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異世界(この世)は戦場、金と暴力が俺の実弾(武器)  作者: 木虎海人
5章 イゾウのお気楽冒険者生活
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身体強化魔法 3

短いです



西の大山脈


街の西部方向に大きくそびえるその山々は、強力で知性のある魔物が出るために一般の立ち入りが禁止されているエリアなはずだ。


「あらっ、一般に立ち入り禁止されているだけでしょ?坊やは正式に冒険者になったんだから申請すれば許可は下りるわよ?」


「えっ!? そんな軽い話なの?」


「戻ってこなかったら死亡扱いされるだけですもの」


「おいっ」


死を軽く言う黒の大魔道をジト目で睨む。

戻って来なかったらギルドハウスの契約も打ち切りになるんですけど?


「大丈夫よ、別にそこで魔物を倒してきなさい、という話じゃないもの。

身体強化魔法を駆使して探してらっしゃい。

坊やは〝隠密〟のスキルも持ってるのでしょ? 見つからないように隠れて動けばいいのよ」


ふむ。別に魔物の討伐が課題では無いらしい。

なるほど、確かに強化出来るようになったからといって、戦う必要が無いことは俺も理解出来る。

こっそり行って、こっそり拾って、そしてこっそり帰ってくれば良いのか。

ミッションインポッシブルだな。


「遭遇したとしても〝天狗〟と〝オーガ〟くらいじゃろう、そこまで好戦的な種族じゃないから逃げれば追ってこないはずじゃ。

立ち入り禁止区域に入ってすぐの所でも低級の魔法媒介は取れるから、深入りせねば大丈夫じゃ」


「ふむふむ、どゆこと?詳しく」


逃げれば問題無いと言う白の大魔道に問うと、その理由を教えてくれた。


西の大山脈ではそこに生息する魔物の中で縄張りが決まっており、互いに不干渉で上手く棲み分けが出来ているらしい。

立ち入り禁止区域から暫くはどこの縄張りでもないらしく、山に棲む全ての種族が現れる可能性があるが、出会うのはごく稀で、遭遇しても立ち入り禁止区域から外にでればそれ以上は追ってこないらしい。


「理由は分かっていないのだけれどね、まぁイゾウの坊やなら入るくらいなら大丈夫よ。

多分強い個体はオークグラジエーターよりも強いけど、縄張りの外に出てくるようなのは若い個体でしょうから、急いで距離を取れば問題ないわ。最悪でも坊や1人なら逃げ切れるでしょ?」


どんだけ信頼されてるんだよ俺。

つーかこの2人、防衛任務の時のオークグラジエーターあたりは上から全部見てたんだよなぁ・・・・・・

基準がオークグラジエーターと戦えたから、とか色々おかしい。

あん時は聖剣があったんだけど?

あー、呼び出したのも見られてるのか。別にいつでも呼び出せる訳じゃ・・・・・・

やってみなきゃわかんねーや。出来ちゃったりして。


最悪見つかっても逃げればいいのか。

初心者講習でもさんざん走らされたしな。

試練としてはむしろそれが目的か。有る意味、身体強化魔法の正しい使い方とも言える。


「実際立ち入り禁止に指定されるくらいだから危ない場所よ。

でもだからこそ身につく事もある。坊やは練習で簡単に出来るからこそ、実際に使えないと意味が無いの。

入ったらなるべく早く出て来るように心がけなさい。常に身体強化を掛けて切らさないようにしなさい」


あーこれもう何を言っても駄目な奴だ。

諦めて準備をしよう。

嫌だと行っても許してはくれないだろうしなー。

本業の冒険者生活に支障のでない程度に戻って来たい。





  


「という訳で、師匠筋に無茶振りされたので2,3日留守にする事になります。

いない間浮気しないように。特に一緒に暮らしてるのでノリックには気をつけてください」


「・・・・・・魔道の道を進むのにそんな余裕はないと言ったはずだけど?」


「なんか君は意外と共に机を並べて学んだ存在にコロッといくんじゃないかと心配でね」


「信用ないな、ちょっとショックだ」


聞く限りでは西の大山脈の立ち入り禁止区域には日帰りで行って帰ってこれるらしい。

だからこそ試練の場に選んだのだろうが、強行軍で課題をこなすのは避けたい。

故にパーティメンバーに留守をしっかり頼まなければならない。


「という冗談は置いといて、ギュソンさんとアベニルさんが立ち入り禁止区域の手前にある村の教会に顔を出したいって言うから一緒に行こうと思ってるんだけど、他に用事がある人がいればついでに行かないか?」


旅は道連れ、という奴だ。

電車やバスの無いこの世界では徒歩移動が基本。念のため移動には人数がいた方が良い。

ちなみにノリックの話は冗談ではあるが、堅物は付き合いが長い奴に心を許す傾向があると思っているので、一応釘は刺しておいた。

女にうつつを~~とか抜かして外に目を向けないタイプは、内側が危ないと思ってる。

だからあくまでも一応、だ。


当然ながら用事があるメンバーはいなかった。

クィレアが用は無いけど行きたいと駄々をこね、大魔道に遊びに行くんじゃないと一喝される一幕があったのだがそれは俺のせいじゃ無いと思う。

そのせいでギュソンさんたちも「絶対に一緒に入るな」とキツく威圧されながら言われていたのもほぼ、空気の読めないクィレアのせいだ。

念のため移動に余裕があっても、教会に寄るついでにその村で一泊してくる事に決めた。





そして冒険者ギルドにだした入山申請はあっさり許可され、「立ち入り禁止区域じゃねーのかよ」と、軽く拍子抜けしつつも西の大山脈へと向かう。





週末も投稿しますm(_ _)m

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― 新着の感想 ―
[良い点] 淡々とした語り口は特徴的ですが私は好きです。 読者が気が付かなそうな細かな設定や描写をスラスラ語るので、まるで見聞きしてきた事を伝えている様な錯覚すらあるのは凄いと思います。
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