと思う。

 一度門まで来たのに、心無い門兵に追い返されたことを強調して説明し、少しだけ仮眠を取った。





 色々あったが、その後はまた〝身体強化魔法〟を鍛える日常に戻っている。




 ドライアドとはこまめに連絡を取りながら木を切り倒し運ぶを繰り返している。というか頻繁に具現化してくる。特に用事が無くても現れることがある程だ。これには俺も驚いている。

 〝身体強化魔法〟の訓練はそれ以降問題なく進んでいる。1人で最初から最後まで出来る者も増えてきている。

 切り倒す樹木はドライアドと相談して決めているし、時間を作ってはこっそり切り株の移動も行っている。

 そんな事をしてバレない訳がないので、「森が広がっている気がする」と騒ぐ奴もいる。とはいえ切り株が無くなっても誰も困らないのですぐにその話は風化した。俺が何かしているのを薄々感づいてはいそうな奴もいるだろうが、一度切り倒したエリアには進行ルートを変えれば何度も足を運ばないので適当に道を変えてはぐらかしている。

 特に問題にならない限り口を噤んでおくつもりだし、詳細まで答えるつもりも無い。参加しているのが同期である限り何とでもなる。



 ドライアドについても気になったので木材商ギルドで聞いてみた。

この街の周辺で森林伐採を行うと、原因不明で死因が謎、なんて事件が起きた事はあったらしい。

 だが、どうもオークが森にも住処を作るのでそのせいだと思われているようだ。オークに限らず魔物が出る世界じゃ死因なんていちいち気にしてもいられないのが世知辛い。特に否定する意味もないので、「そうなんですか」で済ませた俺も俺だ。 慣れたもんだ。


 実際問題、オークが少ない地域や魔物が出ない場所で伐採を行ったほうが安心安全で、何より木材の質が良く、木が多いと言ってもこの辺りでは旨味の少ない業種らしい。オークが住処を作った森は木の質も良くないのだそうだ。これはドライアドも同じ事を言っている。だからこそドライアドはオークが森に住処を作る事を許容出来ないらしい。

 昔よりもオークが北上してくる頻度が多くなっているそうで、林業の資格を持っている者もこの街から離れて久しいらしい。実際やっていてもそこまで儲かっていない。林業はそれを本業に迎えるのは難しそうだ。


 森林が多いのに、林業が盛んではない理由は分かった。


 問題は原因不明の死因の方だ。おそらく殆どはオークだろう。それは間違い無い筈だ。

だがオーク以外の死因を考えたらもしかしたら一位はドライアドかも知れない。

 俺の問いにドライアドは「当然だろう(イエス)」と答えた。個人的にはでもそれ見栄張ってるんじゃないの?と思っているが。

 だって今はこの辺りの森で伐採するような奴殆どいないみたいだし。いない奴は殺せない訳だ。

昔の話だろう。ってことで俺の中でこの話は割り切っておく。


 

 気になったのは樹木を伐採しても平気な地域と駄目な地域がある事。

 何故ドライアドが伐採すると現れるのはこの辺りだけなのかと言う疑問だ。これはあっさり教えてくれた。人間に切られても何も起こらないよう地域は、森の守護者(ドライアド)が存在しない森だからだそうだ。

 具現できる距離にも限界があり、離れた場所には目が届かない。

 そのうえ相性の良い樹木が存在し無いと、具現化出来ない事も大きな理由だ。距離に問題が無くとも、その森に相性の良い樹木が1本もなければ、やはりその森に森の守護者(ドライアド)は存在出来ない。


何よりも俺と親しくなったこのドライアドの本体があるという森には、多数ドライアドが存在するそうだ。だが、他にドライアドが存在する森が有るかどうかは分からないのだと言った。

もしかしたら俺が思っているよりも遥かにドライアドは貴重かも知れない。

 


「・・・・・・ってことは思ったより近くに住んでるのか?」


『オークが北上し人と争っている場所の直ぐ近く。人間には〝迷いの森〟と呼ばれていると聞く。オークが侵入してくるのは同じだ。我らもオークの侵入を防ぐために戦っている』


と、あっさり教えてくれた。


〝迷いの森〟

それはこれから俺が向かう事になっている防衛任務の砦、その西部に広がる森の呼称だ。



 初心者講習受講の条件だった防衛任務は、この街から南部に進んだところに位置している。オークの大繁殖地帯との境にあり、南の砦は西を今ドライアドが言った〝迷いの森〟に。

東を大型の魔物の生息域の高原にと挟まれている。


 正確にはその2つ、〝迷いの森〟〝死の高原〟がかなり広大な広さを誇っており、地図上ではほんのちょっとの隙間があるだけだ。

 隙間は両区域にくらべて遥かに狭い。だがオークが通るには充分に広い。

故に人類はそこに砦を築いて守っている。


 オークは馬鹿なので、そのままだと考え無しに北上しては食われ殺される。だが、群れが大きくなると進化したオークが現れる。

 進化し、少しでも知恵が回るオークがいると学習する。わざわざ危険な〝迷いの森〟や大型獣のでる所は避けるようになる。

 狙うのは比較的通りやすい人間の砦になる。そこを越えようと狙って動いてくる。


 南部はオークの大群生地帯なので、ちょこちょこ中級種が生まれては、砦を抜けてくる訳だ。


 まだ聞いた話でしか無いが、大型獣が出る東側は高原が大半だが、オークの群生地と面しているところだけは岩場が多く、進み難くもなっていて侵入が困難で、さらにその岩場を越え、高原の先に行くと平原が広がっており、さらに大型で肉食の魔物が闊歩するようになるらしい。

 噂に寄ると地竜も出るとか、出ないとか。人間には興味が無いようで砦の方には寄ってこないらしいが、たまに砦からも見えるらしく防衛任務の時には名所の扱いだと聞く。

少し楽しみだったりする。

だって男の子だもん。ドラゴンとかワクワクする。



「実はもう少し先にだが、その砦での防衛任務に参加する事になっているんだけど、その時にその〝迷いの森〟に行っても問題無いか?」


『聞いておこう』


 防衛任務は初心者講習の同期、俺の派閥の連中と、時期を合わせて参加することになっている。冒険者ギルドとしては散らして参加させたいようだったが、そこは譲れなかった。

 参加期限の終わりギリギリである半年後に集まり、情報交換も兼ねて参加する事にした。もう少しだけ余裕がある。


 当然だが防衛任務への移動は参加義務期間に含まれない。参加する前でも後でも良い。

その時に少し足を伸ばして、ドライアドの主とやらと会えないか考えている。





 〝身体強化魔法〟を教え初めて2週間ほど。

そろそろ結果が見えるようになってきた。


 顕著なのは同期の仲間よりも裏街の子分だ。


ハーフドワーフの兄弟 ザーノアとノリア。

犬獣人の ベス、ジョン、チロ。

 種族の特性もあるのかこいつらと、その仲間が思ってたよりも覚えが良い。これが嬉しい誤算だ。

流石に全員に教える気にはならなかったので、初期からの子分にだけ絞ったのだが、その中でも向いているようだ。


 曰く、一緒に街の外にくっついて来た時に見ていたことも大きいらしい。見取り稽古という奴だ。戻ってからも真面目に練習していたらしく、1人でただ魔法を発動させるのは問題無いレベルには何人も仕上がっていた。

 身体強化自体は微々たるものだが、魔法が発動するのは大きい。次の段階に進める。

効果は地道に伸ばして行けばいい。


 問題は俺達のように、木材を切り倒して運ぶ訓練が出来ないことだ。

だがそこは無職のごろつき。 俺がいない間に裏街の中で適当な荷物を運びながら練習していたらしい。

次の段階もそれなりには出来ていた。



 そんな訳で奴らには他所の縄張りを攻撃させる事になった。

〝身体強化魔法〟の3段階目は実戦で使えるようになることだ。これがとにかく難しい。

今までと全く感覚が違ってくる。

これはもう数を繰り返すしか無い。

 だがそこは裏街。相手はいくらでもいる。

俺の縄張り内ではやらせていないが、他の縄張りでは迷い込んだ奴を捕まえて身ぐるみ剥ぐために待ち伏せしているような奴らが、幾らでもそこいらに隠れている。


 見つけ次第手当たり次第、ボロクソに攻撃させた。


 こうして〝縄張り荒らしの三ツ目〟として裏での悪名も高まっていく。

何とか確定申告の準備完了。

あとは指摘されたら修正するだけ、やっと会計士さんに頼むとこまで来られたのでボチボチ更新出来るよう頑張ります

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