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異世界(この世)は戦場、金と暴力が俺の実弾(武器)  作者: 木虎海人
4章 裏町を掌握せよ!
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オークの残党を討伐せよ 6


「小悪党か・・・・・・

俺たちは生きるのに必死だったから、自分を悪党だと思ったつもりはなかったんだが・・・・・・」


「縄張りなんぞ作って、そこに入り込んだ奴の身ぐるみ剥いでた奴が何を言う。

自分を正義の味方だとでも思ってんのか?

自覚しろ。おめーらは中途半端な小悪党だ、さらに小物のババアに言いように言い含められ。

良いように扱われる、その程度の、な。」


「俺や兄貴が、利用されてたって・・・・・・言うのかよ?」


「気づいてもいないのか?

どーせ寝てる間に殺されたって話も、やらせたのはそのババアだろ。

自分でやらせておいて、手を組めばそんなことさせやしないなんて、ありふれた手口じゃねーか。

そりゃーされる訳ねぇだろ。張本人で、お前らは条件を飲んだんだ。

使い潰すまでやる理由が無い、疑いもしない小悪党なんだからな。手頃な相手じゃねーか。」



「・・・・・・っぅ、マジか。」


「めでたい頭だな、お前も、兄貴のザーノアも。

小悪党は小悪党らしく、大悪党になる俺の傘の下で励めよ。馬鹿な真似しなきゃ悪い風にはしない。

頭が馬鹿な事と、馬鹿な真似は違うからな。そこを理解しろ。

組織内に二つ頭を立てるのがどっちかくらいは、理解出来る。んだろうな?

で、殺された奴ってーのは知り合いだったのか?」


「あっ、あぁ。すまねぇ旦那。兄貴にも・・・・・・良く言って聞かせる。

勿論俺はそんな真似はしないと誓う。

で、殺された奴は全然知らない奴だったんだ。でもそんな話は前から良く聞いてたから。」


「おいおいそれ、そのババアが自分で売り込んできた話・・・・・・なんじゃねーだろうな?

そのババアや取り巻きが熱心に、お前らにその話何度もしたとかじゃねーのか?」


「・・・・・・・・・・」


「図星かよ。おい、ちょっとそのババア起こして連れてこい。」


そう命じると、ナードたちが即座に動く。

理解があって嬉しいよ、でも駄目でしょう。それは君たちがやるべき事では無い。

目で制して引き留める。

慌ててディアスが部下に命じて引き起こさせた。そして俺の前に引き立ててくる。


「ひっ、なっ何するのさっこんなか弱い年寄りに! なぁ待っておくれよ!

たっ態度が悪かったのは謝るからさっ!

あっあたしがいないと誰があいつらを纏めるっていうのさっ!なっ、あたしなら上手く纏められるよ。ザーノアたちだけじゃ厳しいだろ?なっ」


「ふーん、それで今回見逃してやると、寝てるところを殺されちゃうわけだ。

どんな強い奴も寝ないわけにはいかないもんな。

それまでは泣こうが喚こうがどんな無様を晒そうが、自分が死ななければなんとでもなる?そんな感じか?

くっくっくっ、そこだけ切り取ってみれば悪いやり口じゃねぇ。今度俺もやろう。」


「知らないよ! あたしゃそんなことしていない!信じておくれよ、なっ良く言って聞かせるから!

あんたにゃ逆らわないようにって。あたしから言うからさっ!

それでいいだろ!?なっ、なっ?」


「残念。俺が話を聞くのは綺麗な顔の女性(おんな)だけ。男の話は中身が無ければ聞かない。

汚いババアの言葉は耳障りで不愉快だ。俺以外に頼むんだな。助けてくれって。

くっくっくっ、氷の世界から、聞こえたらだけど。」


ババアの頭に手を置く。そして念じた。


「〝氷の棺(アイスコフィン)〟」


念じること10数秒。 

念じている間は何も起きなかった手の平から、発動するとゆっくりと強力な冷気を感じる。

手の平を置いた頭の上から、ババアの顔へと流れ、顔左半分を凍りつかせた。


「ひっ、ひゃぁぁぁぁぁ!!!」


顔がみるみる凍りつき、声にならない叫び声を上げるババア。

押さえる男の手が緩みかけたので、

「離すなよ。離したら、お前らが氷漬けになると思え!」

と、釘を刺す。 誰かが押さえていないと使えないというのも使いどころの難しい魔法だ。

ババアは声を上げながら必死で暴れるが、男達も必死だ。必死で押さえつけている。

ディアスが指示を出し、押さえる者は2人増えて4人になって、ババアを完全に押さえつけた。


「うーん、思ったより範囲が狭い。そして発動に時間が掛かる。」


〝氷魔法 氷結〟 の上位の魔法と予測していたが、〝氷結 レベル5〟の方が凍らせる範囲が広く、発動もかなり早い。

違いといえば、〝氷結〟が触れた箇所を凍らせる魔法であるのに対し、〝氷の棺〟は狙った周囲を凍結させる魔法であると言う事だろう。

ババアの顔半分が凍っているのでは無く、顔半分を氷が覆っている。という表現の方が正しい。

〝氷結〟は言うならば、冷凍庫で凍らせる。ような魔法。

〝氷の棺〟は、氷で覆い、氷に閉じ込めるような感じに見える。


(主、その認識で間違っていない。我らは土精霊故に氷魔法には詳しくないが、魔力の流れを見るにそう感じている。〝氷の棺〟という魔法の方が魔力を多く使うようだ。その分 主でも発動に時間が掛かってしまっている。より上位の魔法という事だろう。)


頭の中に土精霊が話しかけてくる。

必要以上に話しかけるなと伝えてあるが、今回は許容範囲内か。

制限しないと五月蠅くて仕方が無いのだ。喋る相手が俺しかいないからな。

仕方無いけれど鬱陶しい。

土魔法自体も普段あまり使う機会が無いので、正直持てあましている。

1人で隠れて魔法の実験をしているときに、魔法の解説させるくらいしか使い道がない。

ユリウス辺りが精霊視のスキルを覚えてくれたら押しつけてやるのに。


(うぅ主、相変わらず扱いが酷い、だが今日は違う。土魔法は生活に根付く魔法。主の配下に)

(うるさい!余計なことは喋るなと言っているだろう、本当に解除するぞ!)


子鬼もどきの堕落した土精霊は、手を口で押さえて静かになる。

人間の言葉を使えるのはこいつだけなので、こいつさえ黙れば、近くに居ても特に邪魔にはならない。

他の2体の精霊は、普段はどういう原理か、地面に潜っていて半分だけ身体を出して周囲にいるだけだ。

それでも何か言いたいことは、何となく伝わってくるから不思議な存在だ。


(で? つまり今の俺のスキルレベルだと〝氷の棺〟の方は実用範囲が狭いってことでいいのか?)


(主の魔法スキルのレベルが上がれば逆転するだろうが、今はそうなる。最終的に上位の魔法の方が範囲も広くなるのが魔法の定石だ。)


(ふむ、 〝氷結〟がレベル最大で 〝氷の棺〟は覚えただけだな。)


(では仕方有るまい。何度も使っていればそのうちレベルも上がるだろう。主は特別育ちが早いようであるし、心配あるまい。)


念話も不思議なもので、慣れると伝えるところを絞れる。

オークグラジエーターとの戦いでは只漏れだったが、今ではある程度制限することが出来る。

これも俺の中に眠る氷の神の恩恵だろう。何度か試すうちに制御出来るようになった。

最も戦闘しながらそれが出来るかどうか、まではまだ分からない。

あくまでも平常時なら、精霊との意思疎通に問題無い程度だ。

どちらにせよ、戦闘時に精霊を介しての魔法を使うつもりは無い。

精霊との意思疎通を必要とする分、氷魔法よりも時間が掛かる。何度か試したが、属性相性的にどうしても必要な時以外は使わないつもりだ。

下級精霊、それも堕落していると、使える魔法にはかなり制限が有るので、条件はさらに悪い。

それでも俺が使ってやらないと、裏返った分が表に戻れないらしく、どうしても俺の役に立ちたいと言っているので側に居ることだけは許可している。

右目の精霊眼でスキルをいじくれることなどは敢えて触れていない。


今日まで特に弄くる必要も無かったからだ。

だがポイントには余裕がある。

〝氷の棺〟は最大まで使っても問題無いだろう。 4ポイント使い、スキルレベルを最大に上げた。


「そのままもう少し押さえてろ、もう1発いくぞ。」


特に説明は入れず、もう一度発動する。

同じ場所を凍らせても仕方が無いので、凍っていない側の首に手を当てた。


「〝氷の棺(アイスコフィン)〟 ・・・・・・・っと、あっ!」

「ひゃっ!!」

(あっ!)


「へっ、旦那、何で・・・・・・・」

「ぎゃあああああああああああああああ!!かっ身体がっ!!」

「うそっ、だろ、マジか・・・・・」

「ちょっ、誰かたす・・・け、て」


最大レベルの5に設定した〝氷の棺〟の魔法の威力は凄まじかった。

時間こそ掛かるが、発動したと感じるとそのまま瞬く間に押さえていた4人を含めて氷漬けにしていた。

凍りついた、のでは無い。

5人を纏めて氷の中に閉じ込めた。5人の立っていたところに大きな氷の塊が出来ている。



「うっわーなにこれ、超引くわー。威力強すぎだろう。」


(・・・・・主がやったんだが。覚えたての魔法だったのでは?)


「いや、覚えただけの魔法であって、覚えたてではなかったぞ?

しかし何じゃこりゃ、なんで押さえてた奴まで凍りついてるんだ?」


(ぬぅ分からん。威力のせいなのか、それとも触っていたからか。検証する必要がある。)


「ん~指定したのは範囲じゃ無くて、対象だった。ババアを選んで発動したんだが一気に広がったように見えたな。」


(となると触れた者も一緒に閉じ込める能力がある魔法なのかもしれぬ。)


魔法に関していえば、精霊の方が人間よりも長けている。その上俺は人間の中でも落ちこぼれ扱いだった。

なので精霊の言には聞くべきところがある。

実験台は一杯いるし。




「だ、旦那。イゾウの旦那! おっ、っれの、部下が、その、何か、しっ、したんでしょうか?」


俺が想像以上の魔法の威力に首を傾げていると、近くにいたディアスが声を掛けてくる。

その声はかなりか細い。

目の前で起きた事に、かなり肝を冷やしているようだ。


「いや、単なる事故だな。想像以上に威力が強かった。

多分だがここを離れるとき、おまえらに命令しただろ?氷の神に祈れって。

それが思ったよりも、成果が出ている、のかも知れない。ちゃんとやってたんだろうな?」


「そっ、そうですか・・・・・・はっ、はい、言われたとおり朝と晩と2回、とにかく必死で氷の神様に祈りを捧げていました。俺らも、新人にもさせてましたし、ザーノアたちもそれだけはそのおばばにも、その連れにも厳命してたんです。嫌々ですがやらせてました。


それで、その・・・・・どっどうしたら?」


どうやらやるべきことはちゃんと従って、やってくれていたらしい。

最も単なる言い逃れで、信仰の程が分かるほど目に見えて違いは感じ無い。そこはもう少し時間が掛かるだろう。

だが、この言い分は使えると見た。失敗したら全部お前らの信仰が~~~~でイケる。

となれば問題無い。何とかしてやるべきであろう。


「うん、ちょっと待て。」


まさかの周囲巻き込み型の範囲魔法だった。だが解除する方法もどっかにあるハズ。

無かったらゴメンね。 ちなみに切り捨て御免のゴメンだ。


右目でスキル欄を確認しようと意識すると、視点が凍らせた対象に被った。

するとソコに 『解除 yes/no』 の文字が浮かんだ。


右目の精霊眼(劣化)で制御出来るようだった。

危ねぇ、凍らせるだけだったら使いどころがかなり限定されるところだった。

別の魔法で打ち消し!とかでも無く、無駄にポイントを使う必要が無くて本当に良かった。


試しに端の1人に視点を合わせ、注意しながらyesを選択する。


すると一斉に氷が砕けた。

音を立てて砕けて割れ、地に落ちると消えていった。

残念、個別指定ではなく、一斉解除だったようだ。


生気を吸い取られたようにその場に崩れ落ちる5人。

意識を失っているようだ。


(主・・・・・・何か色々、回復して・・・・・いないか?)


「何が?」


「えっ!? なっ、何ですか旦那?」


「ん、口に出てたか?何でも無い。それより早く4人は運んでやれ。で、温かくしてやってくれ。

当然だが、そっちのババアは置いていけよ。」


念話では無く、うっかり普通に喋っていたようだ。ディアスが驚いて返事をして気づく。

この辺りは、神の恩恵があっても、使用者が迂闊だとどうにもならない。

使い分けが難しい、無意識につい口に出てしまう。


(で、何だっけ?回復してる?俺が? 自分じゃ分からないな。)


(取り込んだ対象が貧弱だったから実感が無いのであろう。人間には分からぬ小さな変化。

だが間違い無く回復していた。

おそらくだが、吸収型の設置魔法なのだと思われる。

氷が取り込んだ対象の体力や魔力を吸い取って、主に送るという魔法なのだ。

使い方によっては主は永久に魔力も体力も消費しない、ということが出来るかも知れぬ。

物凄く、恐ろしい魔法だぞ・・・・・・ 人間の扱える魔法だとは思えない。)


あー、ゴメン心当たり有りまくりだわ。

これきっと氷の神様の魔法だろうな。上位とかそういうレベルじゃない。

神の寝床(使徒)〟 やっぱやべーわ。




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