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異世界(この世)は戦場、金と暴力が俺の実弾(武器)  作者: 木虎海人
4章 裏町を掌握せよ!
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講習の終わり(裏側)



イゾウが最後の別れと友人と飲んでいる頃、教官たちも集まって飲んでいた。

話題はこれから送り出す6人についてだ。


昼に判断し、夜に語る。

教官たちにとってはいつもの事で、お馴染みの風景である。


ユリウスの洗練された槍捌きは、新人の域を大きく超えている、だとか

ライアスの負けん気の強さは大した物だ、あれなら勇者のパーティでも通用するだとか

ノリックは魔法力、魔法技術ともに優れ将来有望だとか

木こりだったシグベルの足腰の強さは相当のモノがあり、技術がおいつけば化けるだとか

傭兵上がりのガレフは戦闘技術は大したものだが戦闘面以外が少し心配だとか



ガレフは講習生内では強さは抜きんでる男だったが、移動や野営などの下準備を苦手としていたことなど、話題は尽きない。


「エクルンド、おぬし最後はかなり本気だっただろう?」


「あははっ、やっぱ分かっちゃいますか。終わってから聞いたら思いつきでやっただけで練習してた訳ではないって話だったんでその分隙が多かったので助かりました。」


教官たちが敢えて1人だけ積極的に話題に出さない男がいた。

イゾウだ。


「あの姿はまるで・・・・・・」


そう言って教官の1人言い淀む。

戦闘開始と共に周囲に10の氷の塊と1つの水球を浮かべ、超重量の魔剣を振り回すイゾウの姿は、〝聖剣〟を散らして〝聖刃〟を操り、常に先陣を切り〝順滅の勇者〟と呼ばれた若い頃の教官長の姿によく似ていた。

そしてその姿に先日の〝聖剣〟に認められたイゾウの姿が思い浮かばされる。


元勇者であり、、冒険者ギルドの教官長でもある、自分たちの上司の、その後継者。

それは武術課の教官たちの悲願でもある。


この初心者講習が始まって約5年が経った。

真なる意味で勇者を輩出したことは、まだ無い。


皆同じモノを望んでいるが、それでも知ってるからこそ思う。


(イゾウは無い・・・・・・)


教官たちのイゾウの評価は高い。

戦闘力、魔力は歴代の講習生の中でもトップクラスであろう。戦闘技術、魔法技術が伸びてきたらと考えるモノも多い。

そのどちらもこれ以上無い師匠がついていることも知っている。

故に何より恐ろしいのは成長力と爆発力だ。


そして戦闘面での評価が高いほど、評価が低くなる面があるのだ。

人間性の問題だ。


喧嘩が歴代で最も多かった講習生でもあり、悪い意味で人の扱いにも長けた講習生でもある。

そして色恋沙汰でも評判が悪い。

一緒に暮らせば教官たちにも噂話くらい耳に入ってくる。

イゾウの事情を全て知る者は少なく、イゾウの行動を好意的に取る者ばかりでは無い。


もし真っ当に冒険者としてのみ励み、勇者を目指して行動していたなら少し違った目で見られたいただろう。

だがイゾウはそうで無い道を歩んでいる。

イゾウの師匠達が容認している以上、どの教官にも口を挟むことは出来ない。


元勇者の弟子に収まり、その勇者が使った武器のみを受け継いで、別の道に進もうするイゾウの姿は冒険者ギルドとして見れば好意的に感じられる存在では無い。




「あやつは物の見方がわしらとは完全に違うからな・・・・・」


そう口に出したのは師匠の1人である教官長だ。

教官たちの視線が集まる中、ガハハ髭教官が兄貴分の教官長の盃に酒を注ぐ。


「あやつが言うには空気中には水の元があるのだという。だから水を含む空気のある所で自分は常に優位なんだとか。勿論未熟なのは自覚していて、それを元に励むのだと言っていたが・・・・・・

ジメジメした所では空気中の水が多くなり、カラッと乾燥した空気の中では逆に少なくなる。

雨が降った日こそ自分は最も輝くとまで抜かしておった。

シツドとか言うのだそうだが、そんな風に考えるからこそあやつは伸びる、伸びた。

根本的にわしらとは考え方が違うのだ・・・・・・」


イゾウの事情について知っている教官は、3師匠とエクルンドのみだ。

という事情があるからこそ、エクルンドと対戦したイゾウがソレを前面に押し出した戦法を取ったのだと4人は考えている。

もし他の教官だったら、適当に場を濁して終わらせただろう。

そんな男だと知っているからこそ勇者にすることなどとっくに諦めた。


「そう言った意味ではあいつは〝聖剣〟と相性が最悪ですね。

最悪に抜群ですよ。〝聖刃〟で攻撃、水魔法で防御、氷魔法で両方こなせる。」


今日相手取ったエクルンドがしみじみとそう言った。

氷の矢を切り裂くエクルンドの斬撃をイゾウは氷の矢を重ねてぶつけ失速させた。

そこに氷魔法で盾と壁を作って防いだ。

精度が甘かったが為に何度もイゾウは被弾したが、魔剣で剣を受けない分エクルンドも被弾を許すことになった。

エクルンドが魔法を使おうとすれば〝氷の矢〟が放たれる。

集中無くして魔法は使えない。これはイゾウだけに当てはまることでは無い。


近づけばその〝氷の矢〟がイゾウを守る盾となり、間を置けば水球、そして氷魔法が妨害する。

魔法の行使速度に限ってのみイゾウの方が圧倒的に早かった。

エクルンドですらイゾウの水球に一度、頭部を捕らえかけられた。

もし少しでも油断していたらそこでエクルンドの敗北が決定しただろう。


「最初に余裕を見せて〝氷の矢〟の発動を許すからだ。」


横で戦闘を見ていた教官たちは察している。

イゾウの〝氷の矢〟は残弾が0になると集中しての再発動が必要になった。

だが残弾が1つでも残っている限り、再装填(リロード)に集中は必要無く、勝手に増えていたようにも見えた。

新人で駈け出し、最近魔法を覚えたばかりのイゾウが何故そんなことまで出来るのかが教官たちには分からない。

なんとなく察せするのは師匠達4人だけだ。

イゾウが精霊を連れていることを聞いて、知っているから。


事実イゾウは10の氷の矢のうち3つづつを、堕ちた土精霊に制御を任せていた。

イゾウが意識していたのは1つだけ。その1つが残っていれば〝土〟の精霊でもイゾウの魔力を使って氷の矢が作成できた。イゾウが意識を割く必要は無く勝手に再装填(リロード)されていく。


イゾウに干渉して行動出来ないと元に戻れないと、堕ちた土精霊に泣きつかれたイゾウが考えた小精霊の使用方法だった。

戦闘経験の少ない小精霊ではエクルンドの動きに反応しきれず制御が甘くなり、イゾウは何度も被弾を許したが、自分で全ての魔法を制御する必要が無いことで、余裕が作れエクルンドの剣技に対応を出来た。


構想していただけで試すことが出来なかった為に、ぶっつけ本番だったがイゾウには確かな手応えがあった。

師匠達は察することが出来たからこそ弟子の成長を喜べたが、察する情報の無い教官たちはイゾウという存在を理解出来なくて困惑していた。

だからこそ、何をするか分からない男として、手放しで称賛も出来ないでいる。


そんな話合いは夜半に及び、話題は次第に明日以降の講習生へと移っていく。


そんな時間が何日か続けば今居る講習生は皆、巣立つ。

そして次の講習生が入ってくる。


優秀だった者も、手が掛かった者もいずれいなくなる。


自分が育てた者たちが成功出来ずともいい、せめて死なないで欲しいと心の中で祈りながら、教官たちは明日も指導に励む。


今後は時折聞こえてくる頭の痛くなる0088期の講習生の武勇伝に耳を痛めながら。

そんな未来が来るのはもう少し先の話。

ひとまず講習編はこれで終わります。

書きたいことが色々ありすぎてどんどん長くなって申し訳ないです

中途半端なのは自覚してますのでそのうち拾うつもりです

昔話的にまた講習の時の話を書くと思います。


世の中大変ですが頑張りましょう。

私も不満がたまってますし、ストレスでハゲそうです、胃も痛い。


それでも死ななければやり直せる。

皆様ご自愛下さい。

読んで下さる方がコロナで無くなった、なんて話を聞きたくない。

アナタが死ねば私は悲しいです。


講習後の事は少し悩んでるので1週空くかもしれませんがご容赦を。

なるべく早く投稿しますm(_ _)m

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