表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界(この世)は戦場、金と暴力が俺の実弾(武器)  作者: 木虎海人
4章 裏町を掌握せよ!
151/196

解散 


あるカップルが尋ねてきた。

夕飯後、普段なら訓練の時間だが任務参加者は今日は免除されている。

講習はもう終わる。精算や準備、他にもやることはいくらでもある。

その時間に充てろと言う事だ。


訪ねて来た2人も当然参加者で、用件は立ち会い、だと言う。

この場合の立ち会いは、戦う方の立ち会いでは無い。

不動産の賃貸契約などで退去するときの立ち会い、そちらの意味での方だ。

要は見届けて欲しいのだと言う。


男の名はバルダニオ

女の名はプリエッラ


先日というべきか、本日というべきか、めでたく元の鞘に戻った新カップルだ。

正確にいつそうなったのかは分からない。

2人で話あって、当方がそれでいいのなら、異論を挟むつもりもない。


男の方は素朴なゴリラ。

女の方は講習生でも1,2を争う美女。


美女と野獣というべきか、だが野獣と言うほどの荒々しさは男の方には無い。だから違う気がする。

無骨な武人タイプのゴリラ、もしくは農作業を突き詰めていそうなゴリラ。

ゴリラゴリラと言ってるが、どちらかといえば草食系で、肉食獣とは違う大型の動物みたいな男。

正直あまり花の無い容姿をしている。


逆に並ぶと目立つのが講習生の中で飛び抜けて美人なプリエッラだ。

まだあどけなさが残る者が講習生内には多く。ビアンカやセレナは彼女に比べれば美少女と言う表現になる。ロリ系のマナやチカはいうに及ばない。

みな年相応可愛さだが、近くにいない分、少し口惜しさも残る。

どちらが良い、では無く違う性質の女性なのだ。はっきり言えばどっちも好き。大好物だ。



そんな不釣り合いなカップルが俺を訪ねて来た。

こうして俺のところへ頼みに来れるのは、あの時に寸での所で立ち止まれたからだろう。

手を出してしまっていたら、また違う拗れ方をしていたかも知れない。


プリエッラの裸体を見た俺は、どこか頭のねじが飛んだようにむしゃぶりつきそうになった。

それは認めよう。あやうくルパンダイブをするところだった。

だが、抱きつくその直前に一瞬だけ見せた泣き出しそうな表情に、股間から俺を突き上げた熱い血が一気に冷えた。

何故? どうして? 

そんな表情を浮かべたのは刹那の一瞬の事だったがコマ送りのようにしっかりと脳裏に焼き付いたのだ。

女の泣き顔はくるものが有る。人に言われて抱かれに来た女なんて尚更だ。

エレクトして忘れかけていた理性が戻る。



そして問い詰めた。

話を聞いて、行き場を無くした血液が脳天を突き上げたのは知っての通り。

その後の行動はそれ故だ。

手を出さないで済んだのは我ながら奇跡に近い。正直勿体なかったと後悔する気持ちも結構ある。

だがそのおかげでこの2人とは信頼関係を築けたのなら良しとしたい。


ライアスともそれ以来だ。どうせなら一緒に話した方が良いだろう。

その頼みは快く引き受けることにした。




2人と連れ立って向かう。

ライアス派閥も任務に参加した者が集まっていた。気になる糞野郎の姿は無い。

静かで良い。

代わりに集まっていたライアス派閥の人間が俺の姿を見てエキサイトして喚き散らした。

だがどこか腰が引けているのがよく分かる。

纏めてぶっ飛ばした後だ。回復魔法で表面は治したようだが、心の傷までは治せない。

それでも口先だけの威勢が残っているのは大した物だと思う。


試しに足をドンと踏みならしてみる。

周囲が一斉にビクッと反応して静かになった。

かわいいもんだ。

口先だけの糞餓鬼どもめ。目に力を込め、睨み付けて黙らされる。

後ろにいたバルダニオくんも少し反応したのはご愛敬。

見なかったことにしておいて場所を譲る。



バルダニオが俺の前に出る。

そしてライアスへと向き直った。静かに2人の視線がぶつかりあう。






俺とライアスが殴り合っているところへ割って入ってきた者がいる。

それがこのバルダニオだ。

とっくに見限っていた俺はそのバルダニオを殴って追い返した、のだがそれでもしつこく食い下がってこられた。

曰く「ライアスと決着をつけるのは自分だ!」 と。


特に決着とか考えておらず、間違ったことをしている友達に目を覚まして欲しく殴っては殴られていた俺はこの勝手な言い分に腹が立った。当然拒否した。


だが、事も有ろうにライアスの馬鹿はその申し出を受けた、受けやがったのだ。

俺を他所に、雰囲気を作り、勝手に盛り上がる2人の男。

あの時も視線がぶつかり合い、何かをそれだけで話しているように見えた。


疎外感から一気に萎えて、勝手にしやがれ!!と思って引き上げようとしたところ、その時も立会人を頼んできたのがこのバルダニオだ。

よく考えると俺を便利屋かなんかと勘違いしてやがるのかも知れない。

プリエッラに手を出しとけば良かったと思えてしまうから止めて欲しい。


だが、引き受けてしまった。


2人の熱い視線と思いに撃ち抜かれて折れたことになっているが、実はただ面倒くさくなっただけだ。

2人と自分に〝水の回復魔法(アクアヒール)〟を掛けて、立会人を引き受けることにした。


それで帰ったら色々アレだったから、とりあえず見届けてやることにしただけだ。



何年越しだかは俺は知らない。

2人は過去を清算するために、止まってっていた時間を動かすために 男と男のタイマン勝負、という奴を行ったのである。

さっきまで主役級の大暴れをしていた筈の俺を、立会人という脇役に追いやってだ。

良い面の皮である。


そんな(俺何やってるんだろ・・・・・・)とか考えながら、突っ立っている俺の前で因縁の2人の喧嘩は始まる。

結果は、一方的だったようにも見えるし、よく食い下がったようにも見えた。

ライアスから見れば圧勝だったが、楽勝ではなく随分酷い顔にされていた。ざまー無い。

バルダニオから見れば、負けたがそれでも一子は報いただろう。死に顔は安らかだった。

別に死ななかったけど。



そんな2人の戦いに決着が着いた頃に突如、雪崩れ込んできたのが空気の読めない教官たちである。

騒ぎの元凶である俺と、最後にやり合った2人が連行され、打ち上げはそこで打ち切られた。

解放されたのが一晩明けた今朝の事。


俺、そしてライアスとバルダニオの3人は、騒ぎを起こしたことで大目玉を食らい、3人とも懲罰として独房に一晩入り、頭を冷やさせられた。



誰も特に何も、言い訳もしなかった。

騒ぎを起こした責任を取って独房に入った。

朝、出された後は顔を見合わせてだけで、その時は何も言わず別れた。

2人の顔を見て、何故か自分の口元がほころんだ事だけは分かった。

誰も恨み言の一つも言わず、この件はそれで終わったのだと分かった。






眠い目をこすって何時も通りの講習に参加し、夕飯後に訪ねて来た2人とライアスの所へ来た。


この流れだ、何を言いたいのかは何となく察しがつく。

おれはそれで良いと思うし、どこかで線を引くべきだと思う。

思ったよりも早く行動に移したことで、バルダニオを少し見直す事が出来た。



「ライアス・・・・・・俺とプリエッラは2人でチームを組んで冒険者として活動することにした。」


口を開いたのはバルダニオだ。

もうライアスの影に隠れていた男という面影は無い。

1人の冒険者としてライアスへと向き合っている。


「ふーん、あっそ。」


ライアス派閥の者の間に小さく声が上がったが、バルダニオが抜けるのは想像していたのだろう、そこまで大きな動揺は見られなかったが、当のライアスはただ素っ気なく返す。


「許可が欲しい。いや・・・・・・認めて欲しいんだ。」


「俺の許可なんて要らねぇだろ。それは2人の問題だ。」


「かもしれない。だが、ケジメをつけておきたい。」


あまり感情的にならず、淡々と返すライアスが少し意外だった。

バルダニオとライアスの視線がぶつかっている。だがそこには不思議ともう憎しみの感情を感じなかった。

バルダニオの横に立つプリエッラも、静かに、だが力強くライアスを見つめている。


「ふーん、好きにすればいいよ。 ちょうどいいか。

俺も、派閥なんて面倒なもん解散しようと思ってたんだ。だからアンタが気にすることじゃねぇよ。

俺も、アンタも、プリエッラも、他の奴みんなも好きにしたらいい。

これからはお互い冒険者として、それぞれの道を進もう。」


ライアスのその言葉に、ソコに居合わせる全ての者にどよめきが起こる。

当然だ、これには俺も驚いた。

まさか派閥の解散なんて考えていたとは。

だが当のライアスは涼しい顔をしている。

そして近づいて来てこう言った。


「イゾウ、後始末の手伝い、それと今後の相談。

改めて友達として頼めるか?」


そこには暴れるだけが取り柄の赤い髪の乱暴者はもういなかった。

もう1人、新しい冒険者が自分の道を踏み出す事を決めていたのだ。

色々納得はしてないのでこっそり書き直すかもしれません

でもイゾウとライアスが殴りあうとこを書くつもりはないのでこれで進めます

殴り殴られなのでm(_ _)m

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ