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異世界(この世)は戦場、金と暴力が俺の実弾(武器)  作者: 木虎海人
4章 裏町を掌握せよ!
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ギルドハウス 4

場面がその日の夜に変わります。


「疲れた顔をしているね・・・・・」


「あぁ・・・・マジ疲れたわ・・・・・」


食堂で確保しておいた安酒を煽っていると、ノリックが近づいて来た。

面倒な奴に見つかったと、自然にため息が出る。


普段なら仲の良い彼と会うことは嫌ではないが、今は少し状況が悪い。

サブマスと大魔道二人が帰った後、ギルドハウス用の面子を集めるために動いていたのだが、どこでどう漏れたのか、三人に会っていた事が噂になってしまっていた。

秘密裏に動こうと思っていたのでこれは宜しく無い。


説明する前に彼女たちの耳に入っていたのが特に不味かった。

隠し事なんて全くしていないのに、腹に一物ある間男みたいな扱いになり、四人に吊し上げられた。


正確にはマナと、クィレア、あとどっかの子爵の娘に、だ。まだ名前は(覚えてい)ない。

この子爵の娘に関しては、一緒に暮らしたいとのたまってくれたが、約束を果たしていないので強硬にお引き取り願った。

名前を覚えるのもその後だ。

その間に他にいい人が出来てくれれば万々歳なので、名前など覚える気も無いし、勇者に成るつもりは今も全く無い。そこはライアスが埋めてくれる事になってるのでお薦めしておいたのだが、バッサリ断られた。

勇者に成れば誰でも良いだろうと思うのだが、そうでも無いらしい。


チカチーノは一緒にいたけど、吊し上げには参加しなかった可愛い奴だ。

遠慮していたが、最初に誘った。

相変わらず自己評価が低い。

呪い持ちだからこそ、ギルドハウスは使えると思う。白と黒の大魔道の研究室が出来るので、そこでついでに呪いの研究もすればいい。

駄目と言われても勝手にやる予定。これは決定。


次にOKを出したのがクィレアだ。

奴の中ではもう決定事項だったので、話は早い。これで5人まで決まり。残り五人だ。


マナは 最初から最後まで説明をさせられた上で保留となった。

保留というか、「セレナちんも一緒じゃ無きゃ嫌。」という可愛い我が儘だ。

許容範囲、むしろ大歓迎である。

これで暫定で7名が決定。


そしてそこまで決定したことでその先が難しくなった。

全員女、全員俺の関係者。

これで男を誘う訳には行かなくなった。


一つ屋根の下、間違いがあっては困る。

全部俺のだ。

ハーレム野郎と陰口を叩くなら叩けば良い。誰に何を言われてももう女しか認めない。


という流れになったのである。


ところがだ、彼女の耳に先に入るくらい噂になっている状態である。

何故か大魔道が魔法の指導をしてくれるという所まで広まってた。

正確には一緒に住めばチャンスが有るんじゃないかとかその程度なのだが、都合の良いお耳には違って聞こえたようだ。


立候補者が殺到して追いかけ回された。

断るのも大変だって話だ。

男は要らない。だが使えない女も要らんのだよ。


当然ながらどいつもこいつも大魔道の指導目当て。

この時期にそう考える奴は魔法の腕にも、潜在魔力量にも恵まれていない者が多い。

その分必死で断るのも大変だったが、指導を受けたら伸びると言う考え方もあまり好きではない。

〝黒の大魔道〟〝白の大魔道〟

その名前はこの世界ではちょっとしたものなのだが、それは個人の能力の評価であって、指導が上手いからついた称号ではないのだ。

どちらも才能が無いものは弟子にしないと名言している。

短い付き合いだが濃い話もそこそこしている。そこに弟子が登場したことが無い。


これは = 才能が無ければ教えても伸びないから無駄。と言っているに等しい。

二人に教われば伸びると考えている奴とは、とても相性が悪い。

そんな奴を組み込んでも、課題任務で足を引っ張られる可能性が極めて高い。


という訳で片っ端からお断りしていたのだが、俺の友人に一人だけ例外がいるのだ。

大魔道の指導に興味を持ちそうで、かつ潜在魔力も高く、現時点で魔法技術も高め。

血の気が多い講習生の中で比較的温和で、性格も優しい。見た目も派手さは無いが真面目で良い男だ。


それが今、目の前の席に座ったノリックである。

大魔道を目指す彼は勇者を目指していない。俺も同じく大魔道は目指していない。

俺と同じく追加で講習を受ける考えなので、その費用稼ぎにおいて利害が一致する。課題任務とやらも彼と一緒なら効率良く進むだろう。


そんな彼の最大の問題点は股間に象さんが生えていることだ。パオーーン!!

だから男は要らねぇーーーーんだっての。


特にこいつは〝呪い持ち〟に偏見が無く、派手で活発な女を好まない。

ビアンカなんかとは相性が悪い癖に、チカチーノとは仲が良かったりする。

チカの方もユリウスやらシグベルは怖がっているのに、ノリックはそこまででも無いという・・・・ね。

当のノリックさんも好みの女性は「控えめで穏やかな女性だ」と前に言っていた事が有るので、勝手に警戒心マックスである。

焼けぼっくりに火が付くと一番危険な組み合わせでは無いだろうか。




以上の理由でノリックとは顔を合わせないように避けていた。

普段なら一緒に飲みに行くのだが、それも断ってあまり人気の無い食堂の隅っこで飲んでいたのもその為だ。何か良い考えでも浮かばないかと思案に耽っていたところである。


残念ながら回り込まれたようだ。

イゾウ一生の不覚。



さっきまで来客があったのがなお悪い。


「僕に話があるんじゃないかと思ってね・・・・・・」


白々しく問われた。

正直無い。今はだけど。

10枠埋まってから話したかった。白々しくね。


「ん~~~、まだ色々考えてる段階だからなぁ・・・・・纏まった頃に相談するよ。

そういえば前回の任務の時は助かったよ。賛同して参加してくれたおかげで・・・・・」


なので白々しくしらを切って返す。

も、真剣な眼差しに遮られてしまった。

コイツは良くも悪くも真面目で勤勉で。苦手なんだけど好きなタイプだ。

選ばれ与えられた俺と違い、コツコツと積み上げたモノを感じ、コンプレックスが刺激される存在だ。

今さらそんなことを気にしても仕方無いと思って割り切っているので気にはならないが。


だからこそあまりごまかしや隠し事をして付き合いたくないと思っている。

親しい者の中で、数少ない同じ方向へと歩ける存在でもある。

勇者に成りたくなくて、大魔道にも興味が無い俺と

勇者よりも大魔道に成りたいと思っているノリックは、進む方向が途中までなら同じだ。



「イゾウ、率直にお願いするよ。〝ギルドハウス〟の事は聞いた。

僕に手助けをさせて欲しい。そして大魔道の指導を受けさてくれるようにお願いして欲しい。

僕は〝緑の大魔道〟、そこへと必ず辿り着きたいだ。」


(駄目だ。)

そう言葉を紡げたらどんなに楽だろうか。俺は彼がどれだけ真剣にそう言っているのかが分かる。

分かってしまう。彼の夢の話は何度も聞いた。

力になる、そう言葉を返し、互いに力になると約束を交わしている。

これがここでまさか裏目に出るとは思ってもいなかった。


有象無象に断るのと違い、友人の真剣な頼みを無碍には出来ない。

だが俺の中のイゾウセンサーがこいつは危険だと警鐘を鳴らす。

友人が恋敵になるなんて珍しい話じゃない。ごくありふれた話だ。

恋愛と友人は分けて、別々に付き合うのが無難だと思っている。


「頼む」


返事に詰まる俺に、ノリックは頭をさらに深く下げて頼んでくる。

その行動になお、返事に詰まる。


実はギルドハウスの残り枠はあと1枠しか残っていない。

ノリックを認めればそれで決まるのだ。


少し前にノリックと同じく、俺と道の相反しないとある兄妹が訪ねて来た。

考えてみればその兄妹がノリックに俺の居場所を教えた可能性が高い。

前回の任務でその兄妹をノリックに紹介したのが俺だ。


「男はお断り」

遠慮するような関係では無いので本音で話したのだが、妹の方に押し切られてしまった。

職業が職業で、かつ修行中だからね。

それは無い、そう言われると納得するところが有る。

何よりアベニル女史には随分と、後始末(フォロー)をしてもらっている。

彼女に強く頼まれると断れなかった、だって嫁候補だし。

その場合、()()も義理の兄貴なんだよな~


これがマズい。よろしくない。

なんのかんの、既に一人男を許している。


ノリックがそんなことを心配する必要が無い奴であることは分かっている。

でも心配なものは心配だ。


ハーレムなんて作ろうとする奴は、心が狭くて嫉妬深い、そんな男だと俺は思う。

豪快で気にしないという奴は別の違う形を取るだろう。


言葉が出ない。だがどちらにせよ「ノー」とは答えられない。

ノリックの為に、でもあるが、それ以上に俺の為にノリックの力が必要なのだ。

冒険者としての戦力が要る。

大魔道の二人は戦力には数えられず、とある兄妹の方も巡礼という義務があるのでいつも手伝ってもらえるわけでも無い。

残る6人で10人分の課題をこなすとなれば、強い戦力は多い方が良く、かつ俺の裏の顔も知っている人間の方が良い。

だから正直なところではこの申し出は有り難い。

本来こちらからお願いしてもおかしくない話なのだ。


だが葛藤が止まらない。

ちょっと頭の中の熱が冷めるまで返事は待って欲しい。

イゾウがノリックになんと答えるかは書かないつもりです。

葛藤して葛藤して、そのうち曖昧に承諾する感じだと思ってもらえれば。


明日も更新してギルドハウスに入る話は終わります

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