レベルアップ
神獣召喚によってフェンリルのフェンが仲間になったところでそろそろ行動するか。
「さて、街に向かって行こうか。フェンどっちにあるか分かるかい?」
「ふむ、東の方に人間の匂いがするぞ。たぶんそこに街があると思う」
匂いで人間とか区別出来るんだ。
すごいな。
「分かった。じゃあ、東に向かって行こうか…って、東ってどっち?」
「…こっちだ。我についてこい」
フェンが先頭で俺とリンが後ろの形で歩いていく。
リンは野原に咲く花の所へ走ったり、フェンの隣や俺の隣を行ったり来たりして「あの花キレイだね」とか「あれはなんていうの?」とか話している。
楽しそうでなによりだ。
それにしても魔物が全然見えないな。
いないなら安全でいいんだが、レベル上げもしたいしな。
「フェン。魔物が見えないがここら辺にはいないのか?」
「ふむ。ここ近くにはいないが後少ししたら何匹かいるぞ。人間の匂いも近い所におるようだ」
「魔物が弱ければ、俺達に倒し方を教えてくれないか?少しでもレベルを上げて魔法を使いたいんだ」
「我からしたらそこら辺にいる魔物などザコにも等しいし、我が守るからレベル上げなんてやらんでもいいように思うが」
「いや、もちろんフェンが守ってくれるなら大丈夫だと思ってるよ。けど、万が一があったら嫌なんだ。もう…リンを失いたくないからな」
側にいた凛の頭を撫でながら言うとリンが俺の服を握ってきた。
「フェンちゃん!私からもお願い!私もレベル上げて、魔法覚えたいの!」
「…そうか、うむ。承知した。我に任せておけ」
ーーーしばらく歩いた後。
「あそこにスライムが七匹おる。スライムは打撃よりも魔法が効く。けど、ミナトもリンもまだ魔法を覚えて無いから、そこら辺にある石を投げて当てて倒せ。スライムが逃げないように壁を作っておくし、お主らには我が威嚇でスライムを近づけんようにしておくから安心して石を投げ続けるがよい」
そう言われて、リンと一緒に周りにある石を集めてきた。
「ではいくぞー“土壁”ー」
フェンが言うと、地面から土の壁が盛り上がってスライム達を囲った。
「リン、やるぞ!」
「うん!」
そう言って石を投げ続けた。
避けられたり、手持ちの石が無くなったりしたが十五分くらいで全て倒せた。
俺が四匹で、リンが三匹倒すと頭の中で「レベルが上がりました。スキルポイントが十貯まりました」と聞こえた。
リンも聞こえたみたいだ。
キョトンとしてる。
「レベルが上がったみたいだ。どうやってスキルポイントを使うんだ?」
「ステータスオープンと言えば目の前に自分のステータス情報が見える。そこにスキルポイントがあるだろう?それを押すと現在取得可能な魔法という項目で候補が見れるぞ。最初は“鑑定”か初級魔法シリーズがいいと思うぞ」
「初級魔法シリーズってなんだ?」
「初級魔法はスキルポイント二十未満で手に入る魔法だ。もちろん相性があって、初級魔法でもスキルポイントが二十以上するやつもあるが、最初の頃は初級魔法を覚えて魔物を倒し、レベルを上げていけば良い」
「なるほどな」
初期魔法はスキルポイント二十未満で大体手に入るのか。
まぁ、俺は十しか貯まってないから初級魔法しか手に入らないんだがな。
「ステータスオープン…うん、色々あるな…リンはどんな魔法にするんだ?」
「ステータスオープン…うーんとねぇー、“鑑定”と“ヒール”にしようかな。お兄ちゃんは?」
「“鑑定”と“ヒール”ね…“鑑定”十ポイントに“ヒール”十五ポイント!?高くね…リンはスキルポイントどれだけ手に入れたんだ?」
「ん?十五だよ。お兄ちゃんも十五じゃないの?」
俺より五ポイントも多い。
何で俺より五ポイントも多いんだ?
「ミナトとリンで獲得ポイントの差があるのは仕方ない。個性によって得られるポイントに差が生じるのは当たり前だ」
…なるほど。
「普通の人間は一から五くらいのポイントしか得られないと聞いたことがあるから、それと比べると二人とも多い分だと思うぞ」
そうなのか!?
普通より多いなら、まぁいいや。
異世界に来て魔法覚えるのに苦労すると思ってしまった。
異世界に来たからには魔法を使って見たいからな!
「俺は十ポイントだよ。リンは“鑑定”と“ヒール”何ポイントだったんだ?」
「えっとね、“鑑定”が十ポイントで“ヒール”が五ポイントだったよ」
これが適正ってやつなのか。
「うむ。リンは回復系の魔法に適正があるのだと思うぞ」
思った通りだな。
「なるほどな。んじゃあ、俺は“鑑定”だけだな。まだ攻撃するのに石を投げるのか…」
「お兄ちゃん、元気出して!またレベル上げて、次に攻撃系の魔法を覚えたらいいんだよ!!」
そうだな。
うん、リンのいう通りだな。
「ありがとう、リン」
礼を言うと、笑顔になって頷いてくれた。
「フェン。また、頼むな!」
「うむ。任せておけ。それにしても少し腹が減ってきたぞ」
確かになかなか歩いたし、魔物も倒して少しお腹が空いてきた。
「よし、レベル上げは今度にして早く街に行くか」
「ならば我の背に乗って行くか?その方が早いし」
「いや、乗れな…い…だろ…」
フェンの体長が倍くらいに大きくなった。
「これなら二人を乗せれるぞ」
「…フェン、身体を大きくしたり小さくしたり出来るのか?」
「うむ。可能だぞ」
隣でリンが目をキラキラさせて飛び跳ねている。
「フェンちゃんが大きくなったー!!すごーい!!」
「さぁ、二人とも我に乗れ」
俺は未だに少し口が開いていた。
異世界の神獣ってすごい…(笑)