女子チームとの接触
直しが面倒なので後半消して分けました。
「なぁあの子可愛くないか?」
一緒に働く村人えーたが言う。
彼とは最近話すようになった、割となれなれしい男だった。すぐため口になった。
話やすくていいけどね。
最初は少し卑屈だったがだんだんと軽口を話せるようになった。
おかげで作業時の空気は重くならなくて有り難い。
最近はこうやって教官の離れた隙を見てくだらないことを話しながら作業をしている。
彼の言うあの子は昨日の背の高い美人さん。
ではなくその後ろに隠れるようにいる背の低い方の子だ。
今日は珍しく女性チームと一緒になった。今まで男性チームと一緒になることはあったが女性は初めてだ。
そのせいでこいつのスイッチが変に入っているのだろう。
かく言う俺も嬉しいし、ドキドキしている。
しかも一緒なのが昨日訓練所に来た面子と来たらもうね。
ラッキークッキーって感じだ。
「あの子たち、だろ? みんな可愛いじゃん」
「えー、そうかー? あんまりデカイと女は微妙だし、後ろにいるのはなんかキツそうじゃないか?」
えーたは自分があまり背が高くないからか、背の高い子には興味が無い様子だ。
他2人はキツイ顔系の美人だ。
対しえーたが言うあの子はかなり可愛い上に背も小さめで、美人というよりは美少女。
どちらかと言うとロリ系の美少女だ。
有りと言えば有りだが、どちらかと言えばむちむちボインが俺は好きだ。
だから向こうから来るならともかく積極的に行く気は無い。
最も向こうからも来ないだろうけど。
えーたの好みは大人っぽいよりも可愛らしいタイプのようだ。
守ってあげたくなるような子。
もしかしたらただのロリコンかもしれないが。
こっちの世界でも割と多い病気なのかも知れない。
そう思ったが年齢的にはえーたは年齢的に全然問題無いのか。
多分お互いにそう歳は離れていまい。
真性のガチロリコンと出会った場合、どこに通報すればいいのかは、後で極道コンビにでも聞いておくか。
あの2人だと
「ガハハハッ、殺してしまえ」
「うむ、証拠は残すなよ」
なんてマジで言われそうだけど。
となると問題なのは俺がいまいくつなのだろうか?っという事の方だ。
生まれ変わった為に、名前も年齢も名乗れないでいる。
勝手に名乗っていいかのかどうか。
ちなみにエータの本名は〝アルゲエータ〟というらしい。
愛称ということでえーた呼びを許してもらっている。
なのに俺の名はまだ無い。
いい加減つけないといかん。
「じゃーお前はどの子が一番可愛いと思うんだよ。」
俺が脳内で静かに悩んでいる事を無視してえーたが言う。
正直本人たちが近くにいるのにこうゆう話題はしたくない。
俺は紳士だからな、パンツと靴下とネクタイが正装だ。
「お前さ、そうゆうのは失礼だよ。
共に切磋琢磨する同期だろ?」
と、無難に答えた。俺は全方位に愛を求める男だ。
「かー、真面目かよ。真面目くんだよな、おまえって。
面白くないな、誰か1人あげろっての」
「はぁ面倒くさいな。あの背の高い髪の長い子だな。声が綺麗だし顔も好みだ。何より昨日少し話したからな」
「何だよ、お前女子ともう話したのかよ、ズルいぞ!」
「ズルくねーよ。何でもかんでもズルいって言うな、底がしれるぞ。
訓練所で会っただけだ。
お前も訓練所に来てれば話す機会くらいあった。
訓練しないで部屋に篭もってるから悪い」
「あっ、あっー、聞こえません。
で、好みのタイプだから話しかけたと?」
「違う。俺は話したこともない相手を好きにならないだけだ。
お前が1人挙げろって言うから話した事がある子を挙げただけ。
ただ外見は好みではあるけどな、お前の好きと俺の好きは根本的に意味が違うんだろ」
俺は話した事も無い相手に一方的に恋心を抱いたりしない。
代わりに女を全て性的な目で見ている。
というか、話したこと無い異性に抱く感情は性欲以外ない。
抱きたいと思うのと、惚れたと思うのは少し違うだろう。
どっちも好きの範囲ではあると思うが。
惚れるには多少の接点が必要だ。
今聞かれている好きな子はと言う問いは惚れたのほうだろう、そうなると正しく答えられない。
正直、死んで異世界に来てよくわからないまま戦う訓練を受けている。
それをこなしながら恋をする余裕は無いと思う。
「そーかー。見た目から入る恋もあると思うけどな」
「見た目はみんな可愛いってさっき言ったろ。よく知らないのに恋には落ちない」
「あー、う、ううん!」
突然咳払いをされて会話が遮られる。
振り返れば話題の彼女たちがそこにいた。
「あはは、可愛いって言ってくれるのは嬉しいけどさっ、もう少し小さい声でお願いね。
聞こえててちょっと恥ずかしいかな~って」
「聞いてたのね・・・・」
口元に手を当てて小声で注意される。
そんな仕草も可愛い。
「途中からだけどね。ちなみに聞いてたんじゃなくて聞こえた、だね」
「それはまことにすいません」
「ううん、君の方は別に悪口には聞こえなかったから大丈夫だよ。
デカ女でごめんねー。
で、せっかくだから話した回数更新しておこうかなーって、話を止めてもらうついでにねー」
クスクス笑いながら彼女は言った。
デカ女のくだりも聞こえてたのか。もろに最初からなんですけどね?
別段怒っているようには見えないが不愉快だろうな。
「無神経でした・・・・すみません」
「ごめんなさい」
俺が再び謝る。するとえーたも一緒に謝った。
言ったのこいつだけどな。
言い訳は男らしくないから止めておいた。
「そんな止めてよ、別に怒ってないし。
大きいのは事実だしね。村でも散々言われたから慣れてるし。
で、教官たちに仕事頼まれてるんだけど、ちょっと量が多いんだ。君たちにも手伝ってもらえって言われててる。お話中悪いんだけど手伝ってくれるかな?」
「勿論」
そう言われて彼女たちについていくことになった。
そのときはえーたの好みの彼女に一瞬、舌を出してべーってやられた。
美少女がなんてことを。
舌を出すのはズボン脱いでからにしろよ!
つーか何故俺にする?
えーたにしろ、えーたに。
俺は悪くない。いちいち言わないけど。
横にいたえーたはそれを見て自分は嫌われてないと思ったのかその後頑張って話しかけていた。
結構積極的なのな、村人のくせに。
相手にされてなかったけど。
そして俺は白金色の髪の彼女にこそっと
「可愛いって言ってくれてありがとね」
と言われてしまった。
何だこれ超照れるんですけど!
多分照れて赤くなっていただろう。恥ずかしくて何も言えなかった。失敗!
フラグを立てるチャンスだったのにー!
残念。
その後一緒に作業をした。
えーたは意中の彼女に必死で話しかけ、俺は他の3人とそれなりに話ながら作業を進めた。
終わる頃にはだいぶ打ち解け
「キツそうな女でごめんねー。目つきが悪いのかな?」
とか
「私もねー。生まれつきで困ってるのよー」
とか彼女たちが言い、
「ねぇ男の人から見てどう思う?」
と振られ
「みんな可愛いから大丈夫だと思う」
と返させられるやりとりが成立してしまい困った。
最初に無難に返事をしたところ
「あれー、さっきと言ってる事が違ーう」
と言い直させられた。女は怖い。
当然「背が高い」バージョンもある。
キツめと言われた2人が彼女にも振るのだ。
照れて赤くなる姿が可愛いからいいけど。
えーたにキツそうと言われた2人は少々ご立腹のようでえーたをほぼスルーし、俺に振りながらこうゆう地味な仕返しをしてた。
2人は楽しそうに笑い、俺と背の高い彼女は愛想笑い苦笑いで返す。
えーたはずっと顔がひきつっていたと思う。
が、こいつのせいなので俺はえーたの味方はしなかった。
自業自得だろう。
ちなみにえーたの意中の女性も
「そんな酷い事言う奴は死んじゃえばいいのにねー」
とか返して一緒に笑ってた。
俺とも一言も話さなかったしよくわからない女だ。でも多分口は悪そう。
間違い無く好かれてはいないと思うので、特には関わらない方向で。
背の高い彼女の名前も聞いた。
〝セレーナ〟
愛称としてセレナと呼ばれている。俺にもそう呼ぶようにいわれた。
名前を聞かれたが答えられなかったのが口惜しい。
えーたの意中の相手の方は
〝マナ〟
細かい事は知らない。セレナがそう呼んでただけだ。
特に話さないので問題無い。
マナの方がロリの入った美少女でセレナの方が大人っぽいお姉さん系美人さんだ。
昨日は美少女だとセレナを思ったが並んでみると美人と美少女になる。
とはいえどちらも10代だろうからどっちも美少女ともいえるお年頃だ。
仕事での接触はその時だけだったが女性と働くと少しテンションが上がるから不思議だ。